次期型レクサスIS

先行試乗会を行った際の雑誌記事でベタ誉めされている次期型ISのプロトタイプに乗る機会があった。なるほど素晴らしい仕上がりでございます。詳しくはベストカー4月26日売り号やオールアバウトで紹介するけれど、キッチリと煮詰められた良い走りを見せる。なかでも『Fスポーツ』の乗り心地の質感たるや素晴らしい。

しかし! 今やこのクラスは自動ブレーキ装置の採用があたりまえ。アイドリングストップ無しのクルマだってアメリカ車以外、存在しない。加えてアコードやアテンザで間に合っているアメリカのスモールオーバーラップ衝突モードにも対応出来ておらず。レクサスに期待される「環境と安全」の両方大いに不満足である。

もっと言えば、ハイブリッドの電池も今や新型車じゃ当たり前になったリチウムじゃなく、旧世代のニッケル水素。明らかに魅力度アップになるこれらの新しいアイテムを、なぜ採用しなかったのだろう? 前述の通り素晴らしい走りの質感を持つだけに残念だ。問うてみたら「上手な説明が出来ないので来週まで時間をください」。

おそらく「新しい技術を入れなくても売れるから問題ない」ということなんだと思う。上記4つのアイテム、採用しようとすれば大幅なコストアップ要因になる。採用しないで売れるなら、それが最も良い判断だ。でもあまりに夢が無い。そもそもレクサスのコンセプトって「トヨタじゃ出来ないことをやる」だったと思っていた。

プリウスαだって3列シート車にだけリチウム電池を採用している。だったらISだけリチウムにすることだって十分可能だろう。開発担当者に聞くと「リチウムなら同じスペースで大きな容量の電池を積めます。そうすればレスポンスなど一段と良くなります」。当たり前ながら現場の技術者達には夢がある。そいつを実現出来ないらしい。

何度か書いた通り日本でレクサスを立ち上げるとき、関係者の皆さんは「正直なプレミアムを目指す!」と言っていた。夢を語り私も感じ入った。しかし今や本来なら「先端技術」や「ユーザーを大切にする精神」に代表される日本車の持ち味(トヨタは特に後者)を忘れてしまったように思う。残念でならないです。

多くのメディアは次期型ISをベタ誉めすることだろう。何度も書く通り私も走りについちゃ大いに評価する。けれどクルマ全体の魅力度となれば厳しくならざるを得まい。しかもBMWの3シリーズと同等以上の価格になる模様(ハイブリッドは間違いなく320dより高額)。ベストカーの原稿はレクサスの回答を貰ってから書きます。


13 Responses to “次期型レクサスIS”

  1. アミーゴ5号 より:

    なるほど。
    そんなだからモリゾウ社長が、レクサスインターナショナルの責任者を兼務するのですね。
    世界一の自動車メーカーのプリンスが、プレミアムブランドを直接指揮するというのは、ヒジョ〜に良いことだと思います。
    だってレクサス開発陣も、お給料を頂くサラリーマンですからね。難しいと思いますよ、プレミアム。

  2. CVCC より:

    最後の一文の電池に関する部分は、間違ってニッケル水素電池と書いてしまいましたが、レクサスにも早くリチウムイオン電池を採用してほしいですね。

  3. 真鍋清 より:

