トヨタが最新の水素技術の説明会を行った。いやいや凄かったり日本政府のダメさを認識したり
このところあまり話題にならない水素エネルギーながら、世界規模で考えれば依然としてカーボンニュートラルを実現するため開発が進んでいる。翻って我が国を見ると石油利権や原発利権に強いブレーキを踏まれており、世界に先駆けて実用化した燃料電池や水素を貯める82MPの高圧タンク技術も冬眠状態になってます。このままだと先行した我が国は追いつかれ抜かれてしまう。
強い危機感を持っているのがトヨタだ。ただ開発には「強い動機」を必要とする。そんなことからモータースポーツを選んだという流れになります。本田宗一郎さんは競技を「走る実験室」と称した。トヨタを見ていると正しく「その通りですね!」と思う。現社長の佐藤さんがGRのプレジデント時代、開発現場から水素エンジンを引っ張ってきた。章男さんは試乗するなり「競技で磨こう!」
あっという間に水素エンジンを作り、スーパー耐久レースに『ST-Q』という先端技術を使うクラスを立ち上げ競技に出場してきた。当初は水素の充填に苦労したものの、4ヶ月で充填口を2つにして短縮。この技術、大型トラックなどの充填時間短縮という成果になっている。続いて「水素を運ぶ」という技術に取り組み、今だ国による意味不明の制限を残しつつも大幅に進化。
さらに圧縮した水素よりエネルギー密度が若干高い液体水素を使う技術に取り組む。今回発表したのは、液体水素で超伝導モーターを稼働させ燃料ポンプを液体水素タンクの中に設置するという技術。それにより水素タンクの容量を1.5倍に増やすことが出来るという。現時点でトヨタが取り組んでいる水素関連技術は世界最先端であると同時に、競技に出ることで中国の開発スピードに負けておらず。
実際、新しい技術がどんどん立ち上がっている。上は800気圧の水素を作るために使うコンプレッサーのピストン(5段圧縮の最終段用)。ピストンにセットされてるのはピストンリングです! こんなにたくさんのピストンリングを使わないと水素が逃げてしまう。オイルで潤滑出来ないため当然ながら寿命短い。水素を充填する時に使うホースも1本100万円で寿命1000回。
水素関連の機器、まだまだコスト高。それを安くしていこうという技術も進む。コンプレッサーの寿命を長くしたり、ホースの耐久性を長くしたり(1万回が目標。さらにコストダウンも必要)、福島の根本通商(MIRAIの1000kmチャレンジのスタート地点)のようにステーションの運営企業が独自に安価なメインテナンス技術を確立するなど、何とか世界の最先端をキープ出来ていると思う。
文頭に書いた通り中国や韓国はたくさんの企業が国のバックアップを受け、フルスロットルで水素技術に取り組んでいる。我が国は国から強いブレーキを踏まれながらも関係者の英知と熱意と努力により最前線に踏みとどまっている状態。ただ国も「このまんまじゃ二酸化炭素削減の国際公約を守れない」と考え始めている。せめて理不尽と思える厳しい規制さえ世界基準にしてくれればいいのに!
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