燃料電池技術にとって、今でも「レースは走る実験室」です!
遅ればせながら日曜日に行われた電気自動車レースの顛末記でございます。今回の修行課題は「サーキット仕様のサスペンションと、冷却効率の改善」。まず足回り。喜多見さんに状況を説明した結果、30mmほど車高を落とし、タイヤ性能をキッチリ引き出すべくバネを堅くしたそうな。一般道で乗るとレース車両特有のハネ感が出るが、コースインしてみたら大笑い! バッチリっす!
キッチリ荷重乗せながら前輪のグリップを探って走れば面白いように曲がってくれる。ホンの少しリアの流れ出し挙動がシビアになったけれど、むしろ曲がってくれるし、そもそも嫌いじゃない方向性。ただ高速域からの減速&ターンインを考えれば若干リアの減衰を落とした方がいいかも、と思いながら喜多見さんに予選走った状況を伝えたら、やはり「リアを落としましょうか」。
喜多見さんいないし低速コーナーもある、もてぎのコースなら今のままでいいと判断しました。ということで予選は4番手。圧倒的なパフォーマンス持つチューンド86に勝てないのは当然ながら、リーフにも2台先行されてしまう。前回の蒲郡戦でも判明したのだけれど、リーフに絶対的な速さで若干負けている感じ。こういったこともレースをやってみないと解らないので興味深いです。
また、予選で判明したのだが冷却対策はもう一歩といった感じ。今回、フロントグリルに穴を開けるなど対応。それでも足りないかもしれない、ということでエンブレムまで取ってしまったほど。エンブレムの穴から入ってくる空気、けっこう多いそうな。エンブレム無いとどこのメーカーのクルマか解らないのは問題? 締まりのない顔になっちゃいます。次回はステッカー貼ろうと思う。
開発責任者の清水さんも来てました
今回ホンダ・クラリティが参戦してきた。タイヤとサスペンションがノーマル。車重はほぼ同じくらい。私のミライは1869kg。クラリティで1880kgくらいだという。ノーマル状態なら好勝負か? ということで迎えたレース。86改には届かないため、セーブモードに入らないよう、いろんな走り方をしつつリーフを追走する。セーブモードに入ると回復に時間かかるため、3秒くらい遅くなります。
スタートすると足回りはバッチリ決まってる。レースのような走り方だと回生制動を意識した走り方をしても、ほぼ回生分は期待できない。ブレーキングはキッチリ攻め、発熱量大きくなった結果に起きるパワーダウン(セーブモードに入ると最大30%出力を抑える制御に入る)を防ぐべく、様々なアクセルワークを試す。こういったデータが次世代燃料電池の参考になれば嬉しいと思う。
なんたって燃料電池は生まれたばかりの技術である。いろんな使い方をして育てた方が強い子供になるってモンです。普通に街中を走っているよりずっと役に立つ。本田宗一郎さんじゃないけれど、燃料電池に関していえば今は競技が素晴らしい「走る実験室」になります。冷却も風洞でなく実車を走らせることによって解るブブンも多いそうな。少しずつでも前にすすめば嬉しい。
細かい努力の積み重ねが効いたのだろう。8ラップ目から前を行くレーサー鹿島選手のリーフが近づいてきた。すると最終ラップのダウンヒルストレートで電池残量が厳しくなってきたリーフに追いつく。これを何とか抜こうとするも、ミライだって絶賛セーブモード中。かろうじて追い越し、前に出れた! 僅差を保って先着。2位でありました。次は8月21日の富士スピードウェイです。
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