水素エンジン搭載車、いつ発売か?

レースデビューした水素エンジン、報道を見てるとけっこう先走っちゃってる。TV見てたら著名なコメンテーターや、それなりの肩書きを持つ人が「レースに出せるレベルなので年内には発売される可能性も」などと解説してた。まぁメディアなんて「博識」や「博学」ぢゃなく「薄識」や「薄学」。私も水素について今回学ぶべき点あって反省しきり(後半に反省文を)。

そもそも今回のレース参戦、新しい技術のトライであり、開発の緒に就いたばかり。もちろん市販する計画を立ててスタートしたワケでもない。モリゾウさんの「やってみよう!」精神が大きいと思う。実際、作って&走ってみないと解らないことってたっくさんある。私も電気自動車や燃料電池車で競技やって「そうだったのね!」の連続。新しい技術ほど発見多い。

ということで水素エンジンの市販計画は本日時点で「無い!」と断言しておく。ただ明日になって「作ろうか?」になるかもしれない。その場合、市販車に仕立てようとしたら最低で開発に5~6年掛かる。エンジンの開発だけで言えば早いと思う。解決すべき大きなハードルは水素タンクだ。大きな容積を必要とする水素タンクの搭載場所確保に苦労する。

水素エンジンカローラ、新型MIRAIと同じ構造の水素タンク4本を使っている。リアキャビンは水素タンク様専用。容積にすると180Lあるそうな。このタンクにガソリンだと16L分くらいのエネルギーしか充填出来ない。水素エンジンの市販車を作ろうとすれば、燃料タンクの小型化が必要。こう書くと「液体水素を使えばいい」と思うかも。私もそう書いた。ここから反省文だ。

一般的に気体を貯めるより液体の方が体積小さいと考えるだろう。けれど水素エンジン車について調べるため改めて水素の文献を見たら「液体水素は気体の800分の1の体積になる」と書いてある。これ、前から知っていた。一方、新型MIRAIの水素タンクは理論上809気圧で運用中。「もしかして液体水素より気体で使った方がいい?」。早速専門家に問うてみる。すると‥‥。

「光の速度にならないのと同じで気体の密度は液体を超えられません。液体水素を使うメリットは船舶など大型のタンクも実用化出来る点にあります」。高圧タンク、大きいモノを作ろうとしたら構造的に重くなるという。「液体水素使ったら水素ぎょうさん積めるから航続距離伸びるやんけ」と書いた私は、薄学&薄識でありました。しくしく。液体水素、もの凄く軽いらしい。

航続距離を伸ばそうとしたらどうしたらいいか? 809気圧より上げるという手もある。新型MIRAIの水素タンクの強度は、常用の3倍程度を想定しているようだ。2400気圧ですね。もちろん前述の通りそこまで入らない。1000気圧ならイケる? 当然ながら配管やバルブなども809気圧より高いレベルの安全性を確保していると思う。1000気圧なら大きな問題出ないとかもしれない。

現在レーシングスピードで50km走れるというが、仮に1000気圧で使ったらどうか? 1,3倍走れるようになる。この技術を燃料電池車に入れてもらうと、新型MIRAIの実用航続距離は550km程度から715kmに伸びますね。燃料電池車、電気自動車にとって一段と優位になるんじゃなかろうか--といったことを考えていると楽しい。やっぱり新しい技術ってワクワクします。

 

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