ウーブンシティ、その後どうなってる?
今年1月のCES(ラスベガス)でトヨタが発表した『ウーブンシティ』はその後どうなったか? 調べてみると来年の着工に向け、様々な準備が進んでいるようだ。そんな中、トヨタは7月28日に新しい体制を発表している。詳しい説明したら解りにくくなるため簡単に紹介すると、トヨタから少し距離を置き、個人としての豊田章男さんがジェームス・カフナー代表に夢を託すということです。
どういうことか? 脚光を浴びる世界レベルの事業家を見ると、ビル・ゲイツ氏にしろイーロン・マスク氏にしろ孫正義さんにしろ、新しいアイデアを次々と打ち出し、すぐ動き出す。そして新しいタイプのビジネスを確立したり、新しい生活形態を実現したりしてます。豊田章男さんも自動車関連分野で新しいことをやりたいんだと思う。その一つがウーブンシティということであります。
スペックを見ると素晴らしい! そもそも現実社会では「良い」と解っていても実現出来ないことがたくさんある。例えば安全。路地で速度を出して走ったら危険だと誰もが解っている。簡単なのは車道と歩道の区別のない場所で強制的に速度制限する方法。けれど現実社会だとそんなことすら出来ない。高度な技術を使えば、人や危険が潜在している時だけ減速させることだって可能。
交通手段も「ラスト1マイル」と呼ばれる近隣の移動について現実社会だと抜本的な解決策無し。高齢の皆さんバスなど公共の交通機関が廃線になれば、結果的に1人の移動でも効率良いと思えないタクシーを使うしかない。豊田章男さんはウーブンシティという新たなシステムを作り、新しい技術で優れた効率や安全を実現した快適な環境を作ってみたいと思っているのだろう。
ただ実現に向けたハードルは高くて多い。漏れ伝わるところによれば、モビリティ関係ですらトヨタ内部で慎重論が多数出ているそうな。トヨタというメーカー、日本社会の縮図のようなもの。前向きの人も居れば原理原則を主張して何でも反対する人だっている。社長が命じても思い通りにならないことが多いということです。結果として世界レベルの実業家のような速度感にならない。
7月28日に発表された組織変更の骨子は「だったらトヨタと距離を置き自分の私財を投じて自由度の高い組織を作る!」ということです。組織変更にあたり豊田章男さんは以下のような声明を出した。
「トヨタ自動車のルーツは織物を編む自動織機の発明にありました。トヨタ自動車をつくった“創業者豊田喜一郎”の父である豊田佐吉の発明です。佐吉は苦労する母親の姿を見て、「母を楽にさせたい」と想い自動織機を発明しました。そして、その息子の喜一郎は「国産車で日本を豊かにしたい」という一心でクルマをつくりました。われわれのルーツには「誰かを喜ばせたい」「誰かに幸せになって欲しい」という想いがあります。未来に向けた実証実験都市に“Woven”と名付けたのも、そうした「他の誰かのために」という想いを、未来をつくっていくこれからも忘れずにいたいと考えたからです」。
心配なのは富士山の噴火のみ?
豊田章男さんも未来に役立つ「発明」をしたい、ということなんだと思う。それをトヨタでやろうとすれば時間が掛かる。だったらトヨタと距離を置いた組織を立ち上げ、そこで未来を目指す。ジェームス・カフナーという人に托したのも、日本人だと様々な”しがらみ”があり、時間が掛かるだけでなく思い切ったことをしにくい、という判断なんだろう。私は良い選択だと考えます。
クルーズ船に住めたら最高です!
こうなると楽しみなのがウーブンシティの内容です! 都市の創造はビル・ゲイツやイーロン・マスクすら手がけなかった。最先端モビリティもさることながら、自然災害に対し強靱なスペックを持たせられるし、子供や女性が安心して暮らせる高度なセキュリティだって大きな魅力になると思う。少なくとも強盗被害に遭うことなどないですから。
ウーブンシティの動画を見ると、イメージに近いのは素晴らしく快適な大型のクルーズ船。私は警官や役人がいないのにリラックスできて快適な日々を過ごせる小さい離島のような社会のエッセンスも入れたらいいと考えます。
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