18650電池を中国で生産

気になるニュースである。パナソニックは中国に18650電池を生産する大きな工場を2012年に立ち上げるという。生産
する電池のスペック見ると2,2Aタイプで正極がコバルト。このスペック、非常に興味深い。2012年に作る18650電池として考えると、2,2Aは時代遅れ。すでに3Aの高容量タイプも流通してます。

ただ安全性の高いコバルト正極の性能として評価するなら十分な容量である。しかも充放電回数を増やそうとすれば、容量は多く出来ない。つまり安全性を重視し、充放電回数を追求した電気自動車用の18650電池だと考えると全て納得できま
す。この工場で生産する電池、電気自動車用ではなかろうか。

参考までにリチウム電池の性能を低い方から並べると、1)リン酸鉄。2)マンガン。3)コバルト。4)ニッケルとなる。日産NECやLGケムのラミネート型はマンガン。何度も書いてきた通り高い性能持つニッケルだと安全性の確保に苦労する。といったことを考えるとコバルト正極は妥当なチョイスだと思う。

ただコバルト正極の2,2Aというスペックの18650電池を
日本で作ろうとしたらコスト的に全く折り合わない。中国ならライバルと太刀打ち出来るコストに抑えることが可能。そしてこの電池、トヨタに供給するという可能性大。どうやらトヨタは18650電池を使った電気自動車を2012年に売ろうと考えているようなのだ。

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デトロイトショーに出展されていたRAV4の電気自動車も18650

テスラに出資した時は「限られた分野での技術交流」だと思われていたが、徐々に18650電池を評価する声が大きくなってきたんじゃなかろうか。サンヨー開
発の自動車用リチウム電池のコストダウンにメドが付かない、という可能性もある。サンヨーのリチウム電池、ギョウカイじゃ高いことで有名ですから。

LGケムの状況を見たら今や1kWh=2万円前半にならないと勝負にならない。トヨタはサンヨーのリチウム電池じゃ2012年時点でのコストダウン間に合わず、と見切ったのか? また「サンヨーの技術陣がトヨタの言うことを聞いてくれない」という話も(名前は言えないけれどトヨタの開発部門の方から聞きました)。

中国工場で生産した18650電池なら、2012年に1kWh=2万円台前半ラインに載せてくることは可能だと思う。トヨタの電気自動車の一部に18650電池を採用することは間違いないと考えるようになってきました。ホンダも安価で安全な18650電池から取り組んだ方がいいかも
しれません。

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5 Responses to “18650電池を中国で生産”

  1. かず より:

    これの関連でしょうか。
    一年ちょっと前の発表ですが。
    パナソニック株式会社は2009年12月25日、ノートパソコンなどで使用されている18650サイズ(直径18mm、高さ65mm)のリチウムイオン電池において、2種類の高容量電池を開発した、と発表した。
    同社の従来製品は、ニッケル系正極、炭素負極を採用した2.9Ah 電池だったが、新製品は、ニッケル系高密度正極を採用した3.4Ah 電池と、ニッケル系高密度正極に加えシリコン系合金負極の採用した4.0Ah 電池と、より高容量となっている。
    3.4Ah 電池は2011年度、4.0Ah 電池は2012年度の量産を予定。
    量産のメドがついたのですかね〜。

  2. 小林 英弘 より:

    私は極端な右翼主義者ではありませんが…自国の基幹産業に関わる部品の工場をコスト安というプラスの側面だけを重視して安易に海外に建設するのはいかがなものかと思います。日本がそうであった様に、中国だって未来永劫コスト安=人件費が安い訳がなく、そうなれば中国→フィリピン→ベトナムと人件費の安い国へ工場を移転して行くのでしょうが、それらの国はかつて大東亜共栄圏と称して日本軍が侵略した国ばかりです。もし将来、政治的なトラブルが起こればどうするつもりなのでしょう? まぁ一番トラブルが起こる可能性が高いのが中国なのですが。
    自国の基幹産業に関しては、ネジ一本から電池まで全て自国で生産できる「自己完結」したシステムが理想だと思います。「それではコスト的に勝負できない」のでは困りますが…ベンツだってコストというか価格で言えば全くお話にならない高額商品なのに商売になってます。不思議です。

  3. ゲイン より:

    この前、パナソニック製の単3電池型ニッケル・水素充電池を購入しました。
    エボルタの名前で売られてましたけど、中国製でした。サンヨーのニッケル・水素充電池は日本製で、表示上のスペックや価格は同程度でした。
    信頼性は不明ですが、ユニクロなんかも中国製ですから、ちゃんとした企業が中国で製造したなら問題ないと思います。
    勿論、中国で造った方が、企業は儲かりますから、そうするのが当然の流れだと思います。

  4. ぱんだねこ より:

    1年経たない内に状況が変わってきたようですね。
    その頃は18650は車には不向きと言われてましたから。1kwh=2万円と、値段の下がりようも急激です。
    汎用品、専用品でも、ある程度規格化されてくるのは良い事だと思います。

  5. tm256 より:

    EVや家庭向けなどを含む大容量二次電池向けのLIBセルということなのかもしれません。パナソニックや三洋電機は、18650セルを百何十個使って組む電池モジュールを既に製品化してますから。
    そういった電池パックやトヨタ、テスラなどのEVあれば大きな需要が見込めるので、中国で新工場立ち上げでそれを賄うということなんですかね。
    コバルト正極のLIBセル自体は、以前パソコンで発火や爆発の事故があったように、本質的に危険な面があります。
    しかし、テスラなどが採用しているバッテリーマネジメント技術(BMS)を使えば、EV向けでも十分に使えるという判断がトヨタでも下されたのではないでしょうか。
    18650セルのEVでの活用は、少なくとも当面の間、車載用電池の供給元がごく僅かの企業に限られ、価格も高止まりする状況が続くかぎり、一定の勢力となるように思います。

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