    レクサスの作り手は結局「自ら情熱を持って」ではなく「サラリーマンとしての仕事」の一部としてクルマを作っているのでは無かろうか。
    レクサス自身「自我」の確立を探しあぐねていたからこそ数年前の日本発足時に「微笑むプレミアム」なんて言う雲を掴むようなブランドメッセージを掲げていたのではないだろうか。
    そんな「微笑むプレミアム」時代を過ぎて第二ラウンドに入ったレクサス戦略―ハードとしての煮詰まりは世界水準に達した、その反面「志」の面で一筋縄では行かない相矛盾する課題をこなすべき長丁場に入ったとも取れる。
    その新世代レクサスの中核商品たるIS、ワールドカーとしてドイツ御三家以外にもボルボS60から(登場間近の)マセラティギブリに至るあらゆる強豪と戦わねばならない、さらにアルファロメオも159後継のジュリア・セダンとその上をいく「グロリア・コンセプト」(大型FRセダン)でこのクラスを上下から板挟みする…..とあっては今まで通りの「手頃な価格で大きな信頼性+静粛性」というだけではとてもやっていけないのは明白だ。
    このクラスともなると(昔も今も)「そのクルマでなければならないもの」が求められ、加えてメーカーごとのストーリー性、血統が問われるのは否めない。その証拠にアメリカ車クライスラー300のバッジ違いたるランチア・テーマは欧州市場で苦戦しており、プジョー607やルノーヴェルサティスは敗退したのではないか。
    そんな四面楚歌の中で「東洋の星」レクサスはどんな記号性を打ち立てるのだろうか?
    ハイブリッドを主軸にしながらも通常のガソリンエンジンはCO2排出量を90±10g/kmまで抑えることや、アイドルストップの研究、追突防止技術で新紀元を拓くことなど理想を言えばキリは無かろう。
    現実的にはこのISのクーペたる「RC」シリーズに搭載予定の2.0ダウンサイジングターボをISセダンにも採用拡大し、平均燃費はJC-08基準で16km/lを実現する、また超弩級マシンたるIS-Fは次世代ではクーペ専用となり4ドア版が無くなる代わりにIS350に低圧ターボ過給(電気ターボ)を施して350psとCO2=150g/km台を目指すといったところか。
    目下自身が所有中の現行IS350はCO2=231g/kmで2013年現在の水準ではボルボS60 3.0T6やクライスラー300C 3.6と良い勝負で平均以下であることは間違いない―かくも迷走が続いたレクサスブランドにも起死回生の大きなパンチが欲しいものだ。

  4. COLT より:

    プレミアムブランドだから「トヨタに出来ない利幅で売る」が本音だと思います。

  5. kanbutan 横関 より:

     何らかのコメントを手にしてからレポート、書いて下さい。それが御大らしいです。

  6. LでもNでもなくMでしょう より:

    このメーカーは、変な電話付きナビのオペレーターの給料に費やす分のコストを、車の開発の方に使えばいいのにと思いますね。
    それとも、純粋に車本体じゃ勝負できないからそういうことしてくるんですかね?
    なんにせよ、海外の競合他社と比べて特徴も魅力らしい魅力もないと感じてます。
    日本って、どの分野でも高級品作るの苦手ですよね。
    そろそろ中途半端な高級車やめて、ヴァリューフォーマネーに優れた製品に特化すればいいのにw

  7. 愛知県民 より:

    トヨタ地元の愛知県でバリバリ売れちゃうからトヨタが錯覚しちゃうんじゃないですか。
    しかし、お店がきれいなだけで内容が伴ってない値引きなしではまた売れないどころかシリーズ廃止になりかねませんか。

  8. オロネロ より:

    現場の技術者たちが夢や熱意を持っていたとしても、上の人達がコストや金儲けのことしか考えてないとたまったものではありませんね。
    「正直なプレミアム」が聞いて呆れます。
    今だって、トヨタ車よりも利益が大きいですよね?
    また、強豪のライバル達に後発組のレクサスがどう戦おうというのか・・
    明確なビジョンはあるのか?と聞きたいところです。
    ようやっと走りの質感では追いついた(追い越した?)ようですが、
    では、デザインは?ブランド力は?
    自分に十分な資金があっても、買いたいという魅力を感じないのです・・・
    クラウンのモーターで揺れを抑える技術とか、良いモノを持ってるのに残念ですね。

  9. はる より:

    レクサス社が車単体でプレミアム感を満悦させるなんて判断は酷ですよ。納車時社員全員でお迎えされて花束を渡される…こういう演出や検索のデスク含み等がレクサスのプレミアムです。実際高級外車ディーラーの応対レベルが落ちたのでレクサスへ…て方もいます。あと欧州の高級車メーカーもデザインを委託してるメーカー(フェラーリとか)も普通の社員…サラリーマンですw日本との差は報酬制や自分の意見がすごく通せる環境の違い。このあたりの購買層は高い買い物がしたいわけじゃなく、特別な何かがまずあればいいんです。ハイブリッドシステムが…実は案外どうでもいい。なにせレクサスは往年の高級アメ車みたいにならなければ幸いです。

