驚愕! GT-R作った水野さんですらハイブリッドのことが全く解ってない!

「プリウスが暴走するのはゼロ回転から最大トルクを出すモーターの特性によるもの」だと主張するのはシロウトさんだけかと思っていたら、何とベストカー6月26日売り号でGT-Rを開発した水野さんまでそんなこと書いている。曰く「トヨタのハイブリッドや日産のeパワー、発進時から最大トルク出すためブレーキでは止められない」とのこと。

私はそうじゃないと書いてきたけれど、読者の方から「水野さんも危険だとベストカーで書いている」というクレームを頂いた。以下、いつもより丁寧に解説したいと思う。まずトヨタのハイブリッド(THS2)も日産eパワーも、モーターのスペックだけ見たら確かに強力です。プリウスで1600cc並の163Nm。ノートなんか2500ccに匹敵する254Nmというトルク。

水野さんによれば、ガソリエンジンが最大トルクを出すのはアクセル踏んでからタイムラグがあるのに対し、モーターは0回転から最大トルク出ると言う。知らなければ「そうか! そら踏み間違えたら危ない!」と思ってしまうだろう。というか、それが本当ならノートは全日本ラリーの1500ccクラスじゃブッチギリのリザルトを残す。でも実際は厳しい。

なぜか? どうやら水野さんはTHS2やeパワーが本当にカタログ上の最大トルクをエンジン車のように使えると思っているようなのだ。考えて欲しい。ガソリン車は低回転のトルクの低さをカバーするため、多段ギアに代表される変速機を持っている。モーター駆動車はギア無しでそのまま車軸を駆動します。最高速150km/hなら6速ATの3速ギア相当。

180km/h出るプリウスだと4速ギア相当ですね。3速や4速ギアで走り出すのと同じだから、0回転で最大トルク出したって危険な領域に入らない。さらにガソリン車だとトルクを大幅に引き上げるトルクコンバーターを使うし、全開なら発進時から2千回転以上使う。総合的に評価すると、プリウスやノートeパワーのスタートダッシュ、決して速くない。

走り出してからの加速も厳しい。THS2もeパワーもエンジン掛かるまでは走行用バッテリーのエネルギーしか使えない。私はTHSやeパワーの開発担当者と話をする度「もっと電池をたくさん積んで欲しい」と文句言う。燃費や動力性能を改善できるからだ。けれどコストとの兼ね合いで無理。プリウスもノートも走行用電池だけではモーターの全性能を引き出せない。

バッテリーから引き出せるパワーは、プリウスでせいぜい40馬力。プリウスより容量少ないがリチウムイオン電池使うノートeパワーも40馬力くらいだ。したがってプリウスとノート、エンジン掛かって回転数が上がるまでは、40馬力しか出ていないということ。だからこそ0~100km/h加速計ると同じ排気量のエンジン車と大差ないということになります。

もっと意外なことに水野さん、ブレーキオーバーライドを御存知無い。THS2もeパワーもブレーキとアクセルの踏み間違いをしたらパワーが勝るので止まらない、とベストカーに書いてある。プリウスって初代からブレーキとアクセルを同時に踏んだらパワー落とす「ブレーキオーバーライド」になってるのだった。両方踏んだら確実に止まるんです。

水野さんのような人がホンキで「モーターは危険だ」と書いているのだから、少しだけクルマを知ってるようなシロウトさんがデタラメな主張するのも無理ない? 

<おすすめ記事>

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