トヨタとテスラその3

先週の金曜日に「テスラはトヨタRAV4のEVの主要コンポーネンツを供給する」とロイターが報じていた。これを読んで皆
さん「トヨタはテスラからOEMしてもらうのか」と思っているらしい。昨日も何人かのギョウカイ関係者とそんなハナシになりました。ロイターのニュースを
知らなかったので帰宅してチェックすると‥‥。
 
確かにロイターによればRAV4EVのバッテリーやモーター、インバーター、トランスミッション、制御ソフトも含まれるとある。どうやらトヨタよりテスラ
の方が技術的に進んでいる、とロイターの記者さんは考えているらしい。客観的に評価したらどうか? テスラ・ロードスターって、改造電気自動車の域を出ていない。
 
とうか文字通りエリーゼのシャシを使った改造電気自動車です。ブレーキによる回生も行っていないし、モーターだって連続して負荷を掛けると熱でセーブモー
ド(自動的にパワーダウンする)に入ってしまう。唯一優れているのが、パソコン用の18650リチウム電池のマネージメント技術である。これは素晴らし
い!
 
一方、トヨタの電気自動車技術は、リチウム電池の開発が遅れていることを除けば世界一である。LS600h用のモーターは連続して220馬力を出せるし、
インバーターも信頼性高くて安価。プリウスのモーター+インバーターなんか少し変更すればそのまま小型電気自動車として使えるだろう。
 
さらに電気自動車の航続距離を伸ばす最大の技術である回生制動はトヨタの独壇場と言って良かろう。日産のコンビネーションブレーキも優れた実用性能を持っているけれど(トヨタは電子制御。日産は半機械式)、ポテンシャルとしちゃトヨタがダントツ。こらもうテスラじゃ無理。ベンツだって実用化できていない。
 
以下、私の解釈です。トヨタはとりあえず「恥ずかしくない性能を持つ動く電気自動車」が欲しいんだと思う。それにはトヨタ側で開発しているリチウム電池が間に合わない。そこでテスラ・ロードスターのユニットを居抜きで引っ張ってきてカタチにしようということである。ワンポイントリリーフってやつ。
 
ちなみに打ち込まれたのはパナソニックで開発したニッケル正極のリチム電池(プラグインハイブリッドに採用されている巨大な電池)。テスラがワンポイントリリーフで、後に控えているのはサンヨーの技術で開発したリチウム電池。こいつが完成すれば、ワンポイントリリーフは「グッジョブ!」でしょう。

<おすすめ記事>

4 Responses to “トヨタとテスラその3”

  1. kojima より:

    おお! トヨタとテスラの良い所取りで
    いい電気自動車が出来そうですね。日産の良き
    ライバルとなって欲しいです。

  2. ひろき より:

    鉄系の正極材で今の二倍の効率を持つ物質が発見されましたね、豊田がこれに資本投入でもしてくれれば一気に倍近い容量のリチウムイオンができ、コバルトみたいに高くて危険な物を使わない、安いものができそうです。

  3. RE より:

    日産NECに勝てるコストパフォーマンスは、三洋や湯浅では無理だと思います。ここ数年は、パナソニックの18650リチウムでいくしかトヨタに残された方策はないでしょう。そのためにテスラと提携したのです。

  4. tm256 より:

    民生用18650をトヨタが採用することは無い!って話がありましたが、ワンポイントリリーフで当面は18650+テスラのBMSってことですかね。
    トヨタの支援があれば、テスラのモデルSもロードスターより良いクルマに仕上がり、元NUMMIの工場でカンバン方式の量産も順調に進み、値段もロードスターの半分・・・ってベストケース・シナリオもありですかね。
    ところで、話は全然変わりますが、今日CEATECに行ってきました。コンデンサとかの部品ばかり作ってると思ってた村田製作所でセイサクくんを見た後、ブース内の展示をプラプラと見てたら、なんと村田もリチウムイオン電池や全固体電池を作っていたことを知りました。
    まだ事業としては小規模なようですが、セイサク君の技術力を持つムラタのリチウムイオン電池も、いずれEV/PHVで陽の目を見ることがあるのかも等と思ってしまいました。

このページの先頭へ