  10. 買取屋 より:

    いつも思いますけど〜レクサスは良くも悪くも所詮はトヨタ…夢より現実〜技術より商売…コスト優先で無難に纏めてるうちは変わらないでしょうね…豪華な大衆車ビジネス、それが個性だとしたらあまりにも悲しい…新型車でも何処か突出しない限り〜志が違うドイツ車に対抗しても勝てない…そのドイツ車もイギリス車の伝統と格式には勝てない…イタリア車の感性にも勝てない…企業はボーダーレス化しても〜やはり本家のお国柄やセンスが出てしまうのでしょうか…?

  11. たかし より:

    最近のトヨタはそんなに足回りが良くなったのでしょうか。
    レクサスはコストをつぎ込めるからどうでもいいとして、マークXあたりはどうなんでしょう?
    マイチェンで良くなったという記事も見かけるけど、いつものごとく提灯記事じゃないかと感じてしまい、ここはやはり国沢さんの評価をお聞きしたいところです。
    次期型マークXはFFとの噂もあるようだし、FR最後のマークXというのはなかなか気になる存在です。
    しかし、マーク「バツ」という名前と、いやに×を意識したデザインはなんとかしてほしかった。企画者、デザイナー、幹部みんなのエゴみたいで気持ち悪いです。
    「(クラウン)マークⅡ」ならもっと売れたような。

  12. さね より:

    まあレクサスブランド買う人はどーでも良いことだし、評論家先生が何言っても変わらない現状を見ると、メーカーと自動車評論家は持ちつもたれ合いのスポークスマンだな。 先生が電池にこだわるようにユーザーにもこだわりがあるから、メーカーはもっと考えた方がいいと思うな。外車商売が少なくともディーラーの少なさやハンデあるのに売れてるのは、こだわりある人が安全性や走りやデザインが理想的に近い車があるってことを分からないってとこが終わってるな。厳しい意見や反論さえ受け入れられない所が日本車の限界かも。また評論家先生達も。一辺真剣に自分の立場は何か?考えた方が多くの先生達はいいと思いますよ。反論を受け入れられられない人もいるだろうしまあ好きにやればいいですけど、ユーザーの役に立たないとは多くの自動車評論家先生とはいったい…。こうして先生のblogに書き込むのはメーカーに近い人が素人の意見を少しはメーカーに伝えてもらえると思ってるからだと思います。もし単なるマーケティングにされてるなら…うーんなんだろな。

  13. 真鍋清 より:

    先ほど機会があって乗った新型クラウンの仕上がりに「カルチャーショック」さえ覚えた小生、その上を行く新型レクサスISには一廉のものがあると予感できるのと同時に、通常のガソリンエンジンにも大向こうを唸らせる新技術が同車のライフサイクル中に展開されることを心待ちにしている。
    思えば先代ISが登場した2005年時点ではGR型直噴V6のウルトラスムーズなパワー特性、殊にIS350用3.5リッターの「オーバー300ps」「0-100km/h=5sec前後」というそれ自体が画期的で、歴史に金字塔を刻みうるものだったと確信する。
    そして今、新型ISのガソリンV6はそんな従来型と基本的に同一で十二分に煮詰まっている反面、エコカー減税への非対応やらCO2排出量の水準やら現代のレベルに照らして覇気が無さ過ぎ見ようによっては退歩とさえ考えられるのだ。
    そこでハイブリにはリチウムイオン電池を、ガソリン版はダウンサイジングターボのファミリーが雁首を揃えるようになってこそ新シリーズは名実ともに世界のフロントラインに立ったことになろう。
    PS(追補)
    国沢さんの「メール問い合わせ先」に我が愛機「2009年式レクサスIS350」の新車当初の画像を添付にてお送りいたしますのでどうぞご笑覧を。

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