ロータリーエンジンにあってスカイアクティブXに無いのは「華」でしょうね

ロータリーエンジン大好きな私が、なんでスカイアクティブXに厳しいのか? まずロータリーエンジンだけれど、初めて乗ったSA22で「普通のエンジンとこんなに違うのか!」。学生だったこともあり、BMWやベンツの直列6気筒や、ましてやV12気筒、ポルシェの水平対向だって乗ったこと無し。そして日本製エンジンときたら、高回転で激しいバイブレーション出した。

貴島さんが関わったSA22CのグループB

すでにバイクでは超滑らかなスズキの3気筒2ストに始まり、CBX1000の6気筒に至るまで滑らかなエンジンを経験していたため、国産車のレシプロは全てアウツでした。そんな中、SA22Cの12Aロータリーときたらレッドゾーンに入ったコトすら解らないほど滑らか! 「ぶーん」というエンジン音もレッドゾーンに入ったって変わらない。即座に万難排して人生初めて買ったクルマに。

その後のロータリー全て乗った! SA22の後期型は日本仕様が12Aターボ。海外用に13B搭載モデルを設定したけれど、どちらも個性的でしたね~。13B搭載モデルは5年落ちの中古車ながら、低い回転域からトルク出ておりドライバビリティ良かったです。SA22はWRCにも参戦しており、貴島さんに当時の話を聞くと面白いの何の! この件いつかジックリ。

ターボ過給した13B搭載のFC3は速かった! 240km/h出ましたから。当時ポルシェ944に乗っていたため、乗り換える気合いなく断念。ただアメリカで販売しているターボ無し13Bに乗りたくてLA(正確に書くと当時マツダはLAの隣のオレンジカウンティに事務所とデザイン拠点を持っていた)まで行ったほど。デザイナーの俣野さんにアメリカのことをたっくさん教えて貰いました。

小早川さんが作ったFD3は超魅力的だったものの、この時代になってくるとスムースで気持ち良いエンジンはレシプロにもたくさん出てきた。ロータリーエンジンに乗ったことが解る人なら感じる通り、高回転まで一本調子。良く出来たレシプロだとドラマチック。当時の私は可変バルタイ付きのNSXを選んでました。3ローター20Bを頂点に、ロータリーは時代遅れになる。

そんな私がなぜスカイアクティブXに厳しいのか? 技術の難易度は当時のロータリーと好勝負だと思う。今のままだとマツダしか量産出来ない感じ。という点からすれば技術屋さんからすればやり甲斐あるのだろう。けれどお客さんにどんな魅力があるのか。ロータリーみたいに当時のレシプロと比べたら別世界のエンジンフールを持つワケじゃなし。燃費だってハイブリッドに勝てない。

プロペラ機の最高速度チャレンジのようなものです。ピストンエンジン機で850km/h。ターボプロップ(ジェットエンジン)ならTu-95は950km/hを高空で出せることが知られている。けれどジェットエンジンであれば、同じ速度は燃費の良い巡航速度域。毎日世界中で運航されている速度域だ。もちろんプロペラ機で950km/h出す技術はハンパなく高レベルです。

写真/航空自衛隊

燃費でも価格でもドライバビリティでもスカイアクティブXはハイブリッドに勝てない。最終的にル・マン24で優勝出来るほど『華』のあったロータリーと全く違います。スカイアクティブXからクルマ好きの普遍性あるワクワク感は(マツダファンなら世界唯一の技術と言うだけで満足すると思います)得られないし、将来的にも「華」があるような評価も無いと思う。

エンジン屋の意地に付き合っているウチ、2021年秋から始まる厳しい騒音規制で電気モノ以外のスポーツエンジンが作れなくなってしまう。マツダのブランドイメージを作れないまま、次の世代に突入しなければならないのだった。新しい時代で存在感を出そうとするなら、素晴らしいハイブリッド技術や電気自動車技術が必要。勝負出来る戦略持っているなら、以上ジジイの戯れ言です。

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