シボレー・ソニックに乗った!

今回試乗した『アベオ』は、意外かもしれないけれどGMが長い歴史の中で初めてとなるコンパクトクラスの世界戦略車種である。ヴィッツやデミオにクラスに属し、アメリカやヨーロッパ、中国、タイ、ブラジル、ロシアなどで生産されるという。世界中のマーケットで日本車とガチでブツかるモデルだと考えて頂きたい。

aveo55.jpg

そういった意味じゃ現代自動車勢と並ぶライバルと考えてよかろう。果たしてどんなクルマか? スペックは全長4399mm×全幅1735mmと同じ車格の日本車より長い。試乗車は1,6リッターのガソリンエンジンを搭載しており、6速ATと組み合わされる。欧州では1,3リッターディーゼルエンジンも選択可能。

実車を見て驚くのが仕上がりの良さ。ここにきて急速に安っぽさを感じさせるようになって
きた日本車と対照的である。メーターのデザインなどもオリジナリティあって好ましい。欧州開発だろうと思われるシートも文句なし。このあたりは3カ国の良いトコ取りか? ちなみに欧州じゃPNDタイプのナビを装着してました。

aveo11.jpg

興味深いことに、足回りの担当はコルベットの開発チームらしい。走り出してみたらスポーティ。ショックアブソーバーが良質なんだと思う。3カ国チームで開発
したSUVのシボレー・キャプティバでも感じたけれど、割と硬めなのに動く。けっこうシャープな挙動だけれど滑らかなのだ。ドイツ系のスポーツモデル風。

エンジンは平均的である。騒音/振動特性は日本車とドイツ車の中間くらい。VWポロと比べたら厳しいけれど、ヴィッツ相手なら優勢。6速ATと組み合わされるためか、タウンスピードで走っている限りエンジンの存在を感じさせない。試しにアウトバーンでアクセル全開してみたら、193km/hまで出た。

aveo33.jpg

いろんな意味でガチンコのライバルとなるヴィッツより少しづつ良い感じ。日本以外の地域では、コストパフォーマンスとブランドイメージで勝負が決まると考え
ます。もっと言えば、今まで欧州市場を除き、ライバルらしいライバルがいなかった日本車の強敵になると思う。中国や南米、アジアなどじゃ手強い。


のクルマ、日本でも年内に販売されるという。おそらくサイドエアバッグから横滑り防止装置までフル装備だろうから、価格設定次第では面白いチョイスになるかもしれません。同じクラスの日本車より圧倒的にシャープな走りを楽しめます。GMもこいつで『R2』クラスのラリーカーを作ったらいいのに。

aveo22.jpg

以下ウンチク。あまり知られていないことながら、長いことスズキはGMのコンパクトカーを担当してきた。カルタスの兄弟車であるメトロなどは、GMの日本車対抗ディビジョンである『ジオ』の稼ぎ頭だったほど。ヨーロッパでもハンガリー工場でオペル・アギーラ(スプラッシュ)を生産するなど深い関係を持っていた次第。

しかしGMの破綻でスズキ株を売却。今やアギーラを供給しているのみ。この関係も、現行モデルで終了してしまう。そのGMがスズキの次に選んだのは、米・
独・韓の連合チームである。このチーム、関係者の期待をはるかに超える良い仕事をしているという。実際、ここで開発した新型車の評価たるや高い。

aveo44.jpg

今回試乗した『アベオ』は連合チームの三作目。ヴィッツやデミオの対抗馬となる。しかもこれまでのGMはアメリカに注力。オペルも欧州に注力しており、それ以外の国や地域に関心を持っていなかった。つまりGMの小型車って無害だったワケ。されどアベオは(地域によってソニックと呼ばれる)手強いと思う。

・ECOカーアジアは「アメリカでもプラグイン・プリウス発表!

<おすすめ記事>

9 Responses to “シボレー・ソニックに乗った!”

  1. さね より:

    ますます日本車ピンチですね困るな本当に。日本では売れないでしょうけど。何故か値段高くなるし。個人的には興味ありますがどこで売ることになるんでしょう?ヤナセだと高いんだろうな…。 欧州の経済も不安定になりアメリカも良くならない、ますます円高になると、アナリストがTVでゆってました。どーなるかは分かりませんけど、安っぽい日本車が今のままでは通用しないってことですね。各社頑張ってほしいです。考えてみれば日本市場ってあまりに特殊っぽいし、メーカーも日本のこと考えなかったら少しは楽なんだろうなぁ。でも考えてもらわないと困るし。国内の産業の空洞化は確実に進んでいくんでしょうね。これも本当に困る!いつも批判的ですが、トヨタには、ここいらで真剣に底力あるなら出してほしいです。なければ…困る。なんやかんやでトヨタにしっかりしてもらわないと困るんですよね、日本車全体が。頑張ってほしいです。

