元三菱MRJ、今はスペースジェット、超残念なことになっちゃうかもしれません~

御存知の通り三菱MRJのプロジェクトはホンダジェットとほぼ同じ時期に実機の開発をスタートしている。機体サイズを除き、ホンダジェットとの違いは2つ。まず開発予算。ホンダジェットの場合、自動車メーカーらしく独自予算です。一方、さすが国策企業の三菱重工とあり、初期の開発予算1500億のウチ、企画段階から積算していくと3分の1くらいを経産省が負担してきた。

もう一つはMRJが機体だけの開発に対し、ホンダジェットはエンジンまで開発したこと。スケジュールだけれど、MRJは当初予定だと2011年初飛行。2013年初号機をローンチカスタマー(最初のお客さん)であるANAに引き渡すことになっていた。しかし設計に問題あったのだろう。開発は遅れに遅れ、初飛行は2015年11月と当初予定より4年も遅れてしまう。

初飛行には成功したものの、続く飛行テストで負荷を掛けていくと、カーボンコンポジットからアルミに変えた主翼の強度不足が判明! 言うまでも無く飛行機の主翼は重要な構成部品--というより飛行機そのものといってもよい。詳細は公表されていないものの、最初から大きな課題を背負い込む。2016年は順調かと思われていたが、年末に電子機器の問題出てしまう。

昨今の飛行機は当然ながらフライバイワイヤ。トラブルを起こした時のリカバリーも組み込まなければならない。日本側が耐空証明を取るための条件を十分理解していなかったらしく、システム変更を余儀なくされ2018年末の納期予定が2年伸びた。これが5回目の納期遅れ。何と当初予定の5年遅れです! このあたりからMRJの将来に暗雲が。

”同級生”であるホンダジェットについちゃ大きなトラブル無く計画通りに開発が進み、2010年12月に初飛行成功。試験飛行もほとんどトラブル出ないばかりか、最高巡航速度や上昇スピード、燃費に代表される予定していた性能を余裕でクリアしていく! 初めて飛行機を作ったメーカーが、トラブル無いばかりや性能も抜群ときた。当時、アメリカで驚きのニュースになったほど。

2015年12月、アメリカの型式証明取得! エンジンも2015年に製造証明(アメリカ航空局にとって23年ぶりの新規メーカー)を取得し、機体もエンジンも世界一厳しいアメリカ航空局のお墨付きを貰い顧客への引き渡しが始まる。2016年から世界各国の型式証明を次々と取得。その後の順調な販売状況は書くまでも無し! 何より大きなトラブル皆無! 名機になる予想しか出来ないです。

MRJでした。2018年に突如MRJから「スペースジェット」に名前が変わる! 開発の拠点も日本からアメリカへ。日本で開発するよりアメリカの方が良いという判断だ。奇しくもホンダは最初からアメリカを開発拠点に選んでいる。2020年3月にスペースジェットになって始めての機体(10号機)が初飛行。今まで出た問題点を全て潰し、型式認定に向け本格的に動き出したが‥‥。

新型コロナに巻き込まれ開発はストップ! しかも2013年当時なら世界性能の燃費に代表される魅力的なスペックを持っていたMRJながら、2022年(2021年以降の予定だったが新型コロナによりさらに遅延)で比較したら平均的なスペックでしかない。しかもライバルのエンブラエルの性能が素晴らしいし、信頼性だって高く、ブラジル製のため価格競争力だってある。

三菱造船製のアイーダプリマ。乗ってみたい

追い打ちを掛けるように新型コロナ後、航空需要は落ち込むと考えられてます。機体余っている状況。三菱重工も「もはやこれまで」と思ったのか、開発予算の半分をカットし、事実上開発を進められなくなる。このまま進めても、販売機数伸びなければ最低で5年は赤字続き。売ってしまえば撤退しても部品の供給を続けなければならない。「撤退」が一番ダメージ少ない?

三菱重工が今までに使った開発費は8000億円を超えると言われている。三菱造船、クルーズ船の建造からも撤退し2000億円規模の赤字を出した。どちらも乗り物好きからすれば「ぜひ国産で!」と思うけれど、見ていてあまりに杜撰。最初から経産省の援助を考えるトコロからクルマ業界的に「ダメでしょうね」。こうなると気になるのが三菱自動車の今後です。

MRJ、乗りたかったです。計画中止ならガックリ!

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