クルマ作りのガンコさは、ほどほどが良いと思う

「頑固」がカッコ良いと考えている人は多い。ホンダの初代シビックHVを見て「普通のシビックと全く同じ外観で面白くない。プリウスのような専用ボディが無理なら、最大限変えればいいのに」と開発担当責任者に言った。すると「それは私が許さない」。全く聞く耳を持たず超ガンコでしたね。メディアに対してもこんな口調だと、社内に対してはもっと強かったろう。

結論から書くと売れなかった。しかもこの担当者と違う人が開発した2代目インサイトはフィットベースながら専用デザインとしている。インサイトが成功しなかったのは、ハイブリッドシステムで全くプリウスに届かず、さらにプリウスの価格をインサイト並に引き下げたためです。クルマが売れる売れないは、様々なファクターによって決まるんだと思う。

現在マツダはデザイナーが圧倒的に強い。CX-5にガソリンターボを加えた。エンジンのコスト、圧倒的にディーゼルより安い。エンジン単体を見るとディーゼルはシーケンシャルツインターボに対しガソリンがシングルターボ。コストの掛かった排気ガスの後処理システムも無い。高価な高価なコモンレール式の超高圧インジェクション系も無し。本来なら15万円安くたって当然だ。

なのに同じ価格である。だったらブレーキにお金掛けるとか、エクステリアを派手にするというチョイスもあったろうけれど、現場の人に聞くと「デザイナーが外観を変えることを許してくれなかったんです」。日本のユーザーって慧眼である。明らかに納得の行かない価格設定のクルマなんか買わないです。結果的にCX-5のガソリンターボ、あまり話題にならない。

頑固な部門があり「絶対譲らないもんね!」とやられたら、もはやチームワークにならないです。クルマという商品、パワーユニットと車体、デザイン、インテリア、車両企画、宣伝、広報のチカラや知恵を結集して売れる。今のマツダのようにデザイナーとパワーユニットが圧倒的なガンコさと強さを持っていたら、ダーウィンの進化論の逆を行く。

もちろん主義主張は必要。最大公約数のクルマなんかツマランです。このあたりさじ加減を上手にやったクルマやメーカーが成功するんだと考えます。『マツダ3』はマツダにとって勝負の車種だと思う。早くも波瀾万丈の船出になった。

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