ドイツ車強い

ユーロ高にもかかわらずドイツ車は値上げしない。先日試乗したアウディA4など、先代と比べほぼ同じ価格をキープしながら、ボディサイズやエンジンのスペックを向上させてきた。つまりA4とA6の中間くらいの車格のモデルになりつつ、価格はA4なのだ。先代A4のサイズだと割高に感じた価格ながら、大きくなった新型を見ると「高くないですね」と感じてしまう。ベンツも新型Cクラスのセダンに、427万円というベーシックグレードを追加。ベーシックグレードと言いながら、ナビ標準装備。エンジンだって1,8リッターのスーパーチャージャーで、動力性能の不満無し。レクサスIS250の390万円と比べれば、迷わずCクラスを選ぶ。VWの価格設定も戦略的だ。間もなく追加される1,4リッターターボ+7速DSGの『ゴルフE』も250万円少々の価格になる模様。レクサスが超えなければならないハードルはドンドン高くなります。

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One Response to “ドイツ車強い”

  1. 真鍋清 より:

    VWの中でもパサートCCの価格は法外なほど高すぎる!600万円からスタートして目下620万円、どうにも現実離れした数値に感じられてならない。
    このパサートCC、3.6LのV6/300psを搭載して本来43000ユーロ程度で売られている車種だ。従って実勢で470万円弱、PPP(購買力平価)換算で440万円程度(※19%のIVA=購入税込み)となりメルセデスならC280(3.0/231ps)やC250アバンギャルド(1.8過給器付き/204ps)、BMWなら330i(272ps)とほぼ同価格で一回り大きく押し出しが効くボディとEクラスや5シリーズ顔負けの安定性が手に入るのが売り物だったはずだ。
    EUではこうした売り方をされているパサートCCも、日本に来ると「VWセダンの最上級車だから」という理由で以て大層な価格を付けられる、これでは客を舐めきっているとしか思えず自ら市場を閉ざしているのではないだろうか。
    無論、現実的には資材の高騰や諸経費、日本独自の商習慣など複雑な大人の事情があることは重々承知だ。その一方で、目下のパサートCCの600万円台という価格は1ユーロ=170円近かった時代に決められたものであり、1ユーロが110円を切った現在こそ大幅値下げに踏み切るチャンスではないかと思う。これを機にCC3.6で510-520万円まで、さらには495万円まで下げてくれたらなお理想的だろう。
    そもそもVW社では姉妹車パサートV6 4モーションを439万円で(2006年に)売り出し、3.2V6/250psの高い基本性能を持ったDセグメント・ドイツ車がクラウンよりも安い400万円台前半で手に入るということで独自の市場を得たのではなかろうか。その当時ユーロは150円前後、パサートの実勢価格は本国では600万円近く、それを出血価格であえて439万円(※後に492→502万円と値上げしたが)で売り出したその姿勢は本格的に顧客のことを考えた良心がにじみ出ており尊敬すべきものと思う。
    それと同じメーカーが600万円のV6搭載VWセダンを売り出す、こちらはいかに前記パサートの上級車種だからといってボッタクリとしか思えず、ユーザー本位とはとても言い難いだろう。
    そもそもVWというメーカーはゴルフGTI以来「中産階級の為のジャイアントキラー」を生み出すことについては右に出るものがなく、それが「メルセデスS550L顔負けの走行性能と磐石のトラクション能力」(※注)を併せ持ったパサートR36(3597cc/300ps)や「5人乗りのポルシェ・ケイマン」というべきゴルフRという形で結実しており、お陰でEU諸国においては中流の皆さんに勇気と自信を与え、独自の市場と計り知れない社会的意義を果たしているのは否めない事実だ。そうした原点を忘れて、リーズナブルと言いかねる価格を芸もなく付けているのが我が国におけるパサートCCであり同R36であると思えてならないのだ。
    VWはあくまで「庶民の味方」に徹してパサートCCを現状の100万円引きにしてクラウン・アスリートやレクサスIS350らに真っ向から対決させてもらいたい。そして目下未発売のパサートR36セダン(現状ではワゴンのみ)を490-505万円の値付けで売り出す実験をしてもらいたいと願っている。さすがにエコ減税は受けられないだろう、しかし少数ながら着実に支持者を得てそれがガラパゴス化しつつある国産上級車界に風穴を開ける手がかりになるものと信じて疑わないのだ。そしてゴルフRは505万円から(旧R32並みの)450-460万円まで値下げすればそれだけでも大幅に印象が変わるように思えてならない。
    個人的に別の投稿でも述べたと思うがパサート3.2V6 4モーションのセダン(250ps/33.6kgm)がアウトバーンでメーター読み280km/h=実測270前後で大過なく巡航する動画をYoutubeで発見して以来心底ノックアウトされ、VW上級車の底知れぬ潜在力の虜になった小生にとって現状のVWの値付けにはあれこれ言わずにはおられないのだ。ポロから量販グレードのゴルフ関係は様々な制約の中大いに努力している形跡が伺え、VW側も日本市場を真剣に考えていることが見える。そうした意味ではVW自身の理知と進取に富んだエンジニアリング開発とうまく整合性が取れているといえよう。ところが6気筒を中心とした上級車になるととたんに「高級品を高級なお客に」という旧弊が見え隠れして両手を挙げて賛成しかねるのだ。そう言うと人は「中大型VWもメルセデスやBMWよりリーズナブルなのだから良しとしなきゃ」と言うかも知れない。ただそれだからこそなおさら「価格破壊」を期待したいと願う辺り、当方のVWに対する期待値が高すぎるのだろうか?
    折も折、ピーシーアイ株式会社(ケーターハム・セブンの輸入元)がサーブ9-5の新型をリーズナブルな価格で近いうちに輸入する運びという。これを切り口に、数々の並行輸入業者や中古車販売チェーンがユーロ安を生かした新たな輸入車販売形態を展開する可能性が広まっていると言う。こうなってこそ黒船到来であり、VWをリーダーに既存のインポーターも既成の殻を見直した新たな販売・マーケティングの姿勢が求められるのは明白だろう。それでこそガラパゴス化しつつある我が国自動車業界を国際的パラダイムに呼び込み、広い意味で国益を守ることにつながるのではないだろうか。
    PS(あとがき:※注)
    上記拙文の中で触れたVWパサートR36は3597cc/300psにして0-100km/hを5.3secで走り(某ドイツ誌の計測)、最高速にしてもリミッター解除で285km/h!を出した報告がウェブ上で発見され、いずれもメルセデス・ベンツS550L(387ps)やBMW750iL(407ps)に匹敵する驚異的データといえよう。

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