RAV4の電気自動車

トヨタとテスラでRAV4をベースとしたEVの試作車を作り、試験走行も開始したというニュースが流れている。「もう作ったのか?」と驚く人もいるようだけれど、超簡単でございます。バッテリーさえあればトヨタのハイブリッド車用の基本コンポーネンツを使い、電気自動車など
「チョイチョイ」とできあがってしまう。

例えばSAIに搭載されているモーターは143馬力もあります。このユニット、フロント部分のプラットホームを共用するRAV4にポンと載る(エンジンはそのままにしておいても問題なし)。で、リアのラゲッジスペースにテスラ・スポーツと同じ
『18650』を6800本使ったバッテリーユニットを搭載したらオシマイ。

すなわち大量のバッテリーを積むプラグインハイブリッドであります。ちなみにバッテリー容量ジツに53kWh! 日産リーフの24kWhの倍以上を積む。電費を6kmとしても300km以上走ることだろう。いや、
トヨタの技術をフルに使えば、電費7kmだって可能。これだと350kmという航続距離になる。

エンジンを搭載したままだとハイブリッド車としても使えるから、GMボルトのようなプラグインハイブリッド車ということもなるだろう。何でSAIやカムリ・ハイブリッドのボディじゃないのか? 
こらもう簡単。テスラのバッテリーパック、450kgもある上、巨大なのだ。セダンボディだと搭載不可能。

また、テスラのバッテリーとモーターを使うという技術レベルの低い「コンバートEV」(改造電気自動車)なら、それこそ2週間あれば作れるだろう。コンバートEV、舘内兄弟子の日本EVクラブのイベントに行くと、個人でも作っています。この場合、RAV4の皮を被ったテスラ。あまり意味無いですが‥‥。

ここからが本題。トヨタは
『ZEV』法案を遵守すべく、2012年からアメリカのカリフォルニア州で年間1200〜1500台程度の電気自動車を販売しなければならない。これをど
うするかで大いに迷っていたと思われる。本来なら日産リーフのようにガツンと本命を投入したいだろうけれど、どうやら厳しい。

そこでiQ
をベースにした電気自動車を作って数合わせしようとも考えたようだ(ホンダは今でも小さい電気自動車でお茶を濁す計画?)。されどリーフと比べられればあまりにショッパい! そこでテスラの技術を使えるかどうかの検討を始めたんだと思う。トヨタも18650電池を使うのだろうか。

現状の6800本だと不可能である。450kgもバッテリー積んだら乗用車は成立しない。3分の2の4500本(300kg)ならどうか? バッテリー容量35kWhと十分な容量持つ。問題は寿命。1回200km走るとして充放電回数500回で10万kmだ。電気”乗用車”としちゃ少しばかり厳しいと思う。

ただ800回であれば16万km。何とかなりそうな雰囲気になってくる。18650電池ならパナソニックでも作っているから、技術的な問題はなかろう。バッテリーコストは4500本/35kWhで200万円くらい。日産NECのバッテリーだと、2012年時点で24kWhで100万円。この差は小さくない。

最大のポイントはパナソニック/サンヨー陣営が2012年までに電気自動車用バッテリーを作れるかどうか、だと思う。私は「作れる」と予想しているのだけれど、ヤマハの『EC-03』に採用されているサンヨーの電気自動車用電池、充放電回数500回で容量70%になっちゃうという。こらアカン。

もしかすると2012年にアメリカで発売するトヨタの電気自動車は、私の予想がハズれて18650電池になっちゃうかもしれません。だとしたらトヨタとパナソニックが共同開発していたリチウムイウオンバッテリー、超大失敗だったということだ。日産のバッテリーはスバルが持っていたのになぁ。

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5 Responses to “RAV4の電気自動車”

  1. ぱんだねこ より:

    こんにちは。
    トヨタはEVは必要ならPHEVからエンジンを取ればよいといっていました。しかし、プリウスのPHEVのバッテリーはやけに大きく、トランクが3cmも底上げされています。今のプリウスにもリチウムイオンか?といううわさもあったのにニッケル水素でした。
    テスラの電池は中国で作るA123製だとすると、めぐりめぐってトヨタは中国産の電池を使うのかということになりかねず、少し残念です。(違っていたらゴメンナサイ)パナソニックには18650でもがんばってほしいです。(そしたらサンヨーはバイバイ?)
    といいますか、一番気になるのはホンダなのですよ。燃料電池をリチウムイオンに換えてEVクラリティを作ってアコードクラスにするか、ハイブリッドはフィットに任せてインサイトはEVに格上げ、なんて冗談のような感じでパッパッと手を打たないと、こうもHEVやEVの開発が早いとなると、まずいですよね。

