AICE発足

呉越同舟か同床異夢か?

経産省の音頭により乗用車メーカー8社が『AICE』(アイス)なる内燃機関の技術研究組合を発足させた。おそらく多くのメディアは発表資料や説明を鵜呑みして「ドイツに負けない産学提携を行う」とか「全日本体勢を組んで新技術を開発する」みたいな報道になると思う。

5191t

1人くらい違う観点で評価してもいいだろう。私は話を聞いていて一つも「なるほど」と思えなかった。例えば直近の研究課題は1)ディーゼルの排気ガス処理技術。2)ガソリンエンジンの熱効率を50%にする研究だという。だとしたらマツダがディーゼルの排気ガス技術を出す?

マツダに聞いたら「出しません」。この時点で???である。ユーロ6の発効が2014年。今秋以降に発売される新型車は、ユーロ6をクリアしなければならない。現時点でクリア出来ている日本製のエンジンはマツダのみ。トヨタもBMWから買う。そもそもAICEは間に合わない。

もっと言えば、予算たった10億円(5億円が経産省持ち。2億5千万円はメーカー出資)。自動車メーカーの開発予算からすればスズメの涙だ。この予算で技術的なハードル極めて高いディーゼルの後処理装置と、さらに難易度の高いガソリンエンジンの熱効率50%の開発する?

ディーゼルエンジンの開発ならトラックメーカーが入っていたっておかしくないのに乗用車だけ。また、2億5千万円は自動車メーカーが出資するのだけれど、ダイハツだけ「ウチはディーゼルをやらないので」とディーゼルの負担金を出していない。メーカーによる温度差大。

「成果は急がない。10年後くらいになんとかなれば」とも言ってるが、10年後に明るい内燃機関の将来あるとは思えない。というか、どのメーカーも内燃機関以外の新パワーユニット開発予算を投じたいことだろう。その時点で何とか技術レベルを維持しておきたいところ。

「退却時に最も大きな死者を出す」戦争と同じく、縮小時にライバルと戦える技術力を残しておきたい、というあたりがホンネだと思える。考えて欲しい。将来性あると思えない内燃機関に(だからこそ車体や電池などは協同しない)、投資したいと思っているメーカーなど無し。

大学との連携は内燃機関を専門とする学生を育てるため、と言っている。だったら学生フォーミュラなどの方がずっと良い人材を集められます。ということを自動車メーカーの人達だって感じており、話を聞いた多くの人は「あまり期待していません」。専門家なら誰だってそう感じる。

しかし! 日産の志賀さんやマツダの金井さんに話を聞いたらお二人とも口を揃えて「そんなことありません! きっと何か生まれる」。志賀さんも金井さんも実績&影響力ある。こういった人達が先頭に立って動いてくれれば、何か出来るのかなという気がします。要は人です。

本当に「全日本チーム」となってくれたら嬉しい。


コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