ダイアゴナルロール、良い? 悪い? 足回りのウンチクです

最近サスペンションについてのウンチクをよく見かける。関心無いより良いことなのだけれど、しったか一等賞や誤解や思い込みも多いので少しばかり閉口します。なかでも多く出てくるのが「ダイアゴナルロール」と「クルマの上下方向の動きをサイン波にする」というもの。今後、クルマの話をするときに出てくると思うので、少しばかり紹介しておきたい。

まずダイアゴナルロールだけれど、ハンドル切った時にフロント外輪が沈み込む状態を示す。こいつを全面的に肯定し、あえてそういったセッティングを選び売りにしてるメーカーもあるし、逆に否定するメーカーだって少なくない。週末、このあたりを喜多見さんにジックリ聞いてみた。すると「ダイアゴナルロールとか言ってるウチは足回りのことが解ってないと思います」。

曰く「どんなクルマでもブレーキ掛けながらハンドル切れば外側前輪が沈む込みます」。そらそうだ。究極の「動かす足」を持つWRCのWRカーの挙動見ても、ターンインで外側前輪は沈みこんでる。ただし前輪内輪が浮いてしまったらダメとのこと。良いセッティングはハンドルを左右に切り続けると、前輪が沈み込んでいく方向。BMWやボルボなどお手本。

適正なロール姿勢はターンインとコーナリング中、立ち上がりで全て違う。加えて前後輪それぞれのロールセンター(低ければいいってモンじゃない)の違いや、駆動方式の差などによる違いも出てくる。したがってダイアゴナルロールと言っても、どの段階なのか決めないとダメだし、内輪が浮くタイプも分けなければならない。したがって「良い」「良くない」では終わらず。

むしろ専門家なら「しったか一等賞」にならず、クルマ全体の挙動を語るべきかもしれません。

車体の動きに於ける「サイン波」とは、伸び側と縮み側の動きが同じになるというセッティングを示す。スバルは2~3年ほど前までサイン波を追求してきたものの、ここにきて「サイン波はダメ」となり、クルマの乗り味や上質感が圧倒的に上がった。実際、世界レベルでみるとサイン波の動きをする高級車など無い。伸び側と縮み側で違うし、もっと複雑な動きをします。

なぜか? 人間は1Gの環境で生きている。飛び降りれば着地時に1Gを超える入力など当たり前。子供の頃から親しんでます。加えて自然な状況に於いてマイナスGなどあり得ない。飛び降りたって0Gですから。したがって人間はプラスGに強く、Gが無くなるほど不安になる。サイン波の乗り心地はプラスもマイナスも同じ。したがって快適じゃ無い。

人間の特性を考えれば、基本は縮み側強く、伸び側は穏やかにG出る方が好ましい。ということで、問題は伸び側から縮み側に転じる過渡特性である。ここでキッチリ減衰力をコントロールしなければならない。伸び側の頂点&縮み側の微少入力で減衰出ないダンパー使ったり、傾斜のキツいサイン波の挙動だと酔いやすいヒトはカンペキにアウツです。

けれど2~3年前のスバルのように、サイン波を支持するメーカーも多いのだった。参考までに書いておくと、6~7年前までのスバルはサイン波だのヘチマだの御託を述べず、快適な乗り心地を目指していた。もちろんサイン波の動きじゃなかったです。直近のスバル車の乗り味はとても好ましい。特にショーワ製ダンパー使ったモデル、快適である。

日本車の場合、足回りの担当者の異動で変わっちゃう。経験少なくアタマでっかちな担当者になると、その流れは強い。今後クルマ談義になった際、こういった話が出てくると思う。足回りはそんな簡単ぢゃありません。喜多見さんによれば「市販車で最近一番感心したのはBMWの5シリーズです」。そういえばしばらく乗っていないので、近々試してみたい。


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