  2. Ito より:

    トヨタはエスティマHEVのE-Four用にアクスル一体型のコンパクトかつハイパワーなモーターユニットを持っていますから、それを応用しない手はないと思います(笑)
    あれだけでも、i-MiEVのモーターと同じくらいの最高出力はありますから、超低コストで車体は完成できます。
    ファイナルドライブのギア比を現在の6.8から9程度まで上げてあげればモーター1個でもヴィッツ級の車は走りますし、前軸と後軸にそれぞれ搭載してあげればマークXクラスの車も走ります。
    インホイールドライブを使わなくても、歯車の組が2つくらいであれば、95%程度の伝達効率はありますから、バランスのいいEVになると思います。
    電池をどうするかは課題ですが・・・
    ホンダもFCXクラリティでモータ技術と制御技術を圧倒的に高めてきました。圧倒的な技術を搭載した車を持つのですから、EVへの転用を考えてもいいと思います。かつては、EV-PlusのコンポーネントでFCXをつくっていましたが、その逆ですね。
    クラリティのモーター部分に関してはかなり効率がいいですし、燃料電池専用設計なのでバッテリーの収納スペースが豊富。重心を上げることなく電池を40kWhぶんくらいは苦労せずに積み込めることでしょう。
    クラリティを買える日は遠そうですが、EV版ならそう遠くない将来手に出来るかもしれません。
    ホンダも社内では水面下で電池の検討を始めていることでしょうね。

  3. ゲイン より:

    いつもサービス精神旺盛に情報配信されている国沢さんには感謝です。(金が取れる内容です)
    テスラは正直興味ありません。環境意識を見世物にしたような乗り物であって、目立ちたがりのアホが乗る車に見えます。既存の車に飽きた金持ちが環境意識ちらつかせて乗る重いおもちゃですかね。重いですから思い出(笑)にはなるかと思います。
    ですがリーフクラスの現実的な電気自動車だと話は別ですね。現実的な価格になったのは、国沢さんがおっしゃるには優れた電池のおかげだとか、しかもスバルが持っていた電池技術のおかげですか・・・トヨタは何故手放したんですかね?
    上杉 謙信のように敵に塩を送った的発想は現在の企業には無いと思います。
    トヨタには時代の流れの読めないアホな主流派役員でもいて自分の派閥の推すサンヨー・パナソニックを選んだのだったら駄目駄目ですけど、トヨタバッシング前のトヨタは調子に乗ってる感じでしたからそんな事あっても不思議じゃないですね。目先の利益ばかり追ってたんじゃないでしょうか。
    いずれにせよリーフがヒットしEV普及が加速するなら、この電池技術手放した件はトヨタにとってあきらかな失態でありスクープされるべきだと思います。もしかしたら国沢さんはスクープに向けて情報収集されてるんじゃないですか(笑)

  4. G35X より:

    GM Voltの16kWhバッテリーパックの写真を下記で見ることができます:
    http://green.autoblog.com/2010/07/15/more-details-on-the-construction-and-production-of-the-volt-batt/
    LG化学のセル288個を使い、重さは180キロ以上… これに4気筒ガソリンエンジン、発電機、駆動モーター、補助発電機、2-モード遊星歯車とクラッチ、電池水冷システムを加え、100kgの体重のアメリカ人を4人乗せたら総重量は2000キロを超すかも? エネルギーをどこから持ってくるかは別として、やはり、究極の省エネは移動体の重量を減らさなければ… ICEとその補器が不要なリーフのようなEVに将来の分があるのでは? VoltはなまじICEを積んだために電池が経年劣化したときにICEの動作時間が延びて二酸化炭素排出が増えるのを抑えるために、電池をいたわり過ぎている。また、電池交換の費用を恐れる消費者に8年間保障するためにも容量の半分使いを余儀なくされているのでしょう。8年後には電池の価格も下がり、ICEのタイミングベルト交換程度の費用になっているのでは? ニッサンは電池の二次利用も目論んでいる。電池交換はそれほど怖がらなくても良いのでは? 

  5. ごとごと より:

    車バカなので(^_^)、テスラのようなおもちゃ車でも良いのですが、ただあのテスラは重すぎます。走行距離は短くなっても電池を半分か3分の1にしてもらわなければ。というか 18650電池は信用できないので、できればリーフのバッテリを搭載して欲しい。
    ただ、トヨタはあのような車の研究などしてて良いのでしょうか。
    ( 販売台数が多くお金はたくさんあるので、その程度は問題ないのでしょうが。)
    ホントにパソコン用の電池で電気自動車を作って、販売する気?
    そういえば、テスラは足回りもイマイチですかね。そういえば、一度助手席に乗せてもらったポルシェが(良い意味で)おもちゃの車のような乗り心地で良かった。テスラの内装と屋根で良いので、ポルシェのような足回り(多分素直に真面目に作っただけ)で 220~230万円くらいなら欲しいです。

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