唄を忘れたカナリア
当Webサイトを読んでいる諸兄にとっちゃ目新しい情報じゃないと思うけれど、ここにきて現代自動車の躍進ぶりを伝えるニュースが溢れている。日経新聞は「現代自動車の昨年の純利益は5600億円で日産の2倍」。米国のカー・オブ・ザ・イヤーを現代エラントラが獲り、ドイツの販売台数でトヨタは現代に抜かれた。
・NHKは「ヒョンデ自動車」という表記を使い始めた
そんなに韓国は凄いのか? 凄いと書いてきました。とにかくレスポンス良い。「カタログ燃費はインチキじゃないか?」と叩かれているエラントラなんか対策車を出すらしい。燃費や完成度で新型カムリHVに負けたソナタHVも秋にはバージョンアップさせてくるという。おそらく1〜2年は叩き合いになると思う。
唯一の救いはモータースポーツに出てこないこと。市販車を作るイキオイのままラリーやツーリングカーレースに出てきたら、もう日本車は厳しい。市販車を使う競技で韓国車の後塵を拝すようになったらどうか? 夢も希望もないです。残念ながらそういうことを日本の自動車のメーカーの経営陣は考えない。
現時点で唯一の、ただしわずかになったリードを保っている日本車のジャンルが「趣味性の高いモデル」だ。日本国内での販売台数は望めないかもしれないけれど、世界的に見れば大切。私がお金持ちならいろんな国で日本車使って競技に出て、存在感を強く訴えたい。それを韓国勢にやられたら厳しいです。
自動車メーカーの経営陣は「唄を忘れたカナリア」になっている。お金のある企業や人は、今こそ日本の自動車メーカーをバックアップするタイミングかと。海外のモータースポーツで日本車が活躍し、話題や販促になれば必ず自動車メーカーも唄の楽しさや効能を思い出してくれるんじゃなかろうか。
数人/数社が海外で1台のスポンサーになって走らせる。100台くらいになれば、各国で相当の存在感を持つ。1000台なると大暴れしている雰囲気になろう。我が国だってそのくらいの経済力は残っていると思う。私もタイで頑張ったけれど残念ながら「唄の楽しさ」を思い出してもらえなかった。一人じゃダメです。
自動車メーカーは「文明」(技術)で韓国勢に勝とうとしているが、自動車という道具は「文化」(趣味)も大切である。「夢」や「楽しさ」と言い換えてもよかろう。上に「唄を忘れたカナリア」の歌詞をリンクしておきます。歌詞を全く忘れていた。改めて読むと心に沁みる。その通りかもしれません。ぜひぜひご一読
を。
・ECOカーアジアは「GMボルト。ハイブリッド版のデビューは近い?」
<おすすめ記事>
自動車メーカーの内情は知る由もありませんけど、日本は今車に趣味性を求める人も少ないし、モータースポーツも多くの人は興味ない感じだし、エコ一番!エコなら良。そうゆう環境で育った人が自動車メーカーに入社して自動車を作っていくのでしょうからしょうがないんじゃないでしょうか?残念ですけど。ここはひとつトヨタの車好きの若社長に期待します。 社長一人でどーにかなる訳でもないでしょうけど、トヨタ車全部が今とは激変してすれば文化も激変… やっぱり無理だな。 結局、バイクやら車など諸悪説なこの国のわけわからい政策が変わるしかないと思います。
今の日本の自動車メーカーの経営者(豊田章男社長を除いて)が「唄を忘れたカナリヤ」とは、まさに言い得て妙な表現です。
お隣の韓国、現代(ヒョンデ)の本格的な自動車生産は三菱自動車の協力を得て、1972年に始まりました。
最初は”日本車の安価な代用品”という位置づけで海外輸出を開始し、品質問題で何回かの失敗もしましたが、ここ最近は従来の安価なクルマだけで売るのではなく、品質やデザインでも日本車に追い付き、ウォン安を武器にシェアを大幅に伸ばして利益を上げています。
日本車の強力なライバルになった現在、日本車に残された道は価格での競争ではなく、感性に訴える品質(所有する、運転する楽しさや夢の追求=趣味性の高いクルマ)で差をつけることだと思います。
決して高価なクルマというのではなく、差別化(どうしても、この車が欲しいと思わせる)できることです。
世界の自動車史を振り返ると、欧米の自動車黎明期は19世紀末からであり、日本のそれとは約50年もの開きがあります。 欧米にとってクルマは文化であり、過去の輝かしいレースでの活躍で培った名声で商売できるベントレー、アストン・マーチン、マセラティ、ランチア、ロータス等のブランドのように、日本車も再度、海外で積極的にレースに参加して(特にホンダ、マツダに望みます)、過去に躍進したように若者のクルマ好きを増やしてください。
カナリアに「唄うな!」と叫んだ飼い主(ユーザー)は誰なのかを考えることが重要だと思います。
「店内に展示車を置かないで」という要望に応えたダイハツ・カフェプロジェクトに見られるように僕のような車好きには理解できない現実がある・・・・・。
