食事や宿泊を伴うクルマの試乗会の記事ってステマじゃないのか?
ネット記事の『PR』はどんな基準になっているかについて昨年10月に消費者庁に取材し『ステマ規制で自動車メディアに影響は?』で紹介した。この記事が広く読まれているなどと思っていないため、八丈島で行われたスバルの試乗会を紹介する際に「案件やペイドパブじゃない」とあえて書いておいた。それでも「ステマだ」みたいなことを主張する輩が少なからずいる。改めてPRや案件、ペイドパブ、ステマについて確認しておく。
メーカーからすればブランド作りの一手法
まずこの手のクレームを付ける輩は経済観念が無いと断言しておく。考えて頂きたい。上に挙げた八丈島の試乗会は羽田空港集合6時半。解散が翌日10時過ぎ。この間、仕事は出来ない。5時に家を出て翌日11時過ぎまで拘束される。その上で原稿を書く時間が必要。まぁ4時間掛かるとしよう。完全に2日分だ。支払われる原稿料はメディアによって違うだろうけれど、2万円前後だと思う。日当1万円。「稼ぐ」ことを考えていれば家で原稿書きの方がいい。
メディアからすればどうか? 編集者の人件費+原稿料+編集費+カメラマンのギャラが出て行く。1記事で下を見て10万円は掛かる。これをアクセス数に応じて入ってくる広告料でカバーするのだけれど、面白くない記事だと1万円にもならないことだってあります。基本的に赤字。じゃなんで取材に行くかと言えば、現場感のあるアクティブな記事が欲しいからだ。コスパを無視したメディアにとってのブランドイメージ作りと考えていいだろう。
10万ビュー以上ないと赤字のため楽しい原稿を書きます
クレーム付ける輩は「飛行機に乗せてくれた」とか「飯を食わせた」、はたまた「クルマを用意した」とワケワカランことを言う。おそらく飛行機に乗ることがうらやましく、飯を食わせてもらう機会などなく、クルマに乗る機会もないんだと思う。考えて頂きたい。東京の街中バックの写真撮って東京湾で釣りしたって楽しいワクワクする記事なんか出来ないでしょう。さらにクルマ乗るのにお金が必要となれば、そんなページ作らない。
消費者庁に聞くと案件やペイドパブの明確な条件を提示してきた。具体的に言えば1)取材に掛かった経費を大きく超える報酬あることと、2)作った記事を依頼した企業に見せることの2点が当てはまった場合、記事に『PR』と明記しなければステマ(ステルスマーケット)になると判定されるという。『PR』と明記されている記事は1)と2)に概要しているということになる。興味深いことに2)で大きく修正されるかどうかはメディアの実力次第だったりして。
強いメディアだとクライアントも事実と違うことくらいの修正しか要求しない。弱いメディアは真っ赤になるほどの修正要求来る。ちなみに私もペイドパブ用の記事を書くことはあるが、安心してすすめられるクルマや用品しか引き受けない。また、修正も事実誤認以外はやめてね、が引き受ける前提です。現在進行形ではヒョンデのアイオニック5 Nの記事をエンジンWebで書いているが、良いクルマの紹介記事を書くのはマイプレジャーです。
ただここでエンジン誌へのリンクを貼ると、このページもペイドパブ絡みになるからやらない。
<おすすめ記事>
メーカー主催で交通費・宿泊費付き試乗会となれば、そりゃあ書き手もクルマの良いところを訴求しようとすると思います。
メーカー側だって費用をかけたイベントな訳ですから、少しでも宣伝効果を上げたい。そのためクルマの特徴を活かしたフィールドを用意するのは当然のこと。それが楽しくなければ、良い記事を書いて貰えない訳ですから。
これは今回に限らず、新車発表の試乗会でも同じですよね。
問題は、メーカーが接待要素を加えること。書き手も、それにほだされて手心を加えること。
このあたりはグレーゾーンで、時として過度な忖度がアドオンされがち。特に最近のヒョーロンカの方々の記事には、読み手に目利きが求められると思っています。
普通の会社の取引関係者への接待ならともかく、自動車メーカーと評論家の利害は一致しないはず。
通常の交通費・宿泊費ならいいでしょうが、豪華な飲食の接待や高額な土産物などは結構グレーですね。
かつては「御高説を承りたい」とちょっとした会合とその後の多額の飲食、法外な講演謝金にお車代、プラス盆暮れの贈答という時代があったようです。
現在では全く姿を消したのでしょう(か?)
この記事を読んでステマだPRだと言ってくる人は、案件とかもらったことのないYoutuber、または自費で「投稿・記事のための取材」を行ったことのない人ではないかと思います。
身の回りにあるちょっとしたことをポストしただけでもバズることを期待している人や、特に「現場感のあるアクティブな記事」と言ってもわからない人なんじゃないでしょうかね。
ネットの世界なのでテレビ視聴率のごとくページビューを稼げれば原資は何でもいいんだと言われてしまうかもしれません。それならわざわざ飛行機飛ばして島に行かなくても、広い会場貸し切りで車を置いてVRや拡張現実でPRをして見せれば安上がりです。でも車がSUVでもあり、そうはしなかった。
逆にこれからは、そんなバーチャルを真に受けたり、そんなPR方法でいいんだよとか、何でその効果が出ないんだといってくる人が出てきそうで怖いですね。
ペイドパブ、ステマなどなど、気にしていないです。
ですが、クルマのことを知りたくて自動車メディアや評論家さんの記事を読んでいるのに、
なぜかイベントの記事だと他の記事のような専門性も熱量も感じられないものが多いです。
体験が想定範囲内だったんでしょうか。
メーカーも存在感を出したいんだなー
ライターもなんか大変だなー、この経験が糧になればいいなー
くらいに思う記事が多いと思っています。
読者には分からないことも多いと思うので、お気になさらなくていいかと思います。