トランプ政権、やはり円高誘導かと。3月までに140円を目指す?

日銀が政策金利を0.5%へ引き上げるという。どうやら1%を目標にしているようだ。全体を考えたら日銀としちゃ金利を上げたいのだろうけれど、政府は上げたくない。なぜか? タイヘンなことになるからだ。そもそも我が国の借金(国債)は1300兆円ほどある。借金なので利息を払わなければならないが、金利ゼロなら借りた金額だけ返せばよい。まぁ激しく虫のいい話でございます。政府としては金利ゼロがいい。

そもそも我が国は国債の発行額もさることながら、GDP(国民総生産)比率が常識外れに高い。アメリカの国債発行金額は世界1で日本の2倍ながら、GDP比率からすれば100%。日本は発行金額2位の1300兆円でGDP比率240%。3位中国で745兆円の50%。普通の国なら破綻しているレベルながら、日本は海外から借りているお金が無く、しかも国内留保(個人所有のお金)が国債発行額より多い。現金持っていて借金してるカタチ。

なので借金増えても破綻しないという極めて特異な国になってしまっている。結果的に国の実力以上に安い為替なのだった。政府としては予算不足になれば国債を発行すればいいので何の工夫もしなくていい。野党は減税や補助金や手厚い福祉しろという。予算が足りなければ国債発行しろということです。国債を発行するのは金利ゼロがいい(笑)。世界水準と同じ財政の国にしようとすれば政策金利を上げるしか無い。

金利を上げると分母が1300兆円だけに、ものすごいことになる。グーグル先生のAI分析によれば、金利1%につき9兆円増えるという。国家予算112兆円。すでに28兆円は国債の返却として使っている。そいつに政策金利1%毎に9兆円上乗せされていく。今回は0.25%の上げだけれど、それだけで2兆円以上の国家予算が消えていく。なのに1%を目標にすると言い始めた。なぜか? トランプ政権のリクエストかと。

Ⅰドル=160円という円安。アメリカ右派からすれば面白くない。アメリカで作って日本に輸出しようとしても高くてビジネスにならない。一方、日本で作ったモノは全て激安。関税を上乗せしたって安いです! 購買力や物価から考えればⅠドル=100円だっておかしくない。いずれにしろアメリカ製品を日本に売りたいとなれば、円高誘導です。その第一歩が「政府としてはやりたくない政策金利0.5%」ということです。

ちなみに政府は国債費のことを前面に出さず「政策金利を上げないのは住宅ローンのため。国民を考えてます」という。変動相場でローンを組んでいると、金利の上昇は返済額の上乗せになってくる。住宅ローンを抱えている人は返済額の上昇を嫌うため「金利上げるな!」。トランプさんの怖いところは「やると決めたらやる!」。自動車産業はどうなっても生き延びられるような準備をしておくことが重要だと考えます。

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2 Responses to “トランプ政権、やはり円高誘導かと。3月までに140円を目指す?”

  1. 本城信 より:

    誠に的確な正論で、これに反論する人は政府の言うことしか信用できない(つまりは第二次世界大戦中の政府の戦勝報道をうのみにしていた人と同じ)だと思います。

  2. AKIO より:

    国沢さんの説明に間違いは無いが、財務省の説明と酷似していますね。
    変動金利の住宅ローンの返済額が変わるのは5年毎で、125%ルールもあるので、カツカツで借りている人以外は、ほとんど影響がないでしょう。当然給料も上がるので、言われるほど騒ぐ必要は有りません。強いて言えば、これから新規で借りる方に影響が強いかもしれませんが、住宅販売が増えないと税収も増えないので、住宅宅ローン控除の見直しとかが行われて買いやすくなります。
    円高の方が大問題です。
    私は円高になったらS&P500を買う予定です。

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