御褒美を頂く(8月18日)

今日のSSは午前中3本が初めて走るコース。クスコの炭山選手曰く「落とし穴が必ずあって、しかもドコにあるのか解らないんですよ」というマレーシアだからして、とりあえず抑えて走ることにした。されど32秒後ろにインドのサンジャイ選手がいる。彼もアマチュアドライバーだ。抜かれるのイヤです。

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写真/染宮弘和

考えてみれば皆さん同じコースを何度も走っている。ペースノートも正確だし、落とし穴もある程度解ってることだろう。そんな大きいハンデがあると自分自身に言い聞かせ、ギャップは全て抑えた。そしたらどうよ! サンジャイ選手とのリードを全て吐き出し、負けちゃいました! しくしく。

ラリーの神様は遅いヤツなんか嫌いだ。さらに攻めずに走っているヤツだって応援なんかしたくないだろう。午後の3本は午前中と同じコース。落とし穴は1回目にチェックした。いよいよ踏む時です! ゆっくり走ってゴールしたって「何のためにラリーをやってるのか?」ですから。

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喜多見スペシャルならもっと攻められるのに  写真/染宮弘和

気合い入れましたね! とは言えギャップでドコに飛んでいくか解らない状態は全く変わらず。そればかりか小澤さんから「今後大きいジャンプや荷重掛かったら無理矢理付けているストラットのアッパーが抜けます」と言われた。そんなこんなで抑えながらの(?)フルアタックだ。

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こんなライン取りが正解なのであります  写真/maraysianrally.com

上の2枚の写真を見ても左前輪は荷重を掛けないよう走ってるでしょ(ホントか、と小澤さんに言われそう)。すると1本目より1kmあたり4秒も速い! 当然ながらサンジャイ選手を引き離す。これで喜多見スペシャルがあればリスクも負わず踏めるようになるから、さらに2秒くらい速くなること間違いなし!

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右の若手は初日に前転したスイフトのドライバー。ケガなくラッキーでした。  写真/染宮弘和

ということで苦しみながら大いに楽しんでフィニッシュ。カラムジット・シンから「初出場で完走は難しいのによく走りきったね」。オーストラリアの人とニュージーランドの人からは「アンタはTOPドライバーになれる速さを持ってないかもしれないけど、運転は上手いかもしれないな」。

考えてみれば2002年にラリーを始めて以来の17戦でリタイアしたのは、初ラリーのアルペンラリーと2012年のキングスカップで突っ込んだ時だけ。加えてそれなりの結果を残せている。毎回の如く走るまでにトラブル多発し、ラリー中もリタイアの危機に何度も遭遇しながら、完走してきたのだった。

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今回はナニも得ることはなかったと思っていたら、奴田原選手と炭山選手から「けっこう頑張りますね」。お世辞かと思ったらそうでもなさそうです。自動車評論家は口だけだと言われるのがイヤだし、何よりクルマの評論もWRCの解説も、実際に限界を体験しなければ解らない。

日本チャンピオンの奴田原選手と、TOPドライバーである炭山選手(当然ながらS2000には届かなかったものの今回見事に2位!)から評価してもらえたのが何よりの御褒美だ。もう一つ。1回でもコースオフしたらオシマイというマレーシアで4回ミスして復帰出来たのはラリーの神様の気まぐれです。

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