GR-4、おそらくトヨタの社内基準を守っていない。ワクから抜けられないホンダと好対照です!

トヨタはカンパニー制を採用し、それぞれの部門で独立採算黒字を目指している。RAV4やカムリといったドル箱を持つミッドクラスカンパニーや、世界的なヒットになっているIMVやミニバンを持つCVカンパニーなど余裕。そんな中、ヒジョウに厳しいのがGazooカンパニーだ。なんせスポーツモデルばっかりのため売れ筋車種無し。その割にモータースポーツでお金使う。

Gazooカンパニーの友山さんは、他のカンパニーからのプレッシャーを感じていると思う。そんなGazooにとって始めてゼロから開発したクルマがGR-4である。もう少し深く考えるとGR-4こそGazooが作りたいクルマだと考えてよい。当初、WRC参戦車両のホモロゲを取るために作るGR-4のウワサを聞いた際、昔のセリカGT-FOURのような「なんちゃって」になると思った。

セリカGT-FOUR、ホモロゲのための穴など開けたくらいで実際のパフォーマンスは追求していなかった。したがってGR-4も市販車は3ドアのボディに代表される基本スペックだけだと考え「230馬力くらいでしょうね。いや200馬力ってこともある」くらいの期待度。Gazooは採算性悪い車種ばっかりのため、コストダウンして2万5千台売れたらいいというイメージです。

ところがGR-4のプロトタイプを見て「こら凄い! ホンキだ!」。ボディからしてハンパ無い! フェンダーやバンパーといった強度に関係無いブブンはベナベナ。開発責任者の斎藤CEがフェンダーやバンパーを押して「簡単に凹むんです」と笑う姿を見て「こらトヨタじゃありませんな!」。おそらくGR-4を開発するにあたり、トヨタの社内基準は守らなかったと思う。

守ったらツマらないクルマになるからだ。公表されていないがエンジンだって1600ccターボで270馬力/350Nmくらいありそう。ゼロから開発したエンジンだと考えたら常識外れ。トヨタの基準だと様々な条項でダメが出るハズ。さらにコストを抑えたいGazooながら屋根には軽量の新素材を採用するなど手抜き無し。「これがモリゾウさんの作りたかったクルマですね」。

試乗したプロトタイプは車体側にアンダー傾向という宿題をもち、パワーユニットも中速トルクとレスポンスに物足りなさを感じる。ただ「予算的な理由や社内基準で実現出来ない」じゃなく、純粋な煮詰め不足だと開発側がハッキリ言う。となれば対応可能だ。来年夏という市販車の時点でほとんど解決していると予想しておく。何よりビックリするくらい軽いと思う!

意外に思うかもしれないが、友山さんとモリゾウさんにとって初めての「ゼロから作ったクルマ」ということになる。少し不安ながらも、嬉しいんじゃなかろうか。フトコロ事情の辛いGazooながら、夢や希望がたっくさん詰まっているように思う。今後も「GR-4と同じくらい楽しいクルマ」を期待しちゃいます。メリークリスマス!

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