自動ブレーキのセンサー

現在販売中のCT誌でアダプティブクルコンの比較テストを行っている。改めて実感したのがセンサー+判定回路の性能の差
だ。アダプティブクルコンの追随モードを使うと、測距能力の違いに驚く。割り込み車両や、急激に車間縮まった時の反応など興味深い。遅いと制御が全て遅れ
てしまう。

あまり認識されていないが、緊急ブレーキもセンサーの性能で決まる。ボルボV40の緊急ブレーキ、止まっている人形はハネ飛ば
しちゃう。見えないんじゃなく無視するのだ。何と! 人間と物体(人形)を区別し、あえて止まらないようにしてるワケ。こんな解析能力の高いシステムは日
本に無いらしい。

日本の自動車メーカーの緊急ブレーキ開発担当のエンジニア達は「ボルボは止まっている人を認識しないこともある」と言
う。能力が低いとカン違いしているのだった。ボルボは「人なら絶対止まるが、物体なら止まりたくない」と考えてます。人以外で急ブレーキ掛けたら、後続車
を事故に巻き込むからだ。

人を避けるなら追突されても仕方ない。されど物体や動物ならイヤだ、というコンセプトです。だから人のカタチを
してても身長低いと止めない。歩けない子供が路上にいることなどないからだ。ということを知らないでボルボのセンサーを評価している。ボルボの実力にウ
ナッてるの、スバルくらいだろう。

アイサイトのセンサーも70mくらいまでなら素晴らしい能力を持つ。どんなミリ波レーダーより正確に測
距してます。ライバル達は「アウトバーンだとダメ」というが、だったらアイサイトにロングレンジのミリ波レーダーを追加すればいいだけ。15万円くらいで
最強&最高のシステムが構築出来ると思う。

緊急ブレーキを掛けないベンツAクラスは、本当にブレーキ掛けていいのか自信がないから自動ブレーキにしなかった。弱くてもいいからドライバーがブレーキ踏めばフルブレーキになる。判断をセンサーじゃなくドライバーに投げているワケ。30km/h以下でしかブレーキ掛けないのも同じ理由です。


たしてボルボやスバルのシステムに追いつくのはいつか? 多くのメーカーが「2年くらい掛かります」。何と! ぶっちぎっているのだった。同じようなこと
が出来るので皆さん大差ないと認識してるようだけれど大違い。ボルボやスバルだって2年経てば一段と進む。2年じゃ追いつかれないかと。


うそう。現在発売中のベストカー誌のJNCAPの分析レポートも自信作だ。いかに天下り団体がダメか、キッチリ書いておきました。書店かコンビニでCT誌
とベストカー誌をお買い上げ頂ければうれしい。たまには自動車雑誌を読んだら新鮮かと思います。おっとエンジン誌も今号は面白いです。

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2 Responses to “自動ブレーキのセンサー”

  1. blue swan より:

    国沢さんの記事はいつも楽しみにしています。自動ブレーキや自動追従機能については、やはり雑誌で各メーカー渋滞時比較テストとかやってくれると助かります。30kmもの渋滞をのろのろ自動運転できるのか!とか。。。アイドルストップしてできない?
    フォレスターターボアイサイト ほしいっす。

  2. nogawan より:

    清水和夫氏はアイサイト車を運転中に、飛び出して来た鹿と衝突し「アイサイトも完璧じゃない…」と云ってるようですが・・・
    車載カメラの画像を1枚ずつ見ると、人間が人間らしく見えない時は多くあります。人間が動いてると、人間らしく見える瞬間があり、この時にドライバーは「あそこに人が居る」と気付き、以後「これは人間」とタグ付けして認識していると推測されます。だから人間らしく見えない状態で動かないで居ると、人間と認識され難いのでしょう。実際の交通状況として、人が道路上で身動きせずに立っていることがあるのか?…という疑問ですよね。
    スバルはアイサイトを欧州にも展開する方策を考えているでしょう。そもそも欧州ではACCを200km/hで使うのですか?…200m先の物体をカメラで見ると、モヤで霞むことも多くなりますので、カメラの高性能化で頑張るより、ミリ波レーダとの組合せの方が賢明と思います。
    スバルは以前に、ADAでミリ波レーダとの組合せをやりましたが、あの時のアルゴリズムは全くの駄作でした。今度は画像処理を熟知した人間が、賢いアルゴリズムを開発して欲しいと思います。

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