円高で空洞化進む

ホンダは日本の自動車メーカーとしては飛び抜けて高コスト体質だと言われる。こらも
うコスト管理をしている本社の皆さんが口を揃えて「ウチは節約しようとしたらもっとイケます」と言うほど。なぜか? 簡単である。日本で調達している部品の多くを、ホンダ関連企業に頼っているからだ。

例えばショーワやケイヒン、日信など幹部はホンダOB。その他、ATすら内製しているた
め、ホンダが主な取引先という部品メーカーも少なくない。調達価格の引き下げを要求しても、かつての上司が出てきて諦める、といった状況だという。ハイブリッド車の価格設定の高さなど、そのあたりに原因あるのか?

実際、日経ネットによれば、今回の円高を受けホンダは部品の海外調達を増やす方針を打ち出したそうな。これなら部品の調達
コストを引き下げることが可能。中国やアジアで生産している部品も増えてきたため、例えばフィットの場合、その気になれば50%近い部品を海外で調達可能だという。

もちろんホンダ以外のメーカーだって同じような悩みを抱えているハズ。さらに労働コスト&環境の悪化により、日本から脱出する機会を狙っている。ただ平時にそれをやると「空洞化を招く」と叩かれてしまう。今回の円高局面、悩んでいる自動車メーカーにとっちゃ大いなるキッカケになるかと。

日産もマーチの売れ行き次第で日本製部品の牙城だったタイヤを安価なアジア製タイ
ヤに切り替えるかもしれない。といった具合で空洞化は日本の産業にとって大いなる危機。されど政府を見てるとそういった認識や危機感無し! 文字通りヒトゴトです(我が国は自民党時代からそうだった)。

一度海外に逃げ出した部品メーカーは、よっぽどのコトが無い限り日本に戻ってこない。基本的に片道切符なのだ。この時間も日本中の優良企業が日本脱出の会議を行っているだろう。早く手を打たないと手遅れになります。もちろん今回も政府は無策だと思う。このことを皆さんに認識頂きたく。

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4 Responses to “円高で空洞化進む”

  1. ゴン より:

    国沢さんのおっしゃる通り自動車産業のような典型的な輸出企業にとっては円高は大打撃でしょうが、産業はそれだけではないし、逆にM&Aで恩恵受けてる企業もあります。
    もう自動車業界は補助金名目の税金がたっぷり注入されて立ち直ったのだから、次は違う産業が恩恵受けてもよいのでは?と思います。
    今は産業構造の転換期なのかも知れませんね。

  2. 真鍋清 より:

    何という近視眼的視点、自分の国の産業や経済、その将来を考えていないのか…..もはや余りに非現実的で批判する気も失せている。
    そう、今回の空洞化が「噂」の「ネタ」に過ぎず、無責任なマスコミ側が流した一種デマであることを願っている。

  3. ted より:

    菅総理大臣は国家戦略室の室長だったはずだが、まったくなにも考えない人ですね。私がその要職にいたら平常時は米国国債など買わないで円高になったときに米ドルを大量に買って円を下げ、ドルが高くなったらドルを売って儲ける。
    あと今すぐやらなくちゃいけないのはアセアン各国と中国・韓国が組んでるFTAへの早急な加盟でしょう。
    金利を下げるとか児童手当とか高速無料とかより優先事項ですよ。政治家が劣化してるのは国民がぐうたらだからだと思います。

  4. MCタイチ より:

    ホンダが「日本の自動車メーカーとしては飛び抜けて高コスト体質」とは初めて知りました。2輪メーカの中ではそうだと判っていましたが。
    さて昨今の円高騒ぎと、慢性的な景気低迷や産業空洞化の話は別件だと思います。既にグローバル企業は円高でも利益が出る体質になっており、更に今は投資を抑制してキャッシュを溜め込んでるお陰で、むしろ円高の方が都合が良いとも言われます。だから輸出企業は苦しそうな顔をして「これだけ円高になったらもう日本では作れませんよ。だから海外に出て行くのを許してね」というアピールをしているだけだと思います。
    しかし本質的には通貨高云々よりも、労働コストの高止まりが問題。労働集約的な産業が国内からいなくなるのは、先進国の宿命みたいなもんです。その場合、ITや金融、医療など高付加価値な分野にシフトするのが正攻法です。また少々消極的ですが、グローバル化による低賃金圧力を比較的受けにくいサービス産業(人は国境を越えにくい)の比率を増やすのも手です。
    しかし日本の実情は、「ものづくり」一辺倒の割には、新興国に絶対真似の出来ない(しかも世界が必要としている)要素技術をもっている製造業は極少数で、あとは自転車操業。第3次産業は妙な因習とIT化の遅れにより、下手すりゃ新興国より生産性が低い・・・。誤解を恐れずに言えば、世界で勝負する実力もない大半の企業が既得権益にしがみつくか、縮小する国内市場でパイの奪い合いをしているのが日本の現状です。
    それを打破するには徹底した規制改革により自由競争を促進し、企業の自然淘汰つまりは産業の大リストラをやるしか無いでしょう。起業環境の整備や外国企業の誘致も積極的に行い経済に新しい風を送り込むべきです。死に体の企業又は産業を援助して延命しようなんて問題の先送り以上に有害です。援助するなら失業した個人に直接お金を渡した方がよっぽどマシです。

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