トヨタバッシングの根源

リコールのネタを書くのは好みじゃないのであまり触れたくないが、もう一度だけ確認しておきます。以前「トヨタはヌーミー/GMとの合弁工場から手
を引くべきでない。撤退したら遺恨で大きなダメージを喰うだろう」と何度か書いた。工場閉鎖は地元に莫大なダメージを与えるのだ。

この件、トヨタの役員(複数)にも大丈夫なのか聞いてみました。するとヌーミー撤退の件は、あまり問題視していない様子。どうやらアメリカ側とトヨタ側の認識に大きな差があるらしい。ここにきて手を打ち始めているというウワサも聞くので、今回のリコールでトヨタ叩きが治まればいいのだけれど……。

ちなみに230万台のリコールとなれば、アクセルペダルをその分だけ作らなければならない。いや、アメリカでリコールを出せばヨーロッパ分の200万台も無視できないだろう。おおよそ6年分くらいのアクセルペダルを数ヶ月で作らなければならぬ。当然ながら専用のラインも立ち上げることになろう。

また、430万台のリコール対策に掛かる費用は、さすがのトヨタでも「不測の事態」に備えていた予算を大きく超える。それだけじゃない。マスコミに好かれていないトヨタとあって、早くも「トヨタの安全神話揺らぐ」みたいに書かれてしまってます。こういった報道によるイメージダウンはプライスレスだ。

ただこの程度のリコールで土台まで揺らぐことなどない。相当痛いけれど、私が自分のクルマを軽くぶつけてしまった程度のダメージかと。問題は「今後も続くかどうか」である。今回の件だって、冷静に考えてみればリコールを出す必要の無いマイナーなトラブルの可能性大。サービスキャンペーンで済んだかも。

けれどトヨタとしちゃ「甘い対応をすると、さらに叩かれるかもしれない」みたいに考えてしまう。そいつを恐れてリコールにしたんだと思う。リコールを出せば
「それみたことか!」とバッシングをされるという悪い循環に入ってしまうと最悪です。日本ではKY企業も通用するが、アメリカじゃ厳しい。

民主党じゃないけれど、良いブレーンがいないのだろう。というか最近のトヨタは「外の声」を聞かなくなってます。一日でも早くアメリカでのトヨタバッシングが止む事を願う。

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5 Responses to “トヨタバッシングの根源”

  1. samine より:

    最近のトヨタ情報についての記事、ありがとうございます。
    どうも、トヨタに限らず愛知系の企業って批判者の意見を聴かないところがあると思います。
    例えばJR東海(本社・名古屋)は外国人向けの全国鉄道パス「ジャパン・レールパス」などに日本のJRの列車が全て乗り放題中東海道・山陽新幹線の「のぞみ」だけ乗れない、といった自己中心的な馬鹿なルールを付け加えさせたりしています。これには長年に亘る批判があり、今や東海・山陽新幹線の列車本数のほとんどが「のぞみ」なので、「ジャパン・レールパス」はこの規定一つのためにかなり魅力を落としているのですが、東海道新幹線による収益が全体の9割近い同社は自社の利益を至上と考えて一向に改めようとしません。不満があるなら使わないでよろしい、ということです。
    自民党も、反対する国民の意見を無下にして暫定税率を10年も延長するという国民を馬鹿にした悪行を行い、その後も国民の批判を省みなかった結果、沈没しました。民主党も同じような所があると思います。
    どうも、権力者や強者というのは、自分の権力や実力を誇示したくて自己中心的になりがちなんですよね。そして自滅していくのが、彼等の末路の一つの定番ですね。「驕れる者久しからず」というわけです。
    問題はトヨタや民主党に自らこれを糾す自浄資質があるかどうかですが。

  2. 阪神ファン より:

    GMがトヨタ車からの乗り換えに対しては補助金を出すといった記事を見ました。日本車からの乗り換えでなくトヨタ車に限定しているということは、あきらかなトヨタ叩きだと思います。我が家でとってる新聞でもトヨタ叩き記事がのってました。日本のマスコミは、もっと真面目に仕事をしてほしいです。単なる企業叩きとしか思えないです。

  3. kojima より:

    なんかトヨタリコール記事を書いていただくような
    コメントをしてすいませんでした。
    トヨタでは思っていた以上に深刻に捉えているようですね。
    残念なのが、マスコミが叩くほどトヨタは悪い企業では無い事です。
    トヨタが早く信頼が回復し、正しい評価がされればいいんですが。

  4. 小林 英弘 より:

    企業がKYなのでは困りますが、KYは「空気読めない」のコト。ではその世の中の「空気」を何かある度に殊更に煽り立てる「マスコミ」はいかがなものかと。こういう言い方は良くないと思いますがマスコミって「ハイエナ」の様なイメージ。特に事件や事故、不祥事といった「悪いコト」が大好きです。しかも彼等は一度見つけた「ネタ」でもって世論を煽るだけ煽り立てて、やがて「ネタ」の鮮度が落ちれば「ハイ、サヨナラ」です。彼等の報道のおかげで個人(犯罪被害者の家族等)や企業(今回ならトヨタ)がどれほど精神的・経済的被害を被ろうが彼等は「そんなコト知ったことか」です。で少しでも非難されれば得意の「報道の自由」や「知る権利」などの錦の御旗を振りかざして非難した相手を10倍返しや100倍返しで攻撃します。今回の騒動は米国人の日本企業に対する感情を「ネタ」にしたのだからその影響は計り知れません。私のイチ個人としての主観としては「アンタら一体何様?」です。敢えてヒドイ言い方をすれば「人様の不幸に鷹って金儲けする最低な輩」です。…もちろんマスコミの存在意義を全否定する気はありませんし、健全な社会を維持するためのチェック装置として必要な存在であるコトももちろん認識していますが、それでも往々にして「目に余る」と感じるコトが多いです。マスコミに対して「アンタら今その人にそれ聞くのKYだろ!」と思うことも多いです。マスコミの人達にも「良識ある報道」を願います。ナショナリズムに染まった報道はフェアだとは思えません。

  5. ijiok より:

    トヨタってマスコミに好かれていないんですか?あんなにCM流しているから彼らTV局や電通や博報堂など広告代理店にとって大事なお客さんとばかり思っていました。
    小林さんのご意見と同じで、彼らはハイエナのイメージです。必要以上に叩いたり、一体どこの国のメディアなのだろう?と思えてなりません。
    先日だと菅大臣の円安発言でも大バッシング。(まあ介入があったとしても、アメリカはアメリカでドル安歓迎、他の国々も然り。各国が一致しないのだから一時的にしか止めれないでしょう。つまり為替問題は日本の政治では止められない。)多少問題はあっても日本企業を後押ししようとしてるのに、どっち側のメディアなのかと疑ってしまう有りようです。
    一方、自動車の基本ソフト共同開発のような喜ばしいニュースは余り流さないんですよね。

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