酷い状況になっている車検継続不可のタカタ製エアバッグ

前の記事で取り上げたタカタ製エアバッグのリコール対応、どうやら予想以上に酷い状況になっているようだ。読者の方のコメントを見ると、リコールから1年以上のまんまのケースすら珍しくない。そればかりか「BMWは今まで異常展開例は無い」とリコールを出したのに安心だというインポーターも。

改めて危険性を紹介しておく。エアバッグはシートベルトと併用することで、衝突時にドライバーや助手席の乗員の頭部や胸部の衝撃を大幅に緩和してくれる安全装備である。効能は「素晴らしい!」と評価してよい。事故時のダメージを確実にワンランク引き下げてくれると考えていいだろう。

リコールを出したタカタ製のエアバッグは、事故時に展開すると、本来ならガスを発生させる”炸薬”が爆発。手榴弾のように金属の破片を飛ばす。今までの死亡例を見ると、多くは首の頸動脈などを切断させたもの。死亡に至らなくても、目に当たって失明するなどの酷い怪我が目立つ。

現時点での死者17名以上。負傷者が180人以上。対策品に交換すればいいのだけれど、世界規模で発生していることもあり生産は全く追いつかない状況。今までメディアも本格的な取材を行ってこなかったこともあり、投稿により1年以上放置されているケースが多いと判明した。

対策部品に交換するまでの間、対応は二つある。日本車に多いのが、リコール対象になっているエアバックの機能を停止する措置。これなら爆発による危険性から逃れられるものの、事故でエアバッグが展開しないという昔のクルマに戻ってしまう。ユーザーからすれば納得出来まい。

二つ目は輸入車などに多い「それほど危なくないのでそのまま乗っていてください」。確率からすれば低いのかもしれないが、展開したら金属破片で頸動脈を切られると思うと気分良くない。ちなみにぞれぞれの問題点を明確にした上で、ユーザーに判断させるべきだと私は思う。

さらに心配なのがレンタカーだ。爆発の危険性高いと考えられる古いタイプを使っている小規模なレンタカー社会も少なくない上、借りた人はリコール対応車かどうか判別出来ず、さらに交換済みかどうかも判らない。エアバッグ機能をカットしているクルマだって混ざる。

今回大きな問題になったのが「来年5月以降は未対応車の車検継続を認めない」という国交省の発表。これでイッキに未対応車のユーザーが不安になっている。今までの交換ペースで来年5月までの対応は可能なのだろうか? もし可能なら未対応ユーザーに対し、自動車メーカーに交換時期のメドを知らせるよう指導すべきである。

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