トヨタWRC復帰の大きな課題

1月30日にトヨタが発表するからそれまで待って、と思っていたけれど、いろんなメディアでWRCの復帰をスクープされてしまいました。以前も書いた通りWRCギョウカイじゃ昨年のウチに皆さん知っていること。すでにVWやシトロエン、フォードもトヨタの復帰を歓迎する旨をメディア向けにしてます。WRCのTV”怪”説をやらせて頂いている私としては、少し違う方向から分析させて頂く。

私も12月19日に復帰を紹介してます

興味深いこと他のメディアは復帰に於いて「参戦車両」がキーだと判断している感じ。結論から書くと欧州で販売している『ヤリス』(日本名ヴィッツ)になるのだけれど、そんなこと大きな問題じゃありません。関係者からすれば「エンジンどうするんだろう?」。WRCのトップカテゴリーである『WRカー』も、2番目のカテゴリーの『R5』も、『GRE』と呼ばれる1,6リッター4気筒直噴ターボが必要。

そいつをトヨタは持っていない。ここまで読んで「開発すればいいでしょ」と思うだろうが、そう簡単にゃいきません。最初から「量産車にも搭載可能な競技用エンジン」として開発しない限り、1,6リッターで50kgm以上のトルクなんか出せないのだった。特に低い回転域から最大トルクを出すレスポンス良いエンジンを作ろうとすれば、強度だけでなく基本設計の時点で対応していなければならない。

先行開発テスト車はトヨタのエンジンをTSGで改良した『GRE』搭載しているようだけれど、公開された走行テストの動画を見る限り「う~ん! キビシイですね」。現時点ではWRカーというより下のクラスのR5と勝負するのも難しい感じ。もちろん今の段階は先行試作。ホンキになってエンジン開発を始めれば、2017年と言われる本格参戦(その前にテスト参戦するだろう)に間に合う?

私は相当難しいと考える。なぜか。今のところ開発の主体としてドイツに本拠地を持つ『TMG』が動いている。ここだと市販エンジン開発部門が無い。一方、今回のWRC復帰は強い強いTMGの働きかけによるもので、日本のエンジン部門は静観しているのだった。端から見ていても「全くまとまってないですね」。トヨタくらい大きい企業になると、そう簡単に意思の疎通なんかできない。

じゃダメかと言えば、そんなことないと思う。WRCへの復帰を決定的にしたのは「クルマは道が作る」を理念としている豊田章男社長だ。サーキットのような広いエスケープゾーンなど無い舗装路から砂利道、雪道など様々な状況の公道で競技を行うラリーこそクルマ作りの原点。スポーツカーでなく実用車のイメージアップ手段としてはF1を大きくしのぐ。世界規模で見ればF1より人気です。

私も章男社長の判断を100%支持したい。ただ皆さん「思惑」があるのだろう。前述の通り複雑な社内事情のため、結果的に本社の開発部門と一番遠いTMGが手がけることになってしまった。章男社長の年頭スピーチでも「社員の気持ちを変えるのは難しい」と言う内容でした。バラバラの体制でスタートするトヨタのWRCはきっと皆さん考えているより厳しい立ち上がりになると思う。

ここからが面白いと考えます。なんせWRCは章男社長の強い希望だ。ダメダメだったら、すぐ「何をやってるんだ!」とトヨタ本体から檄が飛ぶ。そして徐々に日本側もWRC車両の開発に引き込まれていくことだろう。ここからの「頑張り」こそ見所かと。ということでテスト参戦で大きくへこむだろうけど、これは当たり前だと理解して頂きたく。2年くらい厳しい修行をしてから本領発揮でしょう。

Jスポーツの放送予定

今週末はWRC開幕戦のモンテカルロが『Jスポーツ』で放送されます。どんな競技なのか興味ある方はぜひ御覧ください。


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