電気自動車は燃えるのか?
ヒョンデやBYDの記事を書くと必ずや「燃えるクルマの記事なんか書くな!」という声が出る。確かに電気自動車の火災はメディアにとって格好の対象になっているようだ。ガソリン車だって毎日たくさん燃えているけれど報道されず、電気自動車の火災となれば「また燃えた!」と報じる。正月7日にも韓国でテスラのモデルYの火災があり、皆さん取り上げてます。果たして電気自動車は燃えるのか? 危険なのだろうか?
少し整理しながら伝えたい。まず「電気自動車は燃える」ということを強く認識させらたのは『フィスカー』というリーフと同じ時期にアメリカのベンチャーーが手がけた電気自動車。A123システムズという企業の3元系リチウム電池を搭載しており、ハリケーンがニューヨークを襲った際、20台弱のフィスカー・カルマのうち16台が炎上した。すでに3元系リチウム電池は危ないとされていたけれど、実際燃えることを証明することになる。
日本製の電池はB787にも使われた火災事故を起こしたGSユアサが、アウトランダーPHEVでトラブルを起こした。製造中、落としたセルを使ったというのが原因。現場で「落とした」という状況をゲロするまで長らく生産中止になったほど。それを除けばアウトランダーPHEVとリーフがそれぞれ1台ずつ燃えたのみ。佐賀県で発生したリーフの火災は水没後2週間放置されていた車両が全焼したというもの。事故では燃えていない。
ここまで変形しても燃えなかったリーフ 写真/DEKRA
ということで電気自動車の安全性は確保されているように思えたが、テスラや中国製、韓国製の3元系リチウム電池が増えるにしたがって火災事故も増加してきた。LGケム』製の電池を使うヒョンデの『コナ』は炎上事故が多発しリコール。中国国内での火災事故にいたっちゃ当局が隠すため(テスラが燃えた時だけニュースになります)、どんだけ発生しているのか不明。まぁ中国製の怪しい3元系リチウム電池は燃えても不思議じゃ無い。
国際線には使えないB737級の中国機C919 写真/CFP
中国製の電池、玉石混淆ですから。ちなみに中国で開発した旅客機C919は中国の型式認定を受けたものの、事実上の国際規格であるアメリカ『FAA』の認定を取得できないため国際線には使用できない。三菱航空機のMRJは当初日本人の技術者が『FAA』の認定を取るべく開発したものの、2016年にダメ出しをされ改良を試みたが最後までFAAの認可基準に届かず断念した。玉石混交の中国製電池、日本の専門家からすれば「無理!」が多いそうな。
直近の3元系リチウム電池は”ほぼ”問題とされている。ヒョンデのアイオニック5の炎上事故も報道されたが、酔っ払って分離帯に90km/hノーブレーキで突っ込んでおり、もはやいかんともしがたい。ただ前述の通り日本の技術者からすれば「酷い」と言われる中国の生産状況は(落としたセルを使ったGSユアサの事故も同じレベル)、解消されているかどうか不明ですけど。個人的には3元系リチウム電池の火災は無くならないと考えてます。
BYDのATTO3はリン酸鉄リチウム
一方、テスラやBYDなど大手メーカーに採用されているリン酸鉄リチウム電池の炎上事故はまだ発生していない。危険な事を前提に安全対策を行ってい3元系リチウム電池と違い、リン酸鉄リチウム電池は基本さえ守っていれば安全。そんなことから世界的な流れとしてリン酸鉄リチウムに行こうとしている。トヨタやホンダも海外で生産する車両に搭載される電池はリン酸鉄が増えていく方向。個人的にはリン酸鉄リチウム推しです。
PS・素人の記者さん達は自動車の炎上事案で「爆発が起きた」などと書くけれど「バン!」と音がするのは基本的にタイヤの破裂音。大型トラックのタイヤが破裂すると凄い音が出ます。
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車両火災での爆発音ってニュース、なんとなく聞き流していましたがタイヤの破裂音なんですね。
聞けば納得ですが、今まで気が付きませんでした。
新しい気付き、ありがとうございます。
テスラのAWD/ロングレンジと言った上級グレードにはまだ3元系リチウムイオン電池が使われているようです。容積あたりのエネルギー密度が高いからなんだと思います。
ATTO3とbz4xならカタログ上は、bz4xのほうがバッテリーがいっぱい載っていて距離が走れることになっていると思います。
しかし、1充電で4~500キロ走れることが見えて、普及価格帯でとなれば、リン酸鉄リチウムイオンのほうが有利です。耐えうる充放電サイクル数が多いことから、そのままリユース・リサイクルも可能で安全で、ある意味言う事なしではないかと思います。
日本のメーカーもそろそろ兜を脱いで、性能とコストの両立に走ったほうが良いと思います。
フィスカーは設立当初はテスラより先に行っていたような記憶があるのですが、炎上事故の後始末がうまくできなくて軌道に乗れませんでしたね。
リン酸鉄の基本特許は切れるものの、容量を増やすための周辺特許は中国が押さえています。そして中国は、中国で作るなら特許料はいらない、国外で作るなら特許料を払えと言っている。
よって日本のメーカーが競争力のあるリン酸鉄バッテリーを作ろうとすれば、中国に工場を作るか、特許を回避して新しいリン酸鉄バッテリーを開発するしかない。しかし全固体電池に開発費を注ぎ込んでしまったため、今更リン酸鉄に注ぎ込む予算はどこにある?
全固体電池はコンコルドになりつつあります。ここまで時間とお金を掛けたから市場に出すまでやめられないアレです。技術者からすれば、10年前に全固体電池を持ち上げた各種メディアが今はリン酸鉄だというのは、手のひら返しに近いものを感じています。