  2. アミーゴ5号 より:

    韓国車同様、日の光の下で見てみたいですね。
    ただ写真で見る限り、すぐ飽きてしまいそう。
    でも世界が求めるトレンドが、この方向だとすると、日本ヤバイですね。

  3. ケイイチ より:

    失礼致します。
    フォードのフォーカスの疾走りっぷりは正直!!
    カッコイイです。Xゲームやラリーでの勇姿には
    迫力があります。  マツダやスバル好きですが
    文句なしにイイ!。
    なでしこジャパンだって国境を越えて応援がある
    ように、人間を納得させリスペクトさせてしまう
    内容というのがあります。
    日本車はメーカーにとって確かに商品なんですが
    、憧れとか想いとか・・心を揺さぶるインパクト
    に欠けているんです。
    映画やマンガ作品などで有名になったクルマには
    個性や人格?まで感じている人々がいるでしょ。
    いま世界には英雄がいない、英雄失調(栄養失調)
    なんです。 これでは心が痩せますね。
    クルマのキャラは、人間とか機械を越えて支持さ
    れる部分ありますよね。
    古くても・・そんなビンテージ車は心くすぐる。
    東南アジアや中国は、現在・・そうしたクルマを
    手にして、憧れや喜びが昇華しつつある。
    日本のチューンドカーが求められる土壌がある。
    正直・・そんな話しを聞くと嬉しいです。
    クルマは安くないですから、大金出してまで欲し
    くなる物として、憧憬とかステイタス感じる人々
    がいるんでしょう(いまの日本では希薄ですが)。
    生活を切り詰めてまで欲しくなる商品性。
    そんな訴求する層に満足やリビドーを与えられる
    最高のクルマは、単に技術や価格だけではない。
    商品と割り切れる程、日本人は成熟したクルマの
    社会を創造していないと思っています。
    ただ・・流行や情報を処理しきれずに振り回され
    自分を見失っているから、何に向かえばいいかも
    考えつかない。 消費者というより浪費者?。
    コンシューマーとしては未熟というか、社会に喰
    われて終始している。
    これは同時に、今後の日本社会の伸び悩みを示唆
    することを意味しています。
    日本のイイとこを見習ったアジアの各国も、悪い
    部分は死んでも受け取りたくないという姿勢が?
    露骨にでています。
    カバー曲でも、イイものはイイ。
    弾ませてくれる自由な息吹を吹き込むのは難しい。
    それは木彫りの仏に魂をブチコム作業ですからね。

  4. jun より:

    新生GMの車は、過去に囚われないデザインテイストで、新規顧客が望めそうですね。メーターパネルの思い切りぶりも、潔くて好みです。
    国沢さんのお話では、走っても楽しめるクルマなようなので、フォードフォーカスに近いイメージなのでしょうか?
    日本車にアドバンテージが有るとすれば、進んだ軽量化による高燃費、となるように想像します。
    新生GMの小型車は、どうも車重を削りきれていない印象があり、実用燃費もいまひとつのよう。
    とは言え、軽量化にも熱心な現代自動車とは、違った手強さは充分感じます。

  5. 真鍋清 より:

    小生も今のヴィッツ1300+レクサスIS350をまとめて売却し、次はGMアヴェオにするかも―そんな可能性すら頭にちらつくほど、昨今の(ここ一年ほどの)韓国車の躍進ぶりに我が目を疑っている!
    韓国車に乗り、自分で所有して日常生活の中で付き合ってみると身で持ってその真髄が解り、ガラパゴス日本の実態を肌で知ることになるに違いないだろう。
    そんな複雑な気持ちを吹き飛ばすように我が「付かず離れずの相棒」愛車ヴィッツ1300U-L/2004年式は91232kmに達して日増しに燃費がアップし、WAKO製エアコン添加剤によってクーラーフル作動で関越道を激走させて12.0km/l、都内など市街地では同じくクーラー全開にて15.0-16.2km/lを容易にマークして、合流車線での加速はルノーメガーヌ2.0GTライン(140ps)顔負けのものを発揮して愁眉を開いたのはせめてものニュースなのだろうか。
    それにしても1980年代、日本車が国際舞台に躍進してEU諸国でもヨーロッパ車から日本車に乗り換えるケースが続発して逆にヨーロッパ車信仰が根強い我々日本人はうれしさと当惑の入り混じった目でこの現象を見ていたことを思い出す―ドイツではVWゴルフからマツダ初代FFファミリア(現地名マツダ323)への乗り換えが続発し、また三菱ミラージュ1400(現地名コルト)ユーザーにもゴルフからの乗り換え組が一定量いたことが思い出される。またマツダ626カペラや三菱ギャラン、トヨタFFコロナ〜カムリにおいてはアウディ80やBMW3シリーズからの代替が見受けられ、ホンダアコードもまた然りだったものだ。
    今度は韓国車がEUに大挙進出してオペルやフォード、プジョーらから客を奪っているのみならず、やがて日本でも一定の客層を獲得して「レクサスIS350からGM大宇製アヴェオに乗り換える」人間が出ようものなら韓国人はかつて二十数年前の日本人がヨーロッパの日本車ユーザーを見るのと同じ印象を覚えるのかも知れない―果たして戯言が過ぎたろうか?

