日本沈没

どうやら閉塞感抜けないの、日本だけになりつつあるようだ。アメリカや欧州市場を見ると底を打っており、ジワジワながら上
昇に転じつつある。アジア諸国は中国やインド、インドネシアがイケイケの状態。韓国も日本の企業の市場(クルマや電器)を世界規模で食い始め好調です。

なのになのに。日本人の多くは「未だ世界同時不況が続いている」と認識しているから不思議。新しいニュースや明るいニュースも極めて少ない。もっと厳しいこ
とに、直近の数年で日本の状況が好転する兆しは全く見えてこない。仮に世界好況となっても、日本だけ取り残されるだろう。

なぜか? こらもう簡単。工場がドンドン逃げ出しているからだ。自動車を見るとモデルチェンジの度に海外生産部品比率増えている。自動車メーカーだけじゃない。間もなく
機械関連企業の一つが(従業員数約5千人)日本の生産施設を全て廃止すると言われてます。ミシュランも工場を閉めるし。

日本の政治家や役人は、工場を閉めることに対する危機感を全く持っていないから不思議。「環境問題や地球温暖化を考えれば、むしろ工場なんか無くなってもいい」くらいに思っているようだ。どうやら「産業=生産」ということが解っていない。地域の衰退と、産業の衰退は同義語です。

タイのモーターショーが開幕した。破竹のイキオイで伸び続ける中国にお株を奪われた格好だった東南アジアだったけれど、ここにきて復活しつつある感じ。なかでも地盤沈下傾向
だったタイは面白い存在になりつつある。実際、このところアジアからのニュースを見ると、タイ発ばかりと言って良い。

日産は次期型マーチをタイで生産し、日本を始め多くの国に輸出する。ホンダもフィットの下のコンパクトカーについちゃタイをマザー工場とするようだ。タイヤメーカーの動き
だって急。続々タイの工場増強を開始してます。今後、ベトナムやラオスあたりに工場進出する企業が急増する模様。なぜか?

中国は発展と共に労働コストが上がり始めた。特に海沿いの地域を見ると、そう遠くない将来、東南アジア地域より高くなること確実。しかも一人っ子政策のおかげで、ワーカーを集めるのが難しくなるだろうといわれてます。中国もキッチリ認識しているらしく、東南アジアの国々と
FTAを結び始めた。

FAT(自由貿易協定)を結んでクルマの部品などの関税を減らせば、輸送コストだけで済む。中国全体からすれば、部品はさらに労働コストの安く国から買って、利幅の大きい完成車を作った方が効率よい。すでに中国は東南アジア地域全体を利用しようとしているのだった。

ここもキーワードは「工場」。そろそろ我が国も工場について真剣に考えないと、立ち直れなくなると思う。能力
のある人は内需産業でなく国際競争力のある企業を選ぶべき。

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3 Responses to “日本沈没”

  1. lucky より:

    いつも拝見させて頂いています。
    国沢先生の思いに共感いたします。
    日本はこのままでは、数年後に債務超過に成るでしょう、内容を見るとIMFを含め、いろいろな国にお金を貸しています。また差し上げてる国もあります。そうしないと円高がもっと進み、既に日本には工場がほんの一部しか残って居なかったかもしれません。
    国内の予算の無駄遣いを辞め、消費税を15%位にすれば、なんとか成るかもしれません。これでもヨーロッパ並の税率です。
    特別減税で買った物には、他の人からの税金が使われるのだから、仕方ないでしょう。
    昨日のニュースで、郵貯銀行などの限度額アップの話がありました、これらも日本国債の購入に当てられます。国債を国外に出さないようにしてます。
    私達は、時代が変わったのだから、変化に対応しなくては生きてはいけないでしょう。

  2. ijiok より:

    不思議なのは、他の先進国(韓国も含めて)は、工場流出をどう防いでいるのでしょうか?
    ルノー国内工場の東欧移転を阻止、のニュースも、サルコジさんがEU?から批判を浴びた云々まではありましたが、その後が解りません。
    日系企業が中国からシフトしているのは、もう一つ、中国への疑念もあるんじゃないかと思います。知り合いの人で中国工場に転勤して責任者になっていた人から聞きましたが、技術を覚えると独立して起業し、似たような商品を作られたそうです。つまり特許の問題です。
    その点、タイの方が安心。タイやベトナムの人は好日的な面でも向いていると踏んでいるのかもしれません。
    意外に皆さん知らないのが、一人っ子政策で、今後中国でも高齢化&少子化問題が来るそうですね。
    あと、次の主席が誰になるのか。江沢民派(財閥支援・親米・市場第一路線)なのか、胡錦涛派(党役人あがり・反米・計画経済路線)なのかも影響しそうです。日本では一党独裁という認識ですが、日本なら小泉VS小沢、アメリカにも両派あるのと同じで、実は似ている状況だそうです。

  3. いけだ より:

    先日、ある講演会で
    『労働コストが重視される工場はとっくに海外移転していて
    今残っている工場は内需型の産業ばかりなので
    工場の海外流出はあまり気にする必要がない』
    『製造業が雇用を吸収できるのは国の経済が発展途上の段階であって、
    どの先進国の事例を見ても経済が成熟段階に入ると
    製造業の雇用は大幅に減る』
    等々の研究発表を聞いてきました。
    私の持論は
    発展途上国型の高度成長の経済構造から
    安定成長型の経済構造への移行に失敗しているために
    マイナス成長が続いていて、
    それがデフレが20年も続いていることや、
    雇用のミスマッチが激しいことなどの原因だと
    考えています。
    つまり、工場の雇用が減少することよりも、
    経済が安定成長の段階になったにもかかわらず、
    成熟経済にふさわしい産業が出てきていないことが
    不景気の原因だと考えています。
    過去にイギリス病とかオランダ病とか言われて
    高度成長から安定成長に移行する段階で
    混乱があったわけですが、
    今の日本がその頃の状況になっているわけですね。

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