ホンダ、工場撤退でイギリス在住のホンダ関係者が心配です(21日)

日本の自動車メーカーが貿易不均衡で激しいバッシングにあっている真っ最中の1985年でした。アメリカ取材した時、兵後さんという方の(専務取締役で退任)コメントに本田宗一郎さんを精神を見たような気がする。曰く「昨今の情勢を見てるとアメリカ政府から出て行ってくれと言われそうな雰囲気です。ホンダも例外じゃないかもしれません」。

続けて「でもそんなことになったとするなら、ホンダは最後に声を掛けられ、しかも残念だけれど日本に戻ってくれませんかと言われるような企業になりたいんです」。本田宗一郎さんは早い段階から海外に工場を作った。海外でホンダを売るなら、現地で作ったものにしたい」と考えていた。だからアメリカもヨーロッパも他者に先駆けて工場進出してます。

一方、ホンダとしては欧州戦略が大きな課題になっていた。数字では何とか黒字であっても、開発予算など含めれば赤字だったことだろう。EUから離れることを発表する前からイギリスの工場はどんどん減っていた。解りやすく説明するなら「生産コスト高い」ということになる。ホンダ以外の企業もそれでイギリス工場を畳む決断しているワケ。

ハッキリ言えば今回の決断、イギリスがEUから離れるのに便乗した赤字部門の精算としか見えない。昼過ぎにアップしたオートメッセWebの記事、Yahooにも転載されている。Yahooニュースのコメント欄は自由に書き込めるため、いわゆる日々不満を感じている自宅警備員の皆さんの罵詈雑言大会となります。忙しい人はコメントなどしないですから。

素晴らしく興味深かったのは、私の「ホンダの選択は好ましくない」という記事に対し、多くの自宅警備員が「不採算部門だから仕方ない。ブレグジットを決めたイギリスが悪い」。何と! 経営者目線であります! 自宅警備員以外の皆さんの印象も、おそらく当たらずとも遠からず、だと思う。確かにブレグジットを決めたら、こういった事態は予想出来る。

ただ一般の人の大半は経営者でなく雇用側。スウィンドンの工場で働いている人や、スウィンドンの工場に部品を納めている会社で働いている方だと思う。こういった人からすれば、工場閉鎖は死活問題。加えて欧米人の大半は、こういった問題に接した際、失業する雇用側の気持ちが強い。ホンダに対する失望は徐々に怒りに変わっていく可能性大。

そもそもホンダという企業全体が破綻の危機に見舞われているなら仕方ない。けれどホンダは全体で評価すると素晴らしい経営状態にあります。これ以上多くは書かないけれど、ホンダが上手にバックグラウンドを立ち回り、何事も起きないで済むことを願っている。少なくとも2021年の工場閉鎖まで、イギリス在住のホンダ関係者は十分注意した方が良いと思う。

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