やっぱそうなりますよね。エスピノーサさん、NHKのインタビューで「閉鎖工場は決めていない」

エスピノーサさんがNHKの取材を受け「国内外で削減する7工場について現時点で最終決定していない」と答えた。この対応、上手じゃありません。というのも、今後が難しくなるからだ。取材を受けたのは5月22日。閉鎖する工場をこの時点で決めていたならウソを付いたことになる。本当に最終決定していないのなら、22日時点から慰留された場合、その人や組織を無視することになってしまう。

そもそも「閉鎖工場を決めていない」と言った時点で「ウチの地元の工場は残せ」というプレッシャーを受けることになる。そいつをハネ返すのって簡単ではない。すでに神奈川県も横須賀市も地元の追浜も「閉鎖撤回」に向け動き始めており、国会議員レベルで陳情を行っている。このままだと閉鎖する場合、相当の投資(跡地の再開発計画など)や手間が必要になってくるだろう。

日本では「立つ鳥跡を濁す」くらいで済むけれど、海外になるとそう簡単にいかない。例えばトヨタのヌーミー(加州フリーモント工場)。閉鎖するという流れになった際、シュワルツェネッガー知事から強く慰留された。当時アメリカ担当だった稲葉氏は「工場閉鎖はウチが決める」と断り、トヨタは悪者になる。最終的に退職者に巨額の保証をし、テスラが工場を引き継いで決着した。

ちなみにヌーミーはトヨタにとって初めての工場閉鎖だった。私ら1980年代からアメリカ取材していると、稲葉氏の対応は「それ最悪でしょう!」と思ったし、アメリカの知人達に聞いても「トヨタ最悪」と言っていた。たまたま加州で発生したレクサス暴走事故をきっかけにトヨタバッシングが始まる。日産も海外の工場は簡単に閉められないと思った方がいい。いろんな嫌がらせを受ける。

どうすればいいか? 打つ手は1つしか無い。追浜工場で言えば、素晴らしいロケーションである。レジャー施設と集合住宅、マリーナ、ショッピングモールなどを運営すればよかろう。湘南工場なんか平塚駅から歩いて行ける。西側は住宅地。日産社員のリストラだってしなければならない。本社にはクルマ関係の仕事よりこの手の仕事をさせた方がいい優秀な社員がたくさんいる。

海外も同じ。工場を閉めるのならその跡地を上手に活かし、雇用と地元の経済を守らなければならない。まず閉鎖ありきでなく、日産としてどう活用していくのかリリースしなければならない。エスピノーサさん、お坊ちゃんなのかもしれません。社長就任以後、様々な情報を見ると、人の痛みがあまり解っていない気がします。この調子だと工場や人のリストラは簡単に終わらないと思う。

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1 Responses to “やっぱそうなりますよね。エスピノーサさん、NHKのインタビューで「閉鎖工場は決めていない」”

  1. スカイラインを降りた者 より:

    数日前、ニッ〇ン系エンジニアリング会社の人と話す機会があったのですが、私の方が下請けなので、〇ッサン方は相変わらず高飛車で「お宅の会社の中で一番大きいハンコを持って来い!」とかおっしゃっていました。まあ、自分の会社がつぶれそうなほどだとは露ほども思っていないよう。だから、工場閉鎖も決まっていません!といってはばからない。
    「追浜・湘南の工場の稼働率が低すぎ、地代も高い」これは取材でわかったことでニッサンの公式声明ではないですが、閉鎖・撤退をするならもうそこしかないと誰もが思う事です。
    再建は痛みを伴いますが、その「何も決まっていません」というセリフからまだ現実から逃げ回っているように見えてしまいます。少なくとも大きな投資家やメインバンクからは何やってるんだ?と思われても仕方ないでしょう。

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