東日本大地震、死者の大半は気象庁の津波過小評価によるもの(11日)

TVで「14時46分です。黙祷します」と言ってる。少し違和感ありました。改めて考えてみると地震による揺れで亡くなった方は100人に届かない。世界最大級と言われる大きな地震にも関わらず、揺れによる被害は毎年やってくる大きな台風による災害と同じ規模だったのだ。日本は地震に強いと思う。東日本大地震で亡くなった方の多くは人災である。

津波情報に焦点を絞ってみたい。地震後3分の14時49分に気象庁が「最大6mに達する大津波警報」を出した。ここまでは上手く行ってます。当然の如く多くの人も津波を考えたと思う。最初の失策は津波到達を伝える報道だ。14時54分、大船渡港で東日本大地震で発生した津波の初到達となる20cmの第一波が到達した。これを大きく報じたのである。

徐々に各地の情報が入り始め、津波も20~50cm規模。15時8分が大津波到達予想時間だったものの、この時点で大きな波は観測されておらず、実際本土に津波本体は到達していない。私もリアルタイムでTVのザッピングをしていたけれど「津波は大きくないな」と思った。おそらく多くの人が同じように感じたのだろう。家に戻った人もたくさんいたそうな。

気象庁が出した「思ったより小さい第一波」の報道が、決定的に状況を悪くしたと思う。つまり気象庁は大きな被災をもたらす「津波」より、学術上の「津波」をクローズアップしたのである。驚くべきことに引き波を示すマイナスの第一波を報告してる地域だって少なくなかった。多くの人は「すでに津波到達。大きくない」と注意の対象から外してしまったワケ。

初めて”被災をもたらす津波”が確認されたのは28分後の15時14分である。釜石港の生中継に名物である高さ6mの大防波堤を津波が乗り越える画像が写った。この防波堤は水深60m以上の場所に作られており、本当の意味での第一波が6mを超えていたことを意味する。気象庁の記録を見ると15時14分、釜石地区の波高を3mから6mに切り替えた。

被災した地域以外の人からすれば理解しにくいかもしれないが、岩手も宮城も福島も海沿いに住む人達は6mまでの津波なら大きな被害出ないような堤防やインフラになっていることを認識してます。いろんな機会でアピールしてきたからだ。したがって大津波警報3mであれば、いつもの通り気象庁は大ゲサに見てるだろうから大丈夫という判断です。

気象庁の大きなミスだった。これを報じるメディアも釜石の津波を見るまで、一応注意喚起するも、津波については「タイしたことない」という雰囲気である。けれど14分の時点で6mの大防波堤を簡単に越えている。参考までに書いておくと、釜石地区に波高10m以上の津波が来ると警報出したのは津波に襲われている真っ最中の15時30分だった。

揺れから30分経った釜石の街で津波に飲み込まれた方の大半は、気象庁が10分前に正確な情報を出してくれれば助かったと思う。3時14分に千葉や茨城、青森にやっと3~4m規模という内容の大津波警報が出される。15時30分、青森から千葉県までの太平洋側に10mの大津波警報。大きな被害を出した閖上地域の津波到来は15時50分である。

こうやって時系列を追っていくと、何とかならなかったのか、と思う。地震発生後、学術上の津波でなく被害をもたらす津波の情報を出していれば、亡くなった人は激減出来たことだろう。14時46分に黙祷することも大切だけれど、地震発生から津波がやってくるまでの時間&対応を振り返り、太平洋岸の大津波に活かすことを考えるべきじゃないだろうか。

気象庁は津波を天気予報と同じくらいの確率でしか当てられないのなら、双眼鏡で海を見ることを推奨したり、引き波に注意喚起したりするなど役に立つ情報を流したらいい。明らかな竜巻すら、気象庁が認めるまで「竜巻」と報じたメディアに強硬な圧力掛けるようなことしてるほど酷い状況。逆に気象庁を信じないメディアあった方が健全な民主主義かと。

私の2011年3月11日は、揺れた時間、家に居た。大きな地震だ、と思ったけれど、徐々に揺れが激しくなっていく。「ついに来たな!」と覚悟した次第。子供は一人が震度6を。もう一人が震度7を記録した栃木県だったものの、ツイッターで無事を確認出来た。二人とも机の下に潜ったという。東京を襲う次の大地震を生き延びる自信はあまりありません。

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