ルノーは日産の持ち株を中国に売却するというウワサが流れているらしい

本日何人かから「日産は他の企業に買収されるのか?」と聞かれた。なんでも下にリンクした記事に日産はシャープより酷い状況になると書いてあるのだという。読んでみたら1)ルノーが日産の持ち株分を手放すことになる。2)日産を欲しがる優良企業などないから中国あたりに売られる、というもの。記事書いたの、井上学さんという方のようだ。私は全く面識ありません。

日産がシャープよりも「悲惨な末路」をたどりかねない根拠

聞かれてその度に答えるのは手間なので以下、私の意見を書いておきましょう。まず現在の日産の時価は(株価×発行株数)1兆7700億円。ウチ43%ほどがルノーの持ち分なので7600億円ということになる。今、手放したら7600億円で終わりになってしまう。そんな拙速な判断をするのか? というのも日産の業績が回復したら日産から毎年株主配当を受けられます。

2017年の株主配当は3500億円! 何とルノーの収益の半分近くが日産からの配当金なのだった。日産がキチンと収益上げてくれさえすれば黙って毎年巨額の株主配当を貰えるワケ。こんな素晴らしい金づるを7600億円で手放すという決断は”普通なら”しない。普通じゃ無いケースってあるのか? あります。日産が経営破綻しちゃうと持っている株はゴミになる。

ということで重要なのは日産の今後だ。1999年の実質的な破綻時の日産を見ると、本当に酷かった。有利子負債算高は2兆5千円に達した上、たくさんの”過剰な雇用”を抱え、使っている部品は天下り先の会社から割高なコストで調達している状況。新型車の開発予算不足というレベルじゃ済まず、マイナーチェンジの原資すらなかったほど。当時、徳大寺師匠は「もう終わっているな」。

今はどうか? 2019年度は新型コロナ関係無しにも関わらず6700億円という巨額の赤字を出した。2020年度も巨額の赤字を出すだろう。2年間の赤字額だけで見ると1999年よりずっと酷い。一方、まかりなりにも利益剰余金は4兆1千億円あり、当面のキャッシュフローは確保出来ている。日産にお金を貸す機関だってあります。昨年と今年の赤字は耐えられるメドがついているようだ。

また1999年と圧倒的に違うのは、近未来の商品群だ。1999年を振り返れば文字通り皆無だった。新型車の開発も凍結状態。されど直近を見るとたくさんの「売れそうなクルマ」がスタンバイしており、燃費規制をクリアするための技術(筆頭はeパワー。電気自動車技術も素晴らしい資産)だって持っている。1999年は出来なかったリストラを実行する(スペイン工場など)。

次期型エクストレイル

加えて日産とルノーは政府が関わっている。好調であれば圧倒的な収益をもたらす自動車産業を簡単に手放すワケありません。巨額の赤字を出したルノーだけにF1から撤退するというウワサも流れ飛んだが、アルピーヌブランドで継続すると発表された。日産、ルノー、日本政府、フランス政府揃って諦めていない。ましてや中国企業に売るなんてことは考えられない、と私は考えます。

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