40年以上ル・マンを見て来たけれど、やっと日本車がガチで勝負出来るようになりました!

私にとって最初のル・マンは1979年の童夢『零RL』の惨敗だった。今のような情報は無かったので、いろんな出版物を読みまくったことを思い出す。すでにフェラーリとフォードの戦いは伝説となっており、ポルシェ956も出ていない端境期。F1エンジンを搭載したスーパーカーの零RLが935とか936のような普通のポルシェに手も足も出ない状況を見て「なんだこれは!」。

童夢ミュージアム

1981年にベストカーガイド編集部員となり、ル・マンの情報が山ほど入ってくるようになる! 童夢は徳大寺師匠や当時の正岡編集局長が懇意にしていたこともあり、記事に出来ないようなことをたくさん聞いた。私が乗っていたRX-7もポルシェ935のようなオーバーフェンダー付けマツダオート東京から出てましたね。結論を書くと「日本の技術じゃ全く歯が立たない」。

6kmあるユノディエールの長い直線に代表される全開区間長いル・マンを24時間走りきれるような体力無かった。必ずどこかが壊れてしまう。1980年代後半に日産やトヨタがグループCカーを作り本格的な参戦を始める。日産などポールを奪取するなどいいところまでいったけれど(R89Cカッコよかった!)、やはり強さ不足。ポルシェやジャガー、ベンツに届かず。

当時、毎年ル・マンに行ってました。1990年は4ローター積んだマツダが優勝したものの、残念ながらIMSA規定の車両は燃費規制が有利になっており、それを上手に利用。欧州のファンからすれば「頑張ったけれど少しズルかった」という評価だった(今や勝ったことだけ伝説になってます)。2018年から敵の居ないル・マンでトヨタは勝ち続けたが、こらもう自己研鑽です。

787Bの優勝ではホンキで泣きました!

2012年からカムバックしたトヨタは熟成を重ね着実に速さと強さを身につけていく。ポルシェと激しいバトルを繰り広げた2016年など最終ラップまでリードし、ポルシェも「負けた」と思ったほどだったのに突如ストップ。勝てるパフォーマンスを持っていた状況になった2018年からトヨタだけになってしまう。といった意味ではガチのレギュレーションで日本車が勝ったことは一度も無い。

そしてライバルの居ない5年間を過ごし、今年はホンモノのル・マンが戻ってきた。欧州のモータースポーツファンって慧眼です。入場券はソールドアウトし、32万人がサルテサーキットにやってきた! いつもの如く16時にスタートすると(今年は少し早かった)、トヨタ速い! とはいえ序盤の速さは1980年代の日産から見て来ており、ここでは驚かない。

2016年は勝っていた

ちなみに直前に重くされたと騒いでいたが、フェラーリやキャデラックも同じ。トヨタとフェラーリの重量差は13kg。しかもエネルギー回生システムが付いているため、ブレーキング時は重ければその分もエネルギーとして回収出来るし。そもそもシケインからの立ち上がりはパワーあっても全開出来ない。200km/hを超えたら13kgより空気抵抗の方が影響としちゃデカイ。

ポルシェとの重量差34kgは厳しいと思いますが。フェラーリとキャデラックも直前のBOPだったけれど、モンク言わずに受け止めた。加えて搭載されるウエイトは重量バランスを改善させられる場所(重心より低い位置など)に乗せられる。フェラーリとのハンデ差はドライバーの体重差レベル。むしろフェラーリは耐久面で弱く、ポルシェがライバルになると思ってました。

しかしフェラーリ強かった! 軽いポルシェを相手にせず! キャデラックやプジョーも頑張ったけれど、速さと強さで厳しい。トヨタとフェラーリ、がっぷり組んだ最高の勝負になった。20時間過ぎても一桁秒差ですから! トヨタ速くて強い! 日本車もついにここまで来た。表彰台の真ん中に乗れるか乗れないかなど二の次。どんな勝負をするか、です。

その証拠に国際映像はずっとTOP争いを追いかけ続け、昨年主役だったLMP2は本来の脇役になった。そしてフェラーリとガチで戦ったトヨタをたくさんの人が見た。勝つのと同じ栄誉を受けたと思う。来年はポルシェやキャデラックも本腰を入れて勝負に出てくる。かくなる上は再びガチの勝負をして欲しい。勝つまでは止められないし、勝ったら連勝記録を伸ばしましょう!

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4 Responses to “40年以上ル・マンを見て来たけれど、やっと日本車がガチで勝負出来るようになりました!”

  1. 2662やす より:

    2023ルマン
    大変興奮しました!がモヤモヤも残っていました。
    しかし国沢さんの今日の記事を読んで腑に落ちました~ありがとうございます!
    これで来年からのルマンにいっそう
    楽しく応援することが出来ます。

  2. すえっこ より:

    盛り上がったのはそうだと思います。
    でもBOP は公正では無いと思います。ノルディックスキーの後出しルールみたいですね。
    トップカテゴリーに文化の為、誰も居ないのに続けてたTOYOTAありがとうございます。
    昔は日産好きだけど、今はトヨタ大好きです。

  3. けろけろ より:

    トヨタは惜しかった。

    フェラーリは強かった。

  4. たびぐま より:

    トヨタほどレース界に貢献してるのに認められていないメーカーはないと思う。レースファンとしてもあまり好きになれない。それでも2017年は現地まで行って応援しました。残念ながらポルシェには勝てませんでした。。。

    今年はフェラーリが強かった。またもトヨタは勝てませんでした。まだまだ耐久レースの奥深さに呑まれてるようにも見えました。でもレースはすばらしく、負けたトヨタ車も今までよりもカッコよく見えます。ライバルが居てこそ輝くのでしょう。

    来年はもっと熟成されたポルシェもBOPもものともせず、まとめてぶっ飛ばしてくれるはず!
    がんばれ!トヨタ!

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