日本勢のハイブリッドと唯一互角に戦える欧州勢はルノーのE-TECだけだと思う

ハイブリッドは電気自動車が普及するまでに最も有力なパワーユニットだと思う。そして今まで”使い物になる”ハイブリッドって日本勢の独壇場だった。メルセデスもBMWもPSAもハイブリッドのような駆動システムを作ったものの、燃費は全く期待できなかった。先日まで乗っていたBMW330eも走行用電池無くなりハイブリッドモードになると普通の320iとほぼ差のない燃費。そもそも普通のエンジン使ってたら熱効率よくない。

そんな中、ルノーのE-TECのみハイブリッドをずっ~と見てきた私ですら「これは!」と思えるシステムを出してきた。何より実用燃費がいい! WRCジャパンのレッキ車として使ったのだけれど、1日中アップダウンの多い狭い林道を走り回って20km/L以上走ってくれる。欧州車らしく高速巡航は最も得意とするところで、新東名の追い越し車線の流れに乗ったペースで25km/L! アクアやヤリスのハイブリッドに肉薄します。

何よりドライバビリティが素晴らしい! フランス人らしく複雑怪奇なシステムなのだが、走り出すや大半のモードで車軸とエンジンが直結している。簡単に言えばエンジン側に4速。モーター側に2速のギアを持ち、それを組み合わせて駆動する。興味深いのはクラッチを使わないこと。ギアもバイクや競技車両と同じ常時噛合式(ドグミッション)のため、常にダイレクトなのだった。よく「ドグクラッチ」と紹介されるが間違い。

ドグクラッチ=常時噛合式クラッチ(クラッチがないということ)なんてなんてモノは存在しないです。E-TECを開発したフランス人のエンジニアにも確認したから間違い無し。4速ドグミッション×2段切り替えモーターだ。興味深いことはモーター駆動時も車軸と直結していること。したがってハイブリッドにありがちな「ラバーフィール」(ゴムを介して駆動しているという意味)が全く無く、スポーティなのだった。

そのかわり日本勢ハイブリッドより少しばかり賑やか。モーター直結モードは滑らかなのに、エンジン直結モードになるとマニュアルミッションので高いギアを使って加速した時のような”エンジン感”がある。素晴らしいのはさすがドグミッション。アクセル踏むと瞬時にギアダウンし、最適の回転数+モーターアシストで加速していく。システム出力は143馬力ということながら、ターボ無しエンジンの2000cc以上のパワー感だ。

ちなみに私のルーテシアは5速のシーケンシャル・ドグミッション。SSをスタートしたらクラッチ踏まずにガンガン変速出来る。タイムラグ無し! 技術的には変速時に「ガチャン」とショック出るのだけれど、E-TECはモーター使って正確に回転数を合わせているそうな。このあたりの技術が凄いと関心しきり。価格はフル装備で339万円。ノートオーラやアクアのフル装備グレードと大差なし。クルマ好きにならぜひ試乗してみて欲しい。

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6 Responses to “日本勢のハイブリッドと唯一互角に戦える欧州勢はルノーのE-TECだけだと思う”

  1. もりた より:

    ルノーも頑張ってるんですね。
    仕方がないのですが、懸念されるのはリセールバリューや信頼性ですね・・こればかりは過去の実績次第。

  2. CX-60 より:

    フランスで作られた複雑怪奇な仕掛けというと、ハイドロマチックですかね。でもルノーは一見パイプ椅子に見えても卵が割れない2CVを作ってますね、どちらも乗り心地重視。。。
    モーター側にも変速があり、エンジンのダイレクト感があるところが、対THSでの最大の強み。
    ルノーは古くからあっても、決して大きなメジャーな会社でないから、こういった独自色の強いメカニズムが出せるのでしょう。いにしえのホンダのようですね。
    きっと、大手だったらEVにしろ!との政治的な声でBEVを作っていたと思います。
    いや、ルノーZOEを忘れたわけではないのですが!

  3. PAL より:

    エンジンがノンターボ1.6Lっていうのが少々残念。
    1.3Lターボと組み合わせてRS(もうルノースポールがなくなりますが)グレードを作ってほしいですね。
    あと、フランス車って、「伝統的?」に最小回転半径が大きいから、もっと小回りできるようにならないものか?と思います。

  4. 猫まんま より:

    我が家は昨年メガーヌ購入しました。ルーテシアE-Techも考えたけど純ガソリン車はこれで最後かと思ってあえてメガーヌ。街乗り8km/L高速15km/Lで市街地燃費極悪です。ターボがガンガン効いて楽しいです。信頼性はこれからですね。延長保証付けても5年までなんでちょっと不安です。リセールはフランス車に期待していません。

  5. アミーゴ5号 より:

    ルノーはEVを推進しつつ、ちゃんと独自のHVをスタンバっているのですね。抜け目ないというか、なんというか。

    日産は、持ち株率の平等化で喜んでいるけど、ルノー&スナールさんのほうが何枚も上手。

    日産にどんな罠が仕掛けられているか、心配だったりします。ただホントに、縁切りされたのかもしれませんが。。。

  6. NRT より:

    この車、すごく興味があるのですが、トランスミッションの耐久性はどうなのでしょうか?

    アウディ初代TT V6 3.2Lと、VW GOLF6のDSGで、私自信本当にひどい目に遭いました。VOLVO V40の2ペダルも距離が延びると遅かれ早かれ結構な確率で壊れると聞きました。ただVWのように警告灯と共にいきなり不動にはならないので騙し騙し乗って帰ることはできるそうです。一方で、DSGと同じ機構でもポルシェのPDKは壊れないとも聞いたことがあります。

    とにかく変わり種のトランスミッションはトラウマで、未だにどうしても尻込みしてしまいます。移動中や出先での不動は最低です。

    最近はメルセデスやBMWでもスポーツモデルにおける2ペダルミッションが増えてきています。

    自動車評論家の皆さん、DSGの耐久性問題について絶対知っているはずなのに、国沢さん以外はほとんど誰も触れませんね。バイヤーズガイドに耐久性や信頼性の視点は必須です。評論家という職業の人が重大な問題を知っていて触れないのは視聴者に対するlying by omission (伝えるべきことを伝えないのは実質的に嘘をついているのと同じ)だと思います。YouTube動画は本当に忖度多いです。絶対にネガティブなことを一言も言わない人とか、評価者として意味あるのか?とすら思います。

    国沢さんにはこれからも是非忖度無しの評価をお願いいたします。

    本題とズレたコメントですみません。

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