自動車メーカーの情報開示は今後どうなる?

何回か書いてきたことながら、自動車メディアは他のギョウカイと異なり自由闊達な意見交換が可能だった(過去形になりつつある)。自動車メーカー側も「門前払いでなく話を聞いた方が自分たちにもメリットある」と判断していたのである。私の師である徳大寺有恒の功績といってよいだろう。

師匠の没後、いろんな先輩方に話を聞くと、当初、自動車メーカーの対応たるや厳しかったそうな。そんな中、最初に「話を聞こう」という流れを作ったのはトヨタだったようだ。そして徳大寺有恒に続け、ということで何人かの「侍」がそれまでの慣習を破り、自由闊達な表現をするようになった。

数日前、城市兄とCT誌の対談をしたのだけれど、1980年代前半までの自動車雑誌とメーカーの関係は緊張感に富んでいたという。広告を停止されたり、メーカーから出入り禁止だと言われたことも少なからずあったそうな。この世代の「侍」達は、もはや現役を退き、城市兄だけになってしまった。

さて。自動車メディアと自動車メーカーどちらが強いかと言えば、考えるまでもなく後者である。取材を受けなければ試乗レポートすら書けない。ということを昨今の自動車メーカーは見越しているのだろう。かくして自分たちのメリットにならない、と判断したら、扉を閉ざしてしまう。

今回スマートキーの件で広報に取材依頼して「完全に時代は変わりましたね」と痛感した。もはや現実的な危機感を持たなければならない事案ということで取材依頼したのに「ノーコメント」。おそらく昨今の自動車メディアの状況からすれば、それで大きな問題無しという判断だろう。

私は「正直な状況説明をしてくれる」ということから信頼性が生まれてくると考えている。モーニングショーで回転寿司チェーンに「アニサキス対策は?」と聞いていた。皆さんキチンと状況説明をしてました。「問題ありません。企業秘密のため対応方法は公開できません」と言われたらどうか。

参考までに書いておくと、今回一番早く対応してくれたのはマツダだった。インドネシアから帰国した日の午後に技術者を紹介してくれたのである。これまであまり書いてこなかったけれど、ディーゼルのススの問題や排気ガスの件もマツダの広報が最も丁寧かつ、奥行きのある取材対応です。

おそらくこのままだと自動車業界も他と同じで「都合の悪いことは隠せばいい」になってしまうだろう。私は徳大寺有恒の弟子として、現役を引退するまで頑張ろうと思う。幸い自由に原稿書かせてくれる骨太のメディアもある。ニッチもサッチもいかなくなったらレンタカー乗って試乗記書きます。


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