クルマに乗るならどの席が安全か?

クルマに乗る場合、どの席に座れば安全だろうか? 一般的に「運転席は最も危険。続いて助手席。圧倒的に安全なのが後席」だと認識されていると思う。確かに20年前の常識であれば、その通りだった。しかし今や最も安全なのは、事故データから見たら運転席と助手席だと言える。

次の数字を見て頂きたい。昨年発生した事故を元に警察庁が発表したもの。それによれば、運転席が0,18、助手席は0,20、後部座席が0,17になる。この数字、各座席に死傷者数と死亡者の割合。つまり人身事故100回のうち、何回死亡に至ったかという割合だ。意外なことに、ほとんど差は無し。

もう少し状況を詳細に分析すると、運転席と助手席が死亡した事故の半分程度は速度の大幅な超過によるものだという。つまり一部の心ないドライバーが明らかに危険な運転をしている最中に発生したもの。こういった無謀運転中の事故を除けば、むしろ後席の死亡率が高くなるだろう。

ここまで読んで「後席はシートベルトをしていないケースが多いからでは?」と思うかもしれない。警察のデータを見ると、シートベルト未装着を含めたデータも出ており、それによれば運転席0,32。助手席0,27。後席0,36で、当然ながら後席の死亡率は高い。

なぜシートベルトを締めれば全ての席が同じになるのか? 自動車の構造の進化によるものである。20年前なら間違いなく後席は安全だった。しかし1994年から大幅に衝突安全基準が厳しくなり、なかでも運転席と助手席はダミーを使い衝撃値を数値化することで評価されるようになっている。

一方、後席は衝突基準が無く、当然ながらダミー乗せた計測もしていない。安価な車種ではシートベルトの構造も運転席と助手席で使われているタイプより簡易だし、ミニバンの3列目シートや軽自動車の後席などは追突された時のクラッシャブルゾーンが短く、大きなダメージを受けてしまう。

となると気になるのはミニバンや軽自動車の場合、どこにチャイルドシートを付けるかという点。前述の通りミニバンの3列目や軽自動車のリアシートは追突事故の際の基準が無く、明らかに危険性高い。ということ各メーカーの衝突安全担当の技術者に聞くと「ミニバンなら2列目です。軽自動車はすすめません」。

もう一つ。助手席エアバッグが付いていないタクシー専用車や、助手席エアバッグ付きであっても、メーター類などが並んでいるタクシーの助手席は危険だということも認識しておくべきだ。

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