ニッチを狙うメーカーながらスバルとマツダは全く方向性が違いますね~

近々アップされるMX-30の試乗記の中で「シェア2%のクルマ作り」ということを書いた。この数字、マツダのクルマ作りの全権を任されている藤原副社長がいろんな場面で語る「我々は2%のシェアでいい」ということに基づいている。ここ何年も藤原副社長と話をしたことがないため真意は不明ながら、コメントを読むと「2%のお客さんに満足してもらえばいい」ということのようだ。

平行して「大きな自動車会社と同じようなクルマ作りをする気は無い」とも言っている。これを読んで今は亡きスバルの桂田さんを思い出した。桂田さんも「トヨタと同じクルマ作りをしていたらスバルは生き残れない」と言ってました。おそらく桂田さんや、当時実験課長だった荒沢さん、五味さんなど今のスバルを作り上げた熱きサムライ達が考えた戦い方だったんだと思う。

マツダの「シェア2%でいい」のトヨタと違うクルマ作りと決定的に違うのは、スバルの場合「トヨタじゃ絶対できないようなクルマ作り」をしようとしていたこと。主として技術です。実際、徹底的な出力志向のエンジン作りや、曲がる4WD作り、お金を掛けた軽量化など当時のトヨタができないような(今のトヨタは何でもやる。だから強い)ことばかり手がけていた。

少ないシェアでいい、というより、大きな会社じゃできないようなクルマを作りたい、というあたりが根っこです。方やマツダのクルマ作りを見ていると「同じことをしない」という空気が強い。「ステーションワゴンベースのクロスオーバーはどこもやっている」とか「キャビンスペースの追求は当たり前だ」等々。そう考えるとマツダのクルマ作りの方向性に納得する。

スバルとマツダ、似ているようだけれど決定的に違う。スバルの「大手にできないクルマ作り」は、大手の自動車メーカーと同じくらい売れる可能性を持っているのに対し、マツダの「大手にできないクルマ作り」ってスポーツカーの如く「最大限2%」であり、それ以上のお客さんが来ることは無いように思う。ニッチな方向性持つクルマに普遍性などありませんから。

MX-30を見るとまさしく2%を狙ったクルマ作りです。動力性能でCX-30に届かず、キャビンスペースは相手にならない。普通なら誰も選ばないです。けれど2%くらいMX-30の雰囲気やデザインを好む人は居る、ということなんだろう。「そうかもしれない」と思うか「それは違う」と思うかは人それぞれ。マツダを高く評価する同業者は前者だ。「マツダらしくていい」と言う。

でも私は考える。今までのマツダって2%を狙って2%になったワケじゃない。ロールスロイスやフェラーリまでは考えなかったろうけれど、ポルシェやBMWくらいまで狙った。その結果が2%です。最初からニッチを狙ったって、全てホームランの当たりにならんと思う。MX-30の販売目標は月販1000台。新規車種作って1000台じゃ儲からないでしょ。もしかして苦難の道が好き?

MX-30の試乗レポートで書いたシフトレバーです

私が好きなマツダは今までのように「世界制覇を狙ったクルマ作りしてのシェア2%」です。その方がずっと夢を追求できるし明るいと思う。ちなみにスカイアクティブを立ち上げた金井さんや金沢さん達が目指したのは、1)2%のシェアでも利益を確保できる生産方法。2)それでいて品質的に世界TOPを狙えるクルマ作りだった。決して2%でもいいというクルマ作りじゃありませんでした。

 

 

 

 

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