WRC日本開催が見送られた要因はトヨタの強さにある?(4日)

ほぼ確実だと思われていた日本でのWRCが見送られた。開催出来なかった理由としては「プレイベントを行っていなかった」と発表されたけれど、いろんなルートから入ってくる話をつなぎ合わせたら何となく状況解ってきた次第。簡単に表現するなら「予想以上にトヨタが速くなってきた」ことから来ているようだ。実際今シーズンのトヨタは速い。実力じゃTOPだと思う。

特にシーズン中盤のフィンランドから投入したスペックが素晴らしかった。その割にドライバーズ選手権やマニファクチャラーズ選手権で最終戦までもつれ込んだのは、単なるアンラッキーです。当然ながらライバルチームからすれば、来シーズンも強いだろうということを容易に予想出来る。その状況でWRC日本開催となると、他のチームにとっちゃ引き立て役でしか無い。

例えば現代自動車など、日本での販売から尻尾巻いて撤退した。高い経費を使い日本へ行きラリーしてトヨタに負けたら、こらもう面白くないだけ。もちろん現代自動車チームを率いるミシェル・ナンダンさんはそんなこと気にしないと思う。そもそも勝ちに行こうとするでしょうから。ただ資金出してる現代自動車からすれば「とんでもない! なんとしても反対しろ」。

来シーズンから開催が決まったチリであれば現代自動車にとって市場開拓という大きな効能を期待出来る。同じく日本から撤退したフォードからしたって日本とチリなら迷うこと無く後者を選ぶことだろう--という雰囲気を日本側が読めていない。どうやら複数のラリー関係者はそういった点をアドバイスしたそうな。けれど「開催は確実だから大丈夫」と言われたという。

私が知る限り豊田章男社長は「調子に乗る」ことを好ましくないと考えている。人に助けられないと物事は動かない、ということ。このあたり、マキネン監督も理解しているような気がする。だからドライバーを北欧勢で固めず、来シーズンからイギリスを加えたのだろう。すでにトヨタのポジションは”多少のことなら許される新人”じゃなく、周囲に気を遣うべき成人となった。

上の碑は開高健さんの「Noblesse Oblige」(位 高ければ、努め多し」です。モータースポーツに置き換えると「単に勝つだけで無くみんなで盛り上がれるよう配慮しなければならない」。強ければ強いほどです。それを日本サイドでも理解しなければいけません。という意識を持てれば2020年の開催は可能だと思う。この際、様々な意味で敬愛される存在になった方が良いと考える。

繰り返す。皆さん「やっかみ」と誤認識しがちな「ノブレス オブリージュ」を理解出来れば、日本は一段とブランド力のある国になる。2020年のWRCカレンダーに日本が載るかどうか、関係者にとっての通信簿です。

<おすすめ記事>

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