三菱とプロトン

マレーシアに「プロトン」という自動車メーカーがある。かつては三菱自動車と密接な関係にあり、最初に生産したモデル『サガ』もランサーフィオーレがベース。その後もランサーやエテルナベースのクルマを生産するなど、三菱自動車と密接な関係を続けていたものの、徐々に距離を置き始めていく。

2005年に三菱商事は所有していたプロトンの株式を全て手放し、資本関係も無くなった。しかしプロトン側の三菱自動車に対するイメージは非常に高かったようだ。同年9月に三菱との関係を切った社長が退任するや三菱自動車にラブコールを送り、2008年に開発/生産に関わる広範な提携も始まる。

2010年11月に発表された『インスビラ』は現行ギャランフォルティスのフロントグリル違いのモデルと言って良
い。インスビラに採用されている部品の半分以上が三菱自動車から供給されるため、売れれば売れるほど利益になるという寸法。本来なら今後もマレーシアで良
いビジネスが続けられたことだろう。

しかし今年になってプロトンの経営陣は再び変わった。42,7%の株を『DRB-ハイコム』(マレー
シアのコングロマリッド)が購入。DRB-ハイコムはアウディなどのノックダウン生産をしていたこともあり、すぐVWを訪ね提携を申し出た。前の経営陣もVWと交渉していたものの、決裂してます。

新しい経営陣は素早く動き、マレーシアからの情報によればポロのノックダウン生産を行う方向で話を決めたという。しかも7万リンギットという日本車と同等の価格設定を考えるらしい、とマレーシアで話題になっているそうな。VWポロ、WRCのベース車両にもなっており、今やVWの国際政略車種である。

当初5〜7万台規模での生産を想定しているようで、DRB-ハイコムはアジア地域へ
の輸出も想定。ビジネスが上手く進めば一段とVWグループとの関係を深めていくことは想像に難くない。三菱自動車との関係も新しいプロジェクトを凍結したと聞いた。VW、いつの間にかアジアで存在感を増している。

今や日本の自動車メーカーが中国、インドに続く重要国としているインドネシアにもVWは大規模な生産拠点を建設中(当初はスズキと共同する予定だったというが、単独に切り替えた)。三菱自動車やスズキにとってアジアは重要なマー
ケットだ。もちろん三菱自動車やスズキだって解ってる。すでに手を打っていることだろう。

・ECOカーアジアは「ホンダのディーゼル発売秒読み

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4 Responses to “三菱とプロトン”

  1. さね より:

    なんだかVWて凄いんですね。それに比べちゃ話にならないけど三菱、スズキ…今はまだいいかも知りませんけど、大丈夫なんですか?スズキがインドなどで強いのは知ってます。いっそ三菱とルノー日産があまり仲良くなけりゃ、電気に強い三菱とスズキ一緒に軽自動車なり共同開発したり普通車も密接になってコスト競争力つけて、スズキの大御所を出し抜いてモータースポーツも共同でやって勝ちまくるとか柔軟にやってほしいなぁ。ルノー日産とは縁切りしたほうが三菱の為のような気が… いいように使われるだけで。スカイのマツダも入って世界を席巻してほしいです。でも弱い物どうしくっついてもダメなんですかね? アナリストはそうゆうだろなぁ。頑張ってください日本メーカーさん。

  2. ねこまんま より:

    VWがとうとう本気で東南アジア市場に来た。
    昨年VWとの提携がぽしゃった時にこうなるのは予想できたこと。
    あの時VWの傘下に入ってもこの先単独一社で戦うより名を捨てて身をとればよかった。
    今でもミッションなんかを他社から買ってるんだからその供給先がVWになってもなんら問題無かったのに
    (むしろDSGとか分けてもらえる可能性も有ります)
    スズキ自体は小型車に特化して中型車以上はVWのプラットフォームを使えれば売れもしないキザシなんて造らなくても良くなるのに。
    小型車、軽自動車もポロとかのプラットフォームをいじれば十分に実用範囲でしょう。
    そうすればいつもでも古い軽自動車ベースの車ばかり造らなくても良いのに。
    スズキが一番弱いハイブリッドやディーゼルなんかもVWから提供を受けれるし。
    日本人は外車好きだから「所詮軽自動車メーカー」なんて言われずに売れると思いますけどね。
    その内スズキのシェアが多いインド市場にもVWは進出してくることでしょう。
    スズキの社長が意地を張ったばかりに今後はVWと同じ土俵で勝負することになる。
    スバルがトヨタと組んだことで生き残れたように今のご時勢単独一社ではかなり苦しくなるでしょう。
    スバルはトヨタと組んだからこそ赤字の軽自動車も切れたし、車種も増やせたしBRZも造れた。
    GMに見捨てられ提携相手がいなければ本気で危なかったでしょう。
    今のマツダがそういう状態ですね。

  3. COLT より:

    かつてはヒュンダイもそうだったんですよね・・・・・。
    三菱に残された道はこれから自動車を生産しようと意気込んでいる国へエンジニアリングコンサルタントとして乗り込んで国際貢献することでしょう。
    間違っても経営にまでには手を出さないで欲しいです。

  4. 白木 晴幸 より:

    VW社、スズキとの提携を模索しながらアジア上陸のタイミングを探っていた? 水面下での分析の結果出た答えがDRB-ハイコムというコト。しかも欧州人らしく政治的にタチマワッテ。
    バカ正直に交渉していた日本人はまんまと〝出し抜かれた〟と云ったトコロでしょうか。 ソロバン勘定コミで…。
    日本は、政府も企業もインテリジェンスに欠ける。もっとシタタカに情報収集や分析をして欲しい。元某外務事務官のように…。

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