日産大きな一歩
地味なニュースに思えるかもしれないが、画期的なことであります。というか、量販メーカーならこうならないと生き延びることが出来ない、と言い換えてもよかろう。というくらい日産が発表した『CMF』(コモン・モジュール・ファミリー)なるコンセプトは凄い! 下の概念図を見て頂きたい。鋭い人なら一瞬で解る。
今までシャシというかフロアは、ボディサイズによって分けられた。例えば日産の『Cプラットフォーム』はミニバンのセレナや、SUVのエクストレイル、セダンのセントラ、さらにはルノ・カングーやサムスンQM5といったルノー系のモデルにも使われている。同じフロアを使えば開発&生産コストを大幅に下げられ
ます。
しかし! 実際にやってみると、そんなに甘くない。重量が違えばフロアの補強や構造変更も必要になる。車高違うとシート位置に代表されるキャビンのレイアウトも変わってくる。歩行者保護などに対応するため、ボンネットの高さ(すなわちエンジンやサスペンションの高さ)だって変えなければならない。
そんなこんなで基本設計が同じとはいえ「似て非なるモノ」になってしまう。開発担当者に「共通のフロアを使ってるんですか?」と聞けば「納得できる性能を出すため結果的に相当変更しました」と、むしろ「どれだけ改良したのか」を自慢しているケースが目立つほど。技術者はオリジナリティを追求したいのだ。
ということを根本的に見直しましょう、というのが日産CMFである。車体を4つのファクターに分類し、それぞれ満足できるスペックを持たせておく。その区分を車重や車高、車型によって組み合わせて行きましょう、ということ。上の表(良くできている)を見ていただければ四の五の説明することもないだろう。
基本設計は猛烈に簡単になる。少量生産も今までより比較にならないくらいコストを下げられる。それでいて量産化によって高い信頼性を持たせることだって出来る。「FRはどうするの?」と思うかもしれないが、日産CMFであり、インフィニティについちゃ未発表。当面現在のフロアを使うと考えていいだろう。
この技術を使ったモデルは2013年から出てくるという。現在のコンセプトで作られる最後のモデルはCプラットフォームの『ブルーバード・シルフィ』と、Bプラットフォームの『ノート』になる? 日産以外のメーカーも、おそらく同じようなことを行おうとしていると思う。いろんな意味で来年あたりから日本車は進化します。
・ECOカーアジアは「ホンダの2気筒! 3気筒ターボも?」
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スゴい技術だと思います。
これでヨーロッパ市場で戦える剛性のクルマが作れたら、本当に素晴らしい。
そういえば日産はFRのFMパッケージでも、車種開発を経る毎にプラットフォームを進化させる手法を取っていました。
技術は日進月歩ですね!
「プラットフォームが一緒だから、乗り味は一緒」と、プラットフォーム共用を卑下していたクルマ好きの世代です。
スゴイですね〜!
例えば、スポーツカーなのにハイポジションコックピットなど、買う側がベースを選べる時代が来るのでしょうか?
日産というメーカー、これまでも時代の変革の『起爆剤』となってくれたコトが多いです。日本の自動車メーカー全体が変わらなければならない時に〝ナニカ〟を起こしてくれる、かつての〝No2〟だった日産の底力を見せてくれるのでしょうか?
こう言ってはナンですが、日産の中にはプリンスの血も流れています(日産の人、怒らないでネ)。一度は地獄を見たメーカーですから日産、期待してます。
PS:ホンダはもともと二輪で技術を磨いたメーカーですから二気筒エンジンは自信があるはずで、これを四輪用にどう料理するか?が〝見もの〟です。
自分は設計者として、車がモジュール化できるかどうか、日々研究していました。それを日産がこんな簡単にやると言った事に、驚きを隠せません。図のボディ部品を見るとフロア部品はもちろん、ステアリングメンバー、ダッシュサイド、カウルトップまで共用化するとなると、あとボディ部品で残るのは、上側のモノコックだけですね。つまりザックリ言って50パーセントのボディ部品は設計から生産までモジュール化できるということで、これはものすごいコスト削減になりそうです。こうやって自動車産業も、日本の携帯電話や家電製品のようになっていくのでしょうか。心配でなりません。
CoCo壱のメニュー表みたいでわかり易いです。
これを有効活用して浮いたコストで毎年、Be−1やパオみたいなパイクカーを出して欲しいです。
独VWは既に、MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)という概念を導入して設計したポロ、ゴルフ、パサート、ティグアン、さらに傘下のシュコダ、セアトの新型車を含め、共用化によるコストダウンを行っています。
ユーザーにとって、標準モジュールの共用化や組み合わせで様々な車種を効率よく、またスケール・メリットを生かして安価に生産でき、従来アッパークラスに使われていたサスペンション機構やボディ剛性、その他の新技術が低価格車にも採用されて商品価値が上がる(バリュー・フォー・マネー)のは歓迎すべきことです。
しかし、kojimaさんも指摘されているようにクルマもコモディティ(日用品)化で画一化されて面白みが無くなり、車種間の個性やテイストが失われるのではないかという危惧も一方ではあります。