高速無料化vsJR

世間知らずのメディアは「高速道路の無料化はJRに打撃を与える」などという戯れ言を真に受けている。考えて欲しい。東京駅から千葉県房総半島の先端にある館山までJR特急の『さざなみ』で移動しようとしたなら、指定券とあわせ4020円(自由席で3510円)。所要時間は1時間52分。

東京で仕事して館山に戻ろうとすれば、21時30分発に乗らないとダメ。一方、バスならどうか? 必ず座れ、鉄道の半額近い運賃2300円。所要時間1時間48分。鉄道だと考えられない『ネット割引』なら2190円(指定席のようなもの)。鉄道の1日7便に対し30分刻みで運行され、最終は22時20分。

これだけデータ並べたなら誰だって迷わない。優劣ハッキリしてます。この話、オチがある。便利&安価なバスを運行してるの、JRなのだ。現状でも鉄道はバスと比べられれば勝てない区間多い。高速道路の無料化はJRバスにとっても有利だし。ちなみに長距離バスの乗客は右肩上がりなんだとか。

鉄道の存続理由を本格的に考えなければならない時を迎えていると言うことなんだろう。今や都市部の大量輸送ニーズや、新幹線のような高速移動ニーズを満たせない鉄道に、文明的な価値は無い。その他の交通機関に比べ、技術的な進化やコスト低減努力がほとんど無いからだと思う。

一方、移動時に必要なエネルギー量からすれば、他の交通機関より圧倒的に少ない。最もECOなのだ。時間も正確。こいつを活かせばいいと思う。もしEVの時代になれば、長距離の移動を鉄道に頼ったっていい。例えば東京から松本まで移動するような場合、EVで駅まで行き、車両のまんま積む。

も少し具体的に書く。JRの車両サイズは幅3000mm高さ4100mm。全長2800mmのクルマを横置き2階積みにすると1両に20台くらい収納可能。小型のトラックや電気バイク、自転車も簡単に積めるようしておけば、いろんなニーズに応えられるんじゃなかろうか。陸のフェリーですね。

鉄道は一旦廃止すると、再稼働させることが極めて難しい。環境の時代を迎え、このあたりで真剣に存続させることを考えなければならないと思う。もちろん他の規制を厳しくして鉄道を優遇する策は雲古です。

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9 Responses to “高速無料化vsJR”

  1. Ito より:

    私自身、300km以上の長距離でなければ鉄道を使うことってほとんどありません。
    実際、JRは長距離特急料金収入と首都圏の通勤需要で生き延びてるようなものです(通勤需要はとても大きいですが…)
    なんといっても車で駅までいけないのがダメだと思います。駐車料金ときたら、田舎なのに1日1000円以上します。一方高速バスのバス停なら郊外の二束三文の土地を取得して無料の駐車場としてるケースも多いです。
    鉄道だと必然的にタクシーに乗るか誰かに送迎してもらわないと乗れません。かくして地方の路線は若干の通学需要しかなくなってしまうのだと思います。
    駅周辺は昔ながらの商店街があるので駐車場を確保するのが難しいという事情もあるのでしょうけど、もし駅まで車で行けるなら環境負荷低減のためにも鉄道を使ってもいいと考えています。
    駐車場はEV限定とかにすればEVのメリットも高まりますし、駅周辺が騒音や排ガスの問題で悩まされることもありません。

  2. AKI より:

    納得です。
    お正月、甲府のデパートに出かけるのに、電車を使ったら、移動に1時間かかりました。車なら20分。小さい子供達を連れ、寒いホームで待つ身は辛かったです。
    ただ、飲み会の時は、タクシーや代行と比べた電車の安さは魅力です。

  3. 匿名 より:

    鉄道業界もこれからは海外に目を向けているようです。
    鉄道の技術は世界でもナンバーワンの実力ですし、当然といえば、当然なのかもしれません。

  4. DASEW より:

    最寄り駅の駐輪場に止めながら、いつも思うんですが、
    「鉄道会社がレンタサイクルやカーシェアを運営すればいいのに」

  5. tm256 より:

    ご存知かとは思いますが、以前国鉄・JRは、「カートレイン」や「MOTOトレイン」という車やバイクを列車で運ぶというサービスを行っていましたが、利用者の伸び悩みからすべて廃止されてしまったのです。
    しかし国沢様もご提案の通り、こういったサービスをEV向けに復活させる、あるいはやったことの無い私鉄は新設する、と言う検討をしても良いのではないかと思います。
    特に、車はともかく自転車や電動アシスト自転車で、地方の乗客減少で困っている路線などでこれを取り入れたら、乗客もすごく便利になるし、鉄道も営業収入の減少に多少なりとも歯止めがかかるのではないかと思うのです。
    ちなみに、西武鉄道は秩父サイクルトレインという季節列車を毎秋やっており、毎回定員がすぐに埋まってしまうほど大人気らしいです。
    また、ここ最近はちょっと見なくなりましたが、しばらくの間、東京メトロの駅構内に自転車を持ち込むな!みたいなポスターが貼られていましたが、これは列車で自転車を運びたいという市場ニーズが根強いことの裏返しにほかなりません。(自転車には折り畳み、輪行という手もありますが、やはり普通の人にはちょっと面倒)
    ということで、この種のEVカートレイン、EV-モトトレインの復活を密かに期待している今日この頃です。

  6. samine より:

    鉄道事業者がカーシェアリングか…。
    同感です。地方の私鉄やJRが電気自動車を通勤者向けにリースして、使わない昼間はレンタカーにすれば駐車場業者も鉄道事業者も儲かって一石二鳥なのにねー。
    そもそも、地方では鉄道はマイカーとの乗り換えがネックになるんで、カーシェアすれば通勤者は高いカネで車買わなくていいし、税金や駐車場代は浮く。鉄道事業者も利用者が増えて儲かるんですからね。
    問題は、こういう先進的なことをやりたがらない鉄道事業者特有の消極的体質、「変わりたがらない」症ですが…。特に旧国鉄のJRグループはそうですね。JR九州のような先進的な会社やJR四国のような車に散々痛め傷けられている会社こそやるべきだと思いますが。

  7. 小林 英弘 より:

    鉄道VS車ですか。確かに車はどんどん良くなってますが、鉄道は「学生さんの通学の足」や「高齢者&障害者の足」という側面もあります。つまり年齢や身体能力などで車に乗れない人達の移動手段ですね。私の香川県もJR四国は赤字ですけど通学時には必ず学生さんがのりますので、一概にコスト論だけで即廃止、の結論にはできないようですね。難しい問題だと思います。

  8. DASEW より:

    ご賛同ありがとうございます。
    スイカやオサイフケータイ等で、ユーザー情報と課金の紐付けが可能になった以上、
    TUTAYAの会員権のように使って、レンタサイクルを事業化できるのではないでしょうか。
    駐輪スペースがすべて「収入源」に変わると思うのですが。

  9. しもつき より:

    長距離バスVSJR。
    ここ数年のJR夜行列車の廃止は飛行機や新幹線だけでなく格安長距離バスにほとんどやられてしまったからでしょう。昨年秋に地元横浜から関西、北陸方面に多くの夜行バスが出ていることを知って驚きました。かつては地元の大手バス会社が運行していたはずですがいつのまにか格安バス会社にかわっていました。しかも最近のバスは下手な電車より快適なのでいくら鉄道好きでもどっちがいいか考えてしまいます。
    この春にも北陸方面の夜行列車が臨時格下げになるようです。
    昨年半年程横浜YCATから羽田空港ターミナルビルまでバスを利用しました。同区間を走る電車(470円)に対抗!?して往復割引運賃を設定して通常片道560円のところ往復940円(現金でチケット購入に限る)としていました。やはり確実に座れるし特にラッシュアワーでは電車はノロノロ運転と停車を繰り返し、満員の電車と比べてもバスを選びたくなります。おまけに高速道路は不況を反映して渋滞がほとんどありませんでした。最近の電車は何か起こるとすぐに全列車が止まってしまうことが増えていて定時運行の面から見ても鉄道の優位性が失われてきています。

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