トヨタWRC復帰を正式発表
トヨタがWRC復帰を発表した。2017年からヤリス(日本名ヴィッツ)でフル参戦するというもの。プレスリリースを見たら(写真を参照)、昨シーズンにチャンピオンを奪取したWEC(ル・マン24時間レースを含む世界耐久選手権)より前の扱いになっている。トヨタにとって最も重要なモータースポーツという位置づけになるようだ。
発表会の冒頭でWRC復帰の理由として豊田章男社長はトヨタの創業者である喜一郎さん残した理念を紹介した。曰く‥‥
「オートレースは単なる興味本位のレースではなく日本の乗用車製造事業の発達に必要欠くべからざるものである。耐久性や性能試験のためオートレースにおいてその自動車の性能のありったけを発揮してみてその優劣を争うところに改良進歩が行われモーターファンの興味を沸かすのである」
トヨタくらいの大きい企業になると、WRCに復帰するため、様々な理由づけを必要とするのだろう。実際、記者会見でもTVなど大手メディアから「何でWRCなのか?」という質問がたくさん出ていた。何より章男社長がラリーを市販車開発のツールとして重視しているということだと思う。単に「競争をしたい」ではダメだということか?
発表会に合わせ、現在テスト中の試作車をドイツから運んできた。すでにテスト走行の動画など公開されているが、現時点では下のクラスである『R5クラス』の速さにも届いていないようだ。車両を見る限り、とりあえず動くように作っただけという仕上がり具合。本格的な開発作業はこれからだと思う。
ちなみにテスト車に搭載されている『GRE』(グローバルレースエンジン)はヨーロッパで独自開発されたもの。現時点で3基の動くエンジンを持っているという。本格参戦にあたりエンジンの開発は非常に重要。そのままヨーロッパで開発を続けるのか、それとも東富士のトヨタ開発部門にバトンタッチするのか不明。
全体的な雰囲気としては準備万端で参戦発表したというより、章男社長の強い強い参戦意志とTMG(ヨーロッパのモータースポーツ部門)のスタートダッシュに流された感じ。文字通り今からスタートするんだと思う。開発が順調に進めば2016年後半戦からのテスト参戦も大いにありうるだろう。最初は苦戦必至か?
ただ章男社長の意思は強い。何よりメーカーTOPの意向で参戦するとあって、様々なトラブルがあっても前に進むと思う。WRCはトヨタのモータースポーツで最も成功したジャンル。ちなみに昨シーズンから韓国の現代自動車もWRCに参戦を開始。初年度にしては納得行く結果を残している。トヨタも負けられまい。
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