偉大なるKY

2年前のWRCジャパンでのこと。トヨタからFISCOに出向してる人が視察に来ており「FISCOも帯広みたいに地元の人と交流出来るようにしたいと思っているんです。WRCについて教えてください」。このとき、トヨタはホンキでFISCOのF1を成功させようとしてるんだな、と感心した。その後、何の連絡も無かったけれど、私よりもっと詳しい人からレクチャー受けたんだろうと思った次第。さらに場内の観客の移動もコンピューター使ったシミュレーションを行っているというウワサを聞く。そんなこんなで、事前に「バスだけじゃ無理」といった声を聞いた時も「トヨタが本格的に準備してるのだからキッチリとハンドリングするだろう」、と、ある程度楽観してました。

なのになのに! フタを開けてみたらあの惨状。地元にとっても大量のバスが通過しただけ。何の面白さもなかったろう。高額のチケットを購入しF1を見に来る観客は、客筋が他のレースイベントと全く違う。茶髪の密度も低い。地元の人達と事前に協議し、庭先駐車場の協力を依頼したり(何らかのカタチでお礼はする)、徒歩移動を容認した上、沿道で何か交流出来るようなイベントをやったりするといったアイデアは無かったのだろうか? 例えば地震や自然災害の時に活動するボランティア団体などに少しずつ予算を付けてやれば、自分のグループの宣伝がてら喜んで暖かい豚汁などの提供も行ってくれたに違いない。

さて。本業でのトヨタは今日も明日も盤石だ。全て自らの能力で完結可能。今回の失態も、クルマの販売には全く影響を与えないだろう。したがって今後も「助言など聞かず全て自ら問題点をチェックし対策を練る!」という姿勢は変わらないと思います。つまり「トヨタに期待するのは間違い!」ということをハッキリ認識してないと今後も失望を繰り返すことになる。WRCの時なんか(モータースポーツ界はレギュレーション違反なんか珍しくない。マクラーレン・メルセデスだって115億円という強烈なペナルティ受けても辞めない。というか好きでモータースポーツやってるなら辞めないワな)、回りから「残ってくれ」と言われても全く耳を貸さず撤退しちゃいましたから。

もしF1から撤退したらFISCOでの開催など興味を失うだろうから間違いなく終了。FISCOと競り合った結果、高くなった開催コストに鈴鹿は泣くという流れになると予想しておく。それでもトヨタに全く悪意は無い。トヨタの人って、みんな良い人なのだ。いや、正確に言うとF1やってる人達は全く面識無いので知りませんが……。少なくともFISCOの社長である加藤さんは「お客さんに楽しんで帰って貰いたい」と寝る間を惜しんで準備していたろう。そんな人です。払い戻しを躊躇せず決めたのも加藤さんに違いない。文化事業に関しちゃ単に「世界最大の空気を読めない企業」というだけ。トヨタ、日本という国によ〜く似てます。

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