アメリカ、鉄鋼関税を大幅アップも自動車は関係無し!

アメリカが、というかトランプ大統領は突如「鉄鋼やアルミに対し関税を掛ける!」と発表した。今までの流れからすれば躊躇うこと無く実行することだろう。株価も下がった。自動車産業についてほとんど理解してない日本メディアの報道を見てると「自動車が心配」などと取り上げてます。良い機会なので、自動車産業と鉄鋼業界について紹介してみたい。

そもそもとして日本の自動車産業はアメリカ輸出が驚くほど少ない。マツダのみ突出して輸出比率高いものの、ホンダなど5%前後。アメリカで販売されているホンダ車100台のウチ、日本からの輸出は5台ということになる。続いて日産、トヨタも大半を現地生産しているのだった。ここまで読んで「材料を日本から持って行ってるでしょ?」と思うかもしれません。

これまた現地調達率は限りなく100%で、特に鋼板やアルミ材など真っ先に現地調達を考える素材だったりする。アメリカが鉄鋼やアルミに関税を掛けると言っても、自動車産業は全くと言ってよいくらい関係無し。2日のTVニュースで社長交代会見に出席していたスバルの吉永社長に「鉄鋼関税についてどう思うか?」と聞いたメディアもあったけれど、鋼材は現地調達だ。

日本の自動車産業は国から守られてこなかった(電気自動車など先端環境自動車への補助金も世界標準)。大半の国が自動車の輸入時に関税を掛け自国産業を守るけれど、日本のみ免税という状況を見れば解るだろう。貿易黒字増えると事実上の輸出制限まで掛けた。結果、日本の自動車産業は現地生産がメインになっている。コカコーラやスタバと同じだと思えば良い。

鉄鋼業界からすればどうか? こちらは自動車産業がお得意様になっている。2017年の鉄鋼輸出金額はおよそ3兆5千万円。そのうち、15%が自動車用で5%は自動車部品。金額ベースで20%を占めているのだけれど、ここにアメリカ向けは入っていない。前述の通り鉄鋼やアルミ材を使う部品の材料調達はアメリカで行っているためだ。自動車部門に影響無し。

また、鉄鋼の輸出先のアメリカ比率は思っているより低く、金額ベースで6%程度。ここが影響を受けるということになるが、大騒ぎすることなど無いレベル。今年は稚魚の不漁で間違いなく仕入れ金額が高くなる鰻屋業界に比べれば微々たるものだと思う。針小棒大な報道や、羮に懲りて膾を吹くような取り上げ方は何のメリットも生まない。

 

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