トヨタのスタートダッシュは他社の予想以上だと思う

2017年で一番印象に残ったのはトヨタのスタートダッシュである。直近10年間の主流だった「無難な選択」から明らかに抜け出した。決定的なのが、自動車を本来の方向として伸ばそうとしていることだ。クルマというのは「楽しさ」と「リスク」を併せ持つ。リスクを重視してしまうと、楽しさは諦めなくちゃならない。技術の進化だって滞る。理由は下のリンクで。

アフリカで文明が起きなかった理由

例えばリスクを怖がる人だと、危険性を排除するには速度出さなければいいと考える。とすれば一番安全なのは自転車で、一番危険なのが航空機のハズ。けれど事故で死亡する率を考えたら反対になります。速い乗り物ほど安全なのだ。「速さ」ということに夢を持つ人達が技術を伸ばしてきたからに他ならない。リスクを恐れ、後ろを向いたら技術の進化など無い(注)

トヨタ以外の自動車メーカーもクルマという商品を販売しているということを多少理解しているのだろう。今や「クルマの運転は危ないからしない」という社長などいない? けれどリスクを考え、必要最小限にしていると聞く。トヨタの場合「運転する」とか「しない」どころじゃない。社長自ら最もリスクの大きいラリーというモータースポーツに出ている。

普通の企業だと社員がモータースポーツに参戦することさえ忖度や手続きをしなければならない。トヨタに付いて言えばそういった遠慮など不要。社長がやってるんだから禁止じゃないことは明白。しかも! ラリーという競技にチカラを入れていることで、クルマそのものの改造を「是」としなければならない。そもそもロールバー付けたら2人乗車への構造変更が必要。

 

Gazooラリーチャレンジの会場に行くと解るけれど、全国のトヨタディーラーの桃太郎旗が立っている。自動車ディーラーでラリー車の整備をしていることを意味する。本来、違法改造でなければ自動車ディーラーで整備することに何ら問題無い。けれどディーラーの中には、部品をたった一つ交換しただけで「ウチでは見られない」となることもあるから困ったもの。

もちろんトヨタディーラーでも依然として「サスペンション交換したら面倒見ない」という対応されることもあるが、少なくともGazooの看板出している拠点なら、そういった対応をされないと思う。というか「枠にはまった対応をしないようにしたい」ということからGazooを立ち上げた。「リスク管理の強化」や「クルマいじり禁止」を進める暗いメーカーは世界のライバルと戦えまい。

当然の如くモータースポーツに興味のない社員だって少なくないだろう。そういった人達も「攻めている人達」が周囲に出てきて前向きのオーラを出し始めたら、無難な選択など出来なくなってくる。だからこそ凄い自動ブレーキ出してきた。日本が明治維新と第二次世界大戦で大きく進化したのと全く同じ状況になっているのだった。ツマらんトヨタ社員は居心地良くないと思う。

といったことを収益低下に代表されるマイナス要因無しに進めているあたりが最大の特徴。同じ方向性で環境問題も取り組み始めているから、電池で協業をするパナソニックのように「トヨタとなら社運を掛けられる!」という企業だって出てくる。豊田章男社長は2015年あたりから「もっと良いクルマを作ろう」と難解なことを言い始めた。2017年はその方向性がハッキリ見えてきたと考える。

翻って他のメーカーを見るとどうか? 依然として枠にはまっていたり、リスクを考え自らをがんじがらめにしている傾向が強い。トヨタとアライアンスを組むメーカーも、セーフティネットがあるだけでシェア低下は大いにありうる。2018年になると、誰の目からもトヨタのリードがハッキリ見えてくると思う。トヨタの次に覚醒するのはどこのメーカーだろうか? 

注・興味深いことに自動ブレーキの技術を見ると、遅いクルマ主体のダイハツはたった25km/hでも自動停止出来ない。高性能車作りを得意とするスバルは50km/h以上から自動停止出来る能力を持つ。

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