自動車メディアも厳しい

自動車メーカーも生き残りを掛けた戦いをしているが、それ以上に厳しいのは自動車関係のメディアである。昨日のTOPで書いた通りクルマ好きの若者減って新規読者は減少している上、無料のネット媒体も急増。直近について言えば「興味深い新車」少なし。プリウスばかりじゃ飽きちゃうでしょう。

ただ「超専門誌」(ジャンルを絞った雑誌)を見ると、発行部数こそ少ないけれど案外堅調。これまた何度か書いてきた通り、いわゆる「クルマなら何でも好き」
派は減少したが「旧車好き」や、車種やメーカー限定の「熱心なファン」についちゃ意気軒昂。いわゆる「オフ会」なども盛んに行われています。こらマスコミというよりミニコミです。

自動車文化の先進国であるアメリカを見ると「幅広い自動車情報を扱う3大誌」+「奥行き
を追求する雑誌」みたいな状況。日本も同じような流れになってきているんだと思う。気になるのが「日本の3大誌はどこになるか?」(数は不定)。3大誌の概念は「マニアックになることを是としない。ただしヤル時はきっちりヤル」こと。

現在の販売部数を見ると1位の『ベストカー』と2位の『カートップ』は有力候補。これまで毎月26日売り号しか無かったカートップも20日売りだっ
た『ザッカー』を姉妹紙とし、今月から10日売りに変更した。1ヶ月に1号だとネタ的に遅れを取ってしまうからだ。違うテイストの誌面を10日&26日に出すという狙いは面白い。

またコンビニで配本されない雑誌は部数を期待出来ない。よって「全国のコンビニで買えるのが3大誌」と言っていいか? 2誌を追う『ホリデーオー
ト』と『ドライバー』は勝負の年になるかもしれません。ちなみにスクープ情報を中心とした『マガジンX』も部数を見れば健闘している。輸入車の『エンジン』はクオリティの高さで人気。

言うまでもなくる私ら評論家はメディアから仕事を頂いてます。中でも専門誌の部数が伸び悩んでしまえば極めて厳しい。面白い企画出し、面白い原稿書いて頑張るしかありません。こんな時こそ知恵も出る。すでに前出のザッカーなど新しい攻め方を開始した雑誌も出てきたので、たまにゃ本屋さんで自動車雑誌などチェックしてみてください。

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以下追記●欧米を見ると自動車文化の奥行きを追求するのが超専門誌で、入り口となるのは販売部数の多い雑誌(自動車情報の一般誌?)という役割分担になっている。もちろんライバル意識も強い。一般誌が高性能車や燃費特集を取り上げたなら、超専門誌に肉薄しなくちゃならぬ。というか超専門誌をウならせる内容じゃないとダメ。

超専門誌は超専門誌で、一般誌に「こら手が届かん!」くらいの情報を掲載しないとダメである。中途半端な一般誌や超専門誌は評価されず、結果として生き残れない。どちらかというと私は一般誌側なので、超専門誌の読者からは嫌われる立場にある(WRCに出たりエコランやって良い結果出したら、その道で頑張ってる人からすれば面白くない)。

たまに超専門誌から原稿を頼まれたりすると、読み手に通人が多いのでけっこう緊張します。いずれにしろ景気の悪さに加え、自動車離れという大波をく
らい、さらに「技術的な転換点」となってしまった今年から来年秋に掛けてが、自動車ギョウカイ全ての業種でサバイバルになると思います。

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4 Responses to “自動車メディアも厳しい”

  1. しげ より:

    夜分失礼します。場違いな投稿をお許しください。
    日産EVに関して既に国沢さんに情報が伝わってかもしれませんが・・・。
    国内で2010年に発売するEVはガソリン車とトータルコストで同価格を目指すと今日の報道で在りますが、
    意外と注目されてないのが給電方式はバッテリー交換式を見送り、家庭用と急速充電のみと言う事です。
    コレとは時系列が違いますが、ネット上のソースと引用は以下に
    日産自動車の新開発EV、電池交換式を検討《追記あり》http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090616/171817/
    >■上記の記事に対して日産自動車広報から以下のコメントがありました。
    「当社は2010年度に日本及び米国でEV を投入し、2012年度 からグローバルで量販するという明確なビジョンを持って現在鋭意開発を行っている。この2010年度投入に向けて開発中のEVは、家庭用普通充電と急速充電の両方の充電システムに対応する予定であり、バッテリー交換方式は採用されない。充電システムは車両への電力供給のひとつの方法であり、国や地域によってはバッテリー交換方式が適している場合も考えられる。大事なのはお客様のニーズに沿った柔軟なソリューション提供を目指すことと考えている。」
    引用ここまで。
    今までの報道とは180度違う印象ですが、個人的には価格問題が解決できるのであれば、交換式のインフラコストなどを勘案して、固定式でベストだと思います。
    驚いたので取り急ぎここに投稿させていただきました。
    必要であれば、削除していただいて構いません。失礼いたします。

  2. 国沢光宏 より:

    逆に誰がバッテリー交換式だと言ってるのでしょうか?
    交換式は将来的な選択肢の一つです。
    リースと間違ってませんか?

  3. Jamira より:

     車雑誌が売れないを読んで思い出した事があります。
     車載コンピュータのプログラムを組んでいる人が前に言ってましたが、最近のユーザは、セルの回し方が解らなくて、エンジンをかけるのが怖いそうです。それでキーをひねってのセル方式から、スタートボタン方式にしたのだとか。
     スイッチONで起動する、もう車じゃなく家電です。
     その昔、HiFiオーディオなるものが流行っていた時代、オーディオ雑誌がたくさん書店に並んでいましたが、最近ほとんどオーディオ雑誌はみかけません。
     一部の愛好家の間では今でもLPレコードと、真空管アンプが生き残っており、そういう人たちがオーディオ雑誌を買うのでしょうが、世の中はもうiPODの時代です。
     iPODの時代に、ふくよかな真空管アンプの音がたまらん、とオーディオについて語っても、残念ながらそんな雑誌もう誰も読まないでしょう。
     セルを回すのが怖い、と言う人に、DOHCのエンジンの気持ちの高鳴りを語っても、誰も相手にしてくれません。
     車も、高級オーディオ型の車と、家電型の車に2分化されていって、大多数は家電としての車になっていくような気がします。
     自動車雑誌も、高級オーディオ型の雑誌か、特選街型の商品比較雑誌くらいしか残っていかないんじゃないでしょうか。
     個人的にはもっとメカな話がつまった、現場のエンジニアの創意と工夫と苦労話のロングインタビュー、みたいな記事があると、何とも興味深くて読んで見たい気がしますが。

  4. kkk より:

    プリウスばかり、は国沢師匠の影響が一番でしょう(笑)。
    冗談はさておき、日本一厳しい車評の某コラムがある『マガジンX』だけは購読。
    TVですが車好きにさせてもらった思い出深い『カーグラ』はだけは目次によっては買っています。

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