巨額の赤字

プジョー・シトロエングループが50億ユーロ(約6千億円)もの赤字を出した。ただ実際の赤字を見ると1千億円程度。いろんな分野の評価を見直したりして強引に作った巨額の赤字である。なぜ大きな数字にしたのか? こらもう簡単。この機会にジャマだった”モノ”を切り、身軽になりたいからである。

例えば何回か書いてきた通り、欧米における「仕事」はものすごく重要。大きな理由無く仕事を奪うようなことをしたら、猛烈な反発を喰らう。特にフランスの労組って強い。工場の閉鎖や縮小など事実上できない、と考えていいだろう。だからこそトヨタはアメリカ工場を畳んだときは猛烈なシッペ返しを喰らった。

この感覚、日本人には薄い。ミシュランが日本の群馬県にある工場を閉めた時も、ほとんど問題にならなかった。ミシュランの幹部は驚いたという。なぜか? 歴史を見れば分かる通り、基本的に欧米のワーカーは立場が弱かったからだ。そもそも欧米の価値感からすれば肉体を使った労働は「神様が与えた罰」。

できればカラダを使わないで稼ぎたいのである。加えて経営者の側からしても、弱い労働者の不利になることはやっちゃイケナイという気持ちを持っている。一方、日本は天皇陛下自ら田植えを行う。労働は「是」である。「良い」とか「悪い」の問題では無い。日本がユル過ぎるんだと私は思ってます。政府も関心薄い。

そんなことから欧米人にとって労働条件や環境、雇用は大きなテーマ。実際、すでにプジョー・シトロエンは「赤字を理由にしたリストラを行うんだろう」と、社会問題になりそうだ。日本の自動車メーカーも景気の悪化で大量の人員削減を行ってきた。欧米人は「なんでそう簡単に人を減らせるのか?」と思っている。

ユーロ危機以来、欧州地盤のメーカーは厳しい状況になっているけれど、果たしてどんな生き残り策を打ち出してくるだろう。他の人やメーカーの生き残り策を見ると、素晴らしい知識になります。欧州メーカーの動きに注目すると興味深い。ジュネーヴショーで欧州の新しい「時代観」が見られるかもしれません。


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