豊田章男さんから頂いた感謝状、間違いなく100年後の研究材料になると思う

日曜日、ハイエース@レディースチームの応援でGazooラリーチャレンジに行ったのだけれど、開会式で突如新型MIRAIで1040km走ったドライバー3人が名前呼ばれモリゾウさんから感謝状を頂きました。全く予想していなかったため、私ワークマンのレインウェア。解っていたら脱いでチームウェアになってたのに~。しくしく。でも嬉しかったです。

頂いた感謝状の内容を9人の同士に送ると(MIRAI開発チーム野正さんの名前はないものの社会通念からすれば常識ですね)、皆さん文面読んで激しく反応。自分のSNSで紹介していいかと聞いてくるので「いいみたいですよ」。下がその感謝状の文面です。私もこんな感謝状、見たこと無い! というか100年後、豊田章男研究をする際に必ず取り上げられるだろう文章です。

3つの立場で構成されている。この時点で異例の展開ですね。自分で考えたとすれば才能だ(こういう風に書くからモリゾウさんから上から目線だ、と言われちゃう)。最初は『自工会会長』としての立場。続いてクルマ好きとしての人格である『モリゾウ』。さらに『トヨタ自動車の社長』としての文面。写真だと読みにくいためテキストにしてみました。最初のブロックは以下の通り。

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パリでMIRAIが1回の水素充填で1000キロの走行を達成したと聞いて皆様は「なんで日本の技術である水素燃料電池でフランスが世界記録をだしちゃうの?  悔しい!」と声を上げ真っ先に550万人を代表して行動を起こしてくださいました。この日本で我々自動車産業がペースメーカーとなりカーボンニュートラル実現に向かっていくんだという熱い気持ちを感じました。

まさしく「意志ある情熱と行動」だと思います。そして本当に1040.5キロを走り世界記録を更新されました! 燃料電池車の実力を示していただき本当にありがとうございました! 

先日の水素エンジンカローラは1634キロ走るのに35回の充填が必要でした。MIRAIは1回の充填で1040.5キロ。まだまだプラクティカルになるまでは長い道のりだと思いますが、カーボンニュートラルへの選択肢を広げる努力を我々も続けてまいります。これからも一緒に頑張っていきましょう!

日本自動車工業会 会長 豊田章男

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日本の自動車産業にとっての喫緊の大きな課題はカーボンニュートラル。そして基幹産業のプライドについて親しみやすく&気持ちが伝わる口語体で表現している。次の「クルマ好きなモリゾウさんのブロック」はさらに突っ込んできている。ホンダF1の話も自工会の会長じゃなくモリゾウさん人格で書いてます。また、ここにも550万人という自動車産業の人口が出てくる。

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ホンダはF1で4連勝。WRCでもトヨタが4連勝。我らが勝田貴元は日本人として27年ぶりの表彰台‥‥。550万人の仲間が世界に勝利する姿は最高に気持ちがいい! 貴元はフランス人のオジエに及びませんでしたが皆さんはフランス戦に快勝してくれました。最高です!! ありがとうございました!

Morizo

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そしてトヨタ社長としての文章が最も興味深い。後年、豊田章男の研究者達がどう解釈するか楽しみだけれど、私は”らしさ”全開だと思う。多くは書かないので皆さん文学研究家だと思って解釈してみてくださいまし。メディアに対し「正しいことを書いて欲しい」と言ってるのはよく解ると思う。トヨタに対する記事、私からしても「酷いね!」と思うケース多いですから。

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なんのギャラも払っていませんが私どものイチオシ商品”MIRAI”の最高のアピールをしていただきました。ありがとうございました! ギャラは出しませんが副賞を贈らせていただきます。水素といえば福島県の浪江町! 浪江町のナミエウォーター1年分を送りたいと思います。

今後もトヨタのこと、そして550万人の仲間のためにステキな記事を書いていただければ幸いです。無理に褒めてとは言いません。未来の笑顔につながるようにJAPAN LOVEの気持ちを込めて正しく書いていただければと思います。よろしくお願いいたします!

トヨタ自動車株式会社 取締役社長 豊田章男

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興味深いのが同士SNSのコメント欄。スンゴク好評なのだった! 「心が伝わる」とか「こんな暖かい感謝状の文面は見たこと無い」「ギャラが2回も出てきてサイコー!」等々。実は私もPTA会長の時、練馬区連盟の会報の時にこの手の文学的な表現を使ったら批判され、書き直しを命じられた。当時の私には押し切るパワーありませんでした。開高健なら通ったろう。

こういった感謝状を書ける自動車メーカーの社長はいないと思う。書いても浮くだけ。PTA会長時代の私と同じです。以上、長々と書いてきたけれど、トヨタ好調の理由の一つを理解して頂けるんじゃなかろうか。自動車メーカー全ての社長がこんな洒脱な感謝状を書けるようになるまで厳しい厳しい修行をすれば、日本の自動車産業は世界最強になれると私は考える。

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