輸入車とエコ減税

日本輸入車組合の会長(ベンツ日本社長)が「日本政府は燃費基準を改めるべきだ」という主張を始めた。輸入車の全てがエコ減税の対象から外れてしまっているため補助金を独自に出す販売政策など取らなければならず、経営を圧迫しているのだという。実際、エコ減税の対象車でなければ10万円の補助も出ない。

輸入車がエコ減税の対象とならない理由は二つ。まず「モード燃費など関係ない」という商売をしてきたことをあげておく。海外の自動車メーカーを見ると日本のモード燃費で良い数字を出せるようなセッティングをしていない。例えばアクセル戻すモードで燃料カットをきっちり使ってやれば、数%の改善効果を得られる。

ギア比の選択や、ATのセッティングでも大きくモード燃費は違う。これらの対応、メーカー側でやらないとダメ。実際、日本の自動車メーカーは輸出国の環境に合わせ、様々な対応を行ってます。そういった意味からすれば、日本の市場で売りたいという気構えが足りないんだと思う。

二つ目は「テストドライバーのレベル」である。日本の自動車メーカーはモード燃費を計測する際、スペシャリストを投入。こらもうF1ドライバーのようなテクニックレベルを持つ。輸入車の場合、そこまでのドライバーを使っておらず、数%の燃費差が出てしまう。上記二つを合わせると、軽く10%は違う。

つまりインポーター側の努力が足りないワケ。繰り返しになるけれど「金持ち以外は商売の対象じゃない」という売り方を続けてきたので、今まで問題なかったのだ。したがって今になって強気商売の代表的存在であるベンツ日本の社長が「おかしい」と言ったって、「は?」である。

普通の人もお客さん層という位置づけをしているVWやプジョーの代表が「何とかして欲しい」というなら解りますけど。何度か書いてきた通り「輸入車に乗るのはお金持ちのオタク」路線を選択したのはインポーター側。ホンキでメディアに応援を訴えたいなら、根本的に方針を変えないと無理だと考えます。

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3 Responses to “輸入車とエコ減税”

  1. アマチュア部員 より:

    たしかに日本車は日本のモード燃費に照準を合わせたセッティングになっているようですね。
    ただ、このセッティングでモード燃費(カタログの10.15やJC-08)でいい数値が出ても実燃費(実際燃費)と大きく乖離していては「誇大広告」と言われてもしかたがないと思います。
    その点、個人的には輸入車のほうが実燃費に近いという感覚がしております。
    まぁ、この問題は日本の自動車メーカーの責任ではなく、測定方法を決めている国交省の問題かもしれませんね。
    いずれにせよ、世界一の燃費性能を誇る日本で、モード燃費が実燃費(実際燃費)と大きく乖離していることは対外的にも恥ずかしいことだと思っております。
    自動車メーカーの開発者までもが「このクルマは実用燃費もいいですよ」などと発言することもしばしば。
    私の個人的な気持ちでは、カタログに書いてある性能数値を保証するぐらいのプライドをもって設計してもらいたいと思っております。(燃費性能は運転状況によって大きく変わるので無理ですが)
    新型プリウス:都市部20km/L 新型インサイト:都市部16km/L
    例えば上記のようにカタログに記載されていれば消費者に対して親切だと思います。
    先日、JARIの方に伺ったのですが、モード燃費の測定方法も国際統一規格の動きがあるとのこと。
    どうか消費者に不信感を持たれないような測定方法にしてもらいたいと思っております。

  2. HT より:

    JC08モード燃費って一体どれだけ実燃費に近いんでしょうかね。いくら10・5モードより実燃費に近いとは言っても、それが実燃費より離れているとなれば意味がないですから。
    しかし実燃費もユーザーにより大きく幅があると思いますし、どの運転方法が「標準」なのかも難しいです。
    そういう意味ではどんなユーザーが運転してもあまり燃費が変わらない車の開発や、アイドリングストップなどユーザーに関係なく一定の効果がある(と思われる)区間と、加速や発進などユーザーの操作が影響を及ぼす区間と分けて、二つ表示するのも面白いかも知れません。
    例えばECOメーターという物を付けて、その針がECOの範囲に入る程度の運転をすればこれだけの燃費が出ますよ、といった感じですね。ランプだと分かりにくいので駄目です。大事なのは人間の心理に働きかけることだと思ってます。そういう意味ではBMWの瞬間燃費計はいい感じでしたね。アクセルを踏むとそれだけ針が下がりますから。

  3. Ito より:

    政権がどうなるかわかりませんが、もし民主党になると環境対応車普及促進策でも志向がかなり変わるかもしれません。神奈川県知事や横浜市長なんかを見るとEVにとても熱心で、それが国全体に広がるかもしれません。
    本当にエコカーの普及を目指すなら、もっと集中的に資金を配分した方がいいと思ってます。あとは、若者の車離れを防ぐために、若者向けに新車購入補助金を出すとかも必要です。
    販売不振は、価格と魅力がバランスした車を作ってこなかったメーカーに責任があるのですから、痛い思いをするべきです。ちょっとばかり燃費がいい車までにも補助金を拡大するのはどうかと思います。

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