日産リーフ、カンペキに夏ばて~!

今年の夏の暑さで日産リーフが夏バテになっている。知人の新型リーフは自宅で満充電して気温35度の中、200km走行。出先の日産ディーラーで急速充電すると、30分掛かって半分にもならなかったという。ディーラーに聞いたら「暑い日はこういった状況になるんです」。困惑している感じだったそうな。リーフの夏ばて症状、どうやら多数発生しているようだ。

7月下旬から日産のリーフ相談窓口はほとんど電話が繋がらない状況。こう書くと「他の電気自動車も同じですか?」と思うかもしれない。実はリーフ以外の電気自動車やPHV(電気自動車としても使えるプラグインハイブリッド車)の場合、走行用のリチウムイオン電池を冷却するシステムが付いており、気温上昇しても一定の温度以上にならないよう保護されている。

スマートフォーンやパソコンにも言えることながら、リチウムイオン電池は充電時と放電時にけっこうな熱を出す。加えてリチウムイオン電池は熱に弱く、50度以上(手で長い間持ち続けられない温度)になると寿命も縮めてしまう。そんなことからリーフを除く電気自動車やPHVのリチウムイオン電池は、水冷式にしたりエアコンで作った冷気を使い冷却する。

リーフの場合、先代からバッテリーの温度上昇問題は存在したものの、日本の夏の気温であっても基本的にモータースポーツで使用したり、急速充電を繰り返すといった特殊な使い方をしない限り、バッテリー温度こそ上がるけれど大きな問題にならなかった。けれど新型になって電池搭載量を増加。初代と同じスペースながら、24kWhから40kWhにした。

新型が出た際、開発担当者に新型はバッテリーの冷却を行っているのか聞いてみたところ「行っていません。バッテリー温度については問題無いと判断しています」。もしかしたら日産にとっても連日40度近い酷暑になることは想定外だったのかもしれない。以下、少し専門的な内容になる。リチウムイオン電池は前述の通り50度になると寿命を縮める(安全面の心配は無い)。

そこで日産は外部の熱に影響を受けないよう、バッテリーを断熱構造にした。暑い夏でも夜間に気温30度を超えることは希。夜間に気温25度くらいまで下がれば、200Vの普通充電だと充電による温度上昇も無い。昼間は断熱構造にしているため外部からの熱による上昇を問題無いレベルに抑えられ、結果、バッテリー温度を30~45度くらいでキープ出来ると判断したのだろう。

しかし今年の夏は強烈。夜間でも連日気温30度程度までしか落ちず、加えて炎天下で60度近くなった道路からは大量の遠赤外線が出る。その上、外気温35度の路面から20cm上のバッテリー搭載位置は気温50度近い。こうなるとバッテリー温度が全く下がらなくなってしまう。急速充電すると、イッキに5~8度くらいバッテリー温度が上がり万事窮す。

参考までにリーフはバッテリー温度が上昇すると、自動的に出力を落とす制御を行う(大雑把に言えば平坦な高速道路で100km/h程度。登り坂や向かい風になると80km/h)。走行不能になる、といった報告は無し。故障ではないためバッテリー温度が下がれば元の性能に戻るが、急速充電したり路面温度高いと長い時間パワー制限になる可能性も。

いずれにしろ日産が顧客やメディアに対しバッテリーの情報を全く出さないため、詳細は解らない。冷却問題も以前から日産の広報に問い合わせているのだけれど「技術部門から回答がありません」。新しい技術を試すのは日本の将来のためだと割り切り、ガマンするしかないかもしれない。充電が長時間になることを想定したドライブ計画を練っておくといいだろう。

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