  6. tm256 より:

    Geo Metroって、スズキが作ってたんですか?
    どおりで、今思うと、燃費滅茶ワルなアメ車っぽく無い、小さな丸まっちい恰好だったんですねぇ。
    アメリカには何年か居たんですが、それは知らんかった…
    ともあれ、こういう小型車はやっぱりアメリカ人だけじゃ作れないんですね。でも、ドイツ人と韓国人がいれば作れるな。ビッツやマーチの強敵となるのでしょうか…

  7. CVCC より:

    世界ではこういうデザインが評価されているのでしょうか??
    顔はシボレーマークを取れば、まんまギャランフォルティスの顔ですし、後ろ向きはディンゴに似ています。
    メーターも写真で見る限りは安っぽくて見難い気がします。
    ヴィッツ、マーチは安っぽくなってぜんぜん駄目ですが、アベオなら、日本のフィット(JAZZ)の方がスタイリッシュで広く、全然いいと思うんですが・・・
    ちょっと小さいですが、デザインだけでいえば、ブリオなんかもかっこいいと思いますし。
    乗ってことがないのでなんともいえませんが、走りがそのフィットのユーティリティやデザインものともしない、圧倒するようなものなのでしょうか?
    先生が、最近の日本メーカーの体たらくに喝を入れるべく厳しい意見を仰っていただいているのは十分わかりますし、共感しています。
    日本メーカーももっと気合を入れるべきだと思いますし、欧州シビックは先生の仰るように苦戦するかも知れません(私的にも旧欧州シビックの方が革新的で好きなデザインです)し、ヴィッツやマーチの品質感ダウンは目を覆うばかりのものだと思います。(まぁ、マーチの本当のライバルは、ホンダでいうとフィットではなくてブリオでしょうが)
    が、私としては、アベオは前回私は「どこかで見たような・・・」と書いたi30をさらに下回る評価なのですが・・・

  8. 小林 英弘 より:

    6速AT以外は普通に平均点な感じがしますが、海外市場ではよく売れるんでしょうね。日本で売るのなら2DINのオーディオ&ナビのスペースがないと少し厳しいのでは? 「左ハンドル仕様のみ」なんて論外ですが(笑)。後はお値段でしょうね。多分、同クラスの日本車より少し高めでしょう。好きな人にはたまらないクルマでしょうね。

  9. オロネロ より:

    私が思うに文化の違いなんだと思います。
    西洋は貴族社会でした(今でも名残があります)
    そのため、車=馬車(貴族の乗り物)
    ということで、気合を入れて作るのだと思うのです。
    燃費とか使い勝手とか、そんなものは考えない。
    高額だけど、恥ずかしくない物・おしゃれな物・趣味性が高い物が出来ます。
    一方で、日本車は庶民のものです。
    燃費や使い勝手、価格バランス・・道具として考えるならば最高の物が出来ます。
    でも趣味とかは考えない。
    ・・そんなイメージです。
    まあ、あくまで私のイメージではありますが、
    日本車がこれまで、あまりデザインを重視してこなかったことは事実ですよね?
    欧州向け車のデザイン担当に聞いてみたいのですが、
    石畳の街並みを走り抜けるイメージを考えているのでしょうか?
    道具に徹するならともかく、百万以上もする買い物です。
    変なプライド・面子は捨てて、デザインや趣味性も考えて欲しいです。
    それがブランドを高めることにもなると思います。
    あと、車種も少し整理した方が良いかと。

このページの先頭へ