国沢さんがミライースの試乗会でお会いした広報の方が多分そうであるように決して「忘れた」訳ではないと信じています。が、走っても走っても前に進まない「のるもっと店長」が日本の自動車メーカーを象徴しているようで切ないです。
はじめまして
自動車のことは余り詳しくないのですが、国沢さんの現場感覚あふれるレポートがとてもおもしろく、毎日、楽しみにしております。
そこで、さっそくですが
>唄を忘れたカナリア
について。
このことは、自動車業界に限らず、最近、日本では製造業を根拠もなく軽視する風潮が蔓延していることも無関係ではないのではないでしょうか?(このことについては、昨日の国沢さんのエントリとも関係のあることですし、また、製造業軽視については、何ヶ月か前に労働力人口の中の製造業の雇用者数のお話の中で国沢さんも危惧されていた記憶がありますが)
製造業軽視派の言い分は、これからの日本はサービス業を重視すべきであるとか、あるいは、日本は成熟国家であるから製造業は必要ない、所得収支で食べていけばいい、とかで、根拠、理屈の分からない言説が有識者といわれるような人から当たり前のように流布されているように思われます、、、( しかし、どうしてサービス業なんだ?「成熟国」とはなんなんだ?というところが全く説明されておらず、それらの根拠、理屈が全く理解ができません )
そうした中、最近、下引用のように、米国では、製造業重視の動きが始まっているようです。
製造業を軽視し、サービス業重視、所得収支重視をいう人たちが盲目的に参考にしてきた国が米国だったのではないでしょうか?
これら米国の動きが、日本の製造業軽視の風潮を改める機会になってくれれば切望しています( 日本の製造業が必要ないならないでいいけど、それで、日本の現在、将来にとって問題ないのかを、ちゃんと議論したうえで、そうした結論を導き出すべき。単に、他の国がそうだかといった理由は、日本を衰退に導く危険性があると言わざるを得ません )
ご存知だったかもしれませんが、ご参考までにと思い紹介させていただきました。
最後になりましたが、これからも、国沢さんのご活躍と、おもしろいエントリを楽しみにしております。
製造業の米回帰狙う…一般教書演説(2012年1月26日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/fx/news/20120126-OYT8T00585.htm
オバマ米大統領は24日の一般教書演説で、製造業を国内に呼び戻して雇用を生み出すための包括的な税制改革を打ち出した。(ワシントン 岡田章裕)
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201107/Rattner
ドイツ経済モデルの成功
―― 他の先進国が見習うべき強さの秘密とは
The Secret of Germany's Success
スティーブン・ラトナー
前米財務長官顧問
フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年7月号掲載
ドイツ経済の成功は、中国、インド、その他の新たな経済的巨人が台頭する環境でも、先進国が競争力を維持できることを示している。ドイツモデルを他の先進国が取り入れるには、各国の政治家が2005年にシュレーダー独首相が示したような決意あるリーダーシップを示す必要があるし、国の比較優位をうまく生かす方法を見極めなければならない。付加価値連鎖のなかのもっとも高い部門を重視するのが、先進国経済が状況を先に進める上で、もっとも間違いのないやり方だ。実際、ドイツの工業的成功の多くは、製造業の二つの高付加価値部門が牽引してきた。第1は、ミッテルスタンド(中小企業)がひしめき合う工作機械部門、第2は、ドイツ経済のスターである、BMW、ダイムラー、ポルシェ、アウディといったブランド企業が牽引する自動車産業だ。ドイツは雇用と高付加価値の製造業を大切にすることを決断し、この決定が経済的成功に大きな貢献をしている。
唄いたいカナリアは沢山いると思います。
今までの市場であった北米、EU、日本は先細り、
環境問題、CO2問題、電動化による開発コストの増大が
自動車会社に重い負担となり、
加えて激しくなる競争社会で中国、インドといった
新興市場に向けた商品開発にもリソースが必要となる。
それに加え、日本では円高。
唄っても聴いてくれる人は少ない。
むしろ、うるさい!静かにしてくれと言う人がいる。
そんな中でうるさいと言われないようにしていたら、
もう唄えなくなってしまった。
今後、現代自動車が成功モデルになり、
同じような経営方針をとる会社が出てきてしまわないか心